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第188話。一頭の漆黒の竜に対する、アトラス帝国第三皇子ガイウスの推測とは。またダグが手に入れてきた、もうひとつの竜に関する情報では、アトラス帝国の城の地下に…。

第188話です。

 最年長のヴィレドが重々しく口を開いた。

「ガイウス様がおっしゃる通り、一頭の漆黒の竜が、恐るべきスピードで成長していると考えるのが妥当かと。しかもその竜が現れたあとは、ほころびは閉じられ、邪気は残っていなかったとなると…」

 宿屋の椅子にどっかりと座ったガイウスが再び口を開き、がっしりした体躯に見合った低い声を上げた。

「邪気を食って成長しているのかもしれんな」

「そんな、そんな馬鹿なことが…!」

「しかし話を聞く限り、それ以外考えられぬではないか?」

「確かにそうね…ほころびからあふれた邪気を吸収しているのだとすれば、その急成長も頷けるわ…でも」

「にわかには信じづらいな…生き物は邪気を吸い込むと死ぬか、長くは生きられないものだろう?」

「別の街でも、またその竜の話は聞けるかもしれない。そのときまた大きさが変わっていたら、ガイウス殿の考えはきっと当たっているのだろう」

 カルロスが難しい顔をしながらもそう話すと、ガイウスはふん、と鼻を鳴らして顎を上げた。

「オレ様がそう言うのだから、間違いはない」

「ガイウス様」

 ヴィレドが困ったように苦笑して、軽くたしなめたが、ガイウスは口をへの字に曲げて、意見を撤回する気はなさそうだった。

 皆が考え込む中、ダグが手を挙げる。

「もうひとつ、竜に関する情報がある」

「なんだ?」

 部屋の中、全員が椅子に座って丸くなり向かい合っていたが、ダグの言葉にカルロスは椅子から身を乗り出した。

「帝都の城の地下に、竜が捕らわれていると言うんだ」

「な、なんと、それはまさか…!」

 カルロスが濁した言葉尻を、静かな声でヴィレドが引き継いだ。

「そこに捕らわれている竜は、神金竜ヴァレリア様ではないよ」

「えっ!?な、何故それを…!」

 ヴィレドはわずかに微笑んで、カルロスを見やった。

「やはり。竜の話からそうではないかと思ったが、ヴァレリア様を探しておいでか」

 カルロスは頭を抱えたが、それまで黙っていたルイが話に入ってきた。

「知られてしまったなら仕方ない。そうだ、我々は神金竜ヴァレリア様を探して、情報収集にやってきたんだ」

「むう…」

 ガイウスが唸る。その様子から、ルイは彼がヴァレリアの居場所を知っているのではないかと感じた。

 しかしガイウスに直接聞くのははばかられ、ヴィレドに対して問いかける。

「頼む、もし知っているのなら教えてくれ。ヴァレリア様の居場所はどこなんだ?城の地下じゃないのか?」

「それは…申し上げられない」

「何故!?」

 ヴィレドは溜め息をつき、横に座るガイウスを見やって言った。

「皆さんの目的がわかった以上、それは我々の切り札だからだ。我々の目的は竜の国へおちのび、聖銀竜の姫に会って身の安全をはかること。それまでは、ヴァレリア様の居場所を教えることはできない」

「そんな…」(続く)

第188話までお読みいただき、ありがとうございます。

ヴァレリア様の居場所を知ることはできるのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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