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175/355

第175話。カルロスたちが敵ではないと納得したヴィレドは、なぜ帝国を出た場所にいたのか話す。さらに、アトラス帝国の皇帝について、ある驚くべき予測を話し始め…。

第175話です。

「しかし、ここまで話したからには、あなた方には帝国に戻っていただくわけにはいきません。ガイウス様はできるだけ完治するよう努力いたしますが、あなたにも我々の利となる話をしていただきたい」

「………」

 ヴィレドは黙り込み、それからベッドのガイウスを見下ろして、一つ溜め息をついた。

 彼が大将軍であったゆえんの一つ、判断力の高さは今も衰えてはいない。

 その判断力で、彼は自分たちの味方となるべき存在を、その方向を見定めていた。

「…わかりました。あなた方が竜側であるのなら、私たちの味方となりましょう」

「それは、どういう意味ですか?」

「私どもも、竜側につくつもりだからです。いや、ガイウス様の安全を保障していただけるならの話ですが…」

「………」

 カルロスは驚いて、ヴィレドを見つめた。

 ヴィレドは顔を上げてカルロスに視線を返し、静かな声で語り始めた。

「ともかく、我等が何故あそこにいたのか、お話いたします…カルロス様」

「お願いします」

「我等は水竜の砦にて、失敗をいたしました。それはご存知ですね。そのため私は大将軍の位をはく奪され、軍の最高位という地位を失ったガイウス様と共に、竜の国の情報を集める、という名目で帝国を出てきたのです」

「我等とは逆の目的だったのですね」

「いえ、それはただの口実にすぎません。私はガイウス様を危険から遠ざけたかった。帝国にいれば、その御身が衰えてきて、聖銀竜との混じりものという新たな脅威も見え始めてきた今、皇帝陛下の傍に置いておきたくなかったのです」

 カルロスは驚いた。ヴィレドは皇帝からガイウスを遠ざけるため、口実を作って帝国を後にしてきたというのだ。

 確かに、マ・リエという存在のことを調べるには、竜の国に行く、という目的はすんなり通ったことだろう。

「カルロス様、あなたも帝国には近づかないほうがいい。皇帝陛下の跡継ぎとして、ガイウス様かあなたが一番危ない」

「私が?」

 カルロスは二度驚いて、ヴィレドを見やった。

 自分は皇帝の弟の息子であり、皇帝の実の子がいる以上、皇位とは無縁であると思っていた。

 それに。

「危ない…とは、どういうことでしょうか?」

 カルロスの問いに、ヴィレドは他の皆をぐるりと見回し、重々しく言った。

「ここにおられる方々を信じて話しますが…私は、皇帝陛下は以前からずっと皇帝であったのではないか、とにらんでいるのです」

「はっ?」(続く)

第175話までお読みいただき、ありがとうございます。

以前から皇帝だったとは、どういうことなのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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