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第173話。混じりものたちと只人…人間との違いについて話す魔法師シダー。体の構造からして違う人間が、一体どうやったら魔法を使えるというのか。

第173話です。

「人間…只人は、混じりものや魔法のある世界から来た生き物とは、体の構造が違うのです。只人はこの世界に来てから、魔力や魔法に触れて適応したものですから、あなた方のようには魔法が使えないのですよ」

 サラはますます首を傾げる。

「私たちと只人は違う、ってこと?」

「ええ…魔力の量や質も違いますが、最も大きな違いは魔法回路ですね。進化によって作られてきた只人の魔法回路は、あなた方のように属性とつながっていないのです」

 えっ、とサラは目を見開いた。

「それじゃ、どうやって魔法を使っているの?」

「詠唱によって属性と魔法回路をつなぎ、属性を魔力に混ぜこんで回路を循環させ練り上げることで、魔法を使うんです」

 シダーの説明に、むむう、と今馬車に乗っている唯一のユニコーンであるサラが唸る。

「でも、それなら詠唱すれば、只人は全属性の魔法が使えるってことにならないかしら?」

 するとシダーは残念そうに苦笑して首を振った。

「それが…属性によって、つながりやすい、つながりにくい、全くつながらない、ということがあるのですよ。ラバンは詠唱しても、火と雷と光はつながりません。私は全属性とつながるので、全属性が必要な治癒魔法が使えますが、とてもつながりにくい属性もあるので、治癒魔法は得意ではないんです」

「そうだったのね」

「火や雷、風は、つながりはしますが魔法を使えるほどの量は入ってこないので、単体では魔法の発動はできません。でも少しは入ってくるので、治癒魔法に必要な分はある…ということですね」

 ややこしい。

 風属性だけとはいえ、詠唱も何もなく、息をするように自然に魔法が使えるサラたちユニコーンにとって、シダーの説明するつながる、つながらないの話は面倒くさすぎた。

「ちなみに只人は例外なく、闇魔法とはつながります」

「そうなの?」

「はい。だからこそ、隷属紋や従属紋をうつことができますが、上位の魔法師たちは使いません。反動があって術者にとっても危険ですし…外法とされています。帝国以外では禁じられているそうです」

「シダーとラバンは、混じりものとの混血なのよね?普通の只人とは違うんじゃないの?」

「我々は混じりもの側の能力は受け継ぎませんでしたが、魔力だけは受け継いだので、一般の只人よりは魔力を持っています。ですから魔法師としてやっていけるわけですが…体は完全に只人に近いのです。ですから、獣の血を持った存在としてさげすまれてきたのですよ」

 そうだったのね、とサラは眉を下げた。

「ごめんなさい、嫌なこと思い出させてしまって」

「いえ、もう気にしていませんから。サラ殿もお気になさらずに」

 シダーはそう微笑んだので、サラも少しほっとした顔になった。

 只人の魔法回路が幹の細い、枝の少ない若木なら、混じりもののそれは大木ということらしい。

 幹は太く、多くの枝分かれをしている大木。

 その枝の中を属性を持った魔力が複雑なルートを辿って流れ、魔法となる。

 そのため、混じりものは詠唱など必要なく、只人の使う魔法よりも繊細な魔法を使うことができるのだ。

 馬車の中は、今度はサラの風魔法の話で盛り上がっていき、シダーの魔法によってガイウスの出血は抑えられていた。(続く)

第173話までお読みいただき、ありがとうございます。

只人が魔法を使うには、詠唱が必要なのですね。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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