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第174話。只人の街エダルに到着した一行。ヴィレドとガイウスがなぜ襲われていたのか聞こうとするカルロスに、ヴィレドはまずあなたたちが敵でないか確認したいと申し出て…。

第174話です。





 半日ほど進むと、街並が見えてきた。エダルの街に着いたようだ。

「とりあえず宿をとって、医者を呼ぼう。シダーの負担も減るはずだ」

 カルロスがそう言うのに皆が同意して、馬車と三頭の馬で街に着いた一行は、馬車が置ける宿を探して部屋をとった。

 ヴィレドとガイウス、シダー、そしてカルロスでひと部屋。

 サラは女性なので一人でひと部屋。

 それからダグとルイとラバンでひと部屋。

 三部屋にそれぞれ荷物を運び込んでから、一同はガイウスの横になった部屋へと集まった。

 彼らの話を聞くためだ。

 正確には、ガイウスは寝込んでいるため、ヴィレドの話を聞くことになるのだが。

「ヴィレド殿、どうしてあの場にいたのか…何故襲われていたのか、お伺いしたい」

 カルロスが皆の前でそう問うと、ヴィレドは瞳を細めて息を吐いた。

「その前に…カルロス様。あなた様の今の立場をお伺いしてもいいでしょうか」

「私の?」

「はい。私どもは護衛にも裏切られています。あなた方は私とガイウス様を助けてくださった。けれどこれではっきりわかりました…我々は帝国を出る前から狙われているのです。あなた方が敵側でないと明確にならない限り、我々のことをお話するわけにはまいりません」

 カルロスはヴィレドを見つめ、それからベッドの上でまだ熱を出して意識を失い、苦しそうにしているガイウスを見下ろして、ひとつ頷いた。

「確かにそうですね。私はいま、竜の国の味方となって動いています。アトラス帝国の情報を集めるため、帝国に向かっていました」

「そうでしたか。我等は逆に帝国を出て、竜の国に向かっているところでした」

「竜の国に?それはどこの竜の領地のことですか?まさか、水竜の領地ではないですよね?」

 以前、隷属紋を打ち込んだ魔法師や竜たちを連れて攻め込んだ水竜の国に、彼らが行けるわけなどないだろうが、カルロスは息を荒げて拳を握った。

 ヴィレドは当然首を横に振ってそれを否定したが、どこへ向かっていたのかはとうとう言わなかった。

「…では、竜の国で何をするために向かっていたのですか?護衛がいたとはいえ、お二人だけですよね?しかもヴィレド殿は、大将軍の職を退いたと言われた…」

「そうです。実質、我等二人だけでした。あなた方は帝国の情報をと言われたが、どんな情報を探していたのですか?」

 カルロスは眉をしかめたが、少しだけこぼした。

「帝国が竜たちの国に対して、何を求めているのか…何を、もくろんでいるのか。それを探りに、です」

 本当はほかにもっとあるのだが、それを全て話してしまうわけにもいかない。

「そうでしたか。竜の国の味方になった、というのは本当の話のようですね。ほかの方々は全員只人で、竜を連れてきていないので本当のことなのか疑っておりました。申し訳ございません」

 只人であり、魔力も持たないヴィレドには、ユニコーンたちが只人に見える目くらましは十分に有効であるらしかった。

 そのことに安堵しながら、カルロスは手を上げてヴィレドの謝罪を受け入れた。(続く)

第174話までお読みいただき、ありがとうございます。

ヴィレドにはユニコーンたちが只人に見えているのですね。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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