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第181話。話し合いによって、全員の役割が決まった。その少し前のこと、とある冒険者は立ち寄った村の中央に突如現れたほころびから必死に逃げていて…。

第181話です。

「ルイはここに残って、ヴィレド殿とガイウス殿、それにガイウス殿の回復のため残るシダー殿の面倒をみてやってほしい。男性のほうがいいだろうから」

「…わかった」

 ルイは頷いた。つまり、残りはするがガイウスの治療に専念するシダーと、情報を集めるため宿にはいなくなりがちなカルロスに代わって、ヴィレドが何か企てないか監視しろ、ということなのだ。

 まだヴィレドを信じ切ることはできない。

 その役目は何かあったとき女性のサラには重いだろうし、確かに男性たちの面倒をみるには男性同士のほうがいい。

 カルロスは全員を見回して言った。

「これで役割は決まったな。私とルイは部屋を代わろう。面倒をみてもらうのに、ヴィレド殿、ガイウス殿、シダー殿とルイ殿は同じ部屋のほうがいいし、私は昼夜問わず情報収集のために部屋にいたりいなかったりするから、一人でひと部屋のほうがいい。一人部屋を借りるとするよ」

 ヴィレドはシダーとルイに向かって頭を下げる。

「ご面倒をおかけいたしますが、なにとぞよろしくお願いいたします」

「こちらこそ」

 ダグはサラとラバンを振り返った。

「それじゃオレたちは、今晩は休んで早速明日にでも出立するとしよう。それぞれ頑張ろう」

「はい」

「そうね」

「そうしよう」

 一同は口々に返答して、ヴィレドとルイ、ガイウスとシダー以外は部屋を出て行った。




 その少し前のこと。

 とある冒険者は、必死に逃げていた。

 どうして。

 どうしてこんなことになったのか。

 商人の護衛の仕事をしていた彼は、今晩は夕暮れ時にこの小さな村に着いて、あたたかい食事をとって、久しぶりに森の中のテントではなく部屋のベッドで眠る予定だった。

 それなのに。

 村に着いて宿に入っていた彼らが、村人たちの叫び声で宿を出て見たものは、村の中央に突如現れたほころびと、それが開こうとしている光景だった。

「ひい…っ!」

「ほころびだ…!竜には通達はしたのか…!?」

「ダメだ、こんな早く開こうとしてる、間に合わねえ…!」

「たとえ竜に通達したって、どうすることもできねえだろう!もう細く開きかけてる、早く逃げるんだ!」

 現れたほころびの周辺は邪気が渦巻き、もうとても近寄れる状態ではない。

 ほころびを閉じられるのは、今はもう絶滅したという神金竜だけ。開けば邪気がそこらじゅうに蔓延し、この地はとても住める場所ではなくなるだろう。

 村人たちは何もかも捨てて、漏れ出てくる邪気から一刻も早く逃げるしかなかった。(続く)

第181話までお読みいただき、ありがとうございます。

村人たちはほころびから無事逃げられるのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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