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第168話。誰かが戦闘をしているようだと、風魔法を使ってスピードアップする一行。サラが馬車の御者を代わって、魔法師のラバンとシダーは魔法の詠唱に入る。

第168話です。




 それから二日後。

 カルロス・ロッドが、馬車を振り返って声をかけたのは、水竜の砦を出て三日たった昼間だった。

「そろそろ帝国との国境線に着きますよ」

「ああ、もうそんなところまで来たのだな」

 馬車の左側面にいるダグが馬上で答える。

 カルロスはひとつ頷いた。

「打ち合わせはしてあるとはいえ、いよいよですね」

「どれだけの情報を集めてマ・リエの役に立てるか、精一杯がんばるつもりだ」

 ダグとは反対側、馬車の右側面にいるルイはそう答えたが、ふとダグと同時に顔を上げた。

 何か、音が聞こえたからだ。

 それは風にのって、はるか先から聞こえてきた。

 キィン、キィン…と、金属が打ち合わさるような高く鋭い音。

「どうしました?」

 きょとんとした顔で、カルロスが聞いてくる。彼にはこの音が、まだ聞こえていないのだ。

「この先で戦闘が行われているようだ」

「えっ!?」

「風が教えてくれている」

「そ、それはいったい」

 あわてるカルロスに構うことなく、ダグは馬を下げて、同じく下がってきたルイと並んで馬車の後方についた。

 そして馬車の幌の中を覗き込んでサラに問う。

「聞こえているか、サラ」

「ええ、もちろんよ。やることはわかっているわ」

「頼む」

「急ごう」

 ルイとダグが片手を前に出すと、ぐんと馬たちのスピードが上がった。風魔法を使って、空気抵抗を格段に減らしているのだ。

 サラが御者台に上ってきて、ラバンから馬車を引く馬たちの手綱を受け取る。

「この先で戦闘が行われています。御者を代わりましょう。その間に詠唱をしてください」

 ラバンは驚いた様子だったが、すぐに頷いて素直に手綱を渡し、御者台の端で氷魔法の詠唱を始めた。

 シダーは馬車の幌から顔を出した状態で、土魔法の詠唱を始める。

 ダグが振り返って、最後尾で置いていかれそうになっているカルロスに声をかけた。

「あなたは我々の後ろについてください。そこなら風魔法の恩恵が受けられます」

「わかった!」

 サラが馬車を引く馬たちに掛け声をかけると、それだけで馬たちは全力で走り出した。もともと速くなる風魔法を使われているのだから、そのスピードたるやユニコーン以外の全員が驚き、魔法師たちはあわてて馬車につかまる。

 カルロスは馬上で腰から剣を抜き、やはり速度を上げた馬から振り落とされないようにしながら、注意深く前方を見つめた。(続く)

第168までお読みいただき、ありがとうございます。

誰が戦闘をしているのでしょう。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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