表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/356

第165話。 アトラス帝国のとある場所、地下洞窟の奥深くに、皇帝ディガリアスと、元将軍であったヴィレドがいる。皇帝に鞠絵のことを話すヴィレドだが…。

第165話です。

「とりあえず、国内に入ったら酒場や店で情報を集めてまわろう。城内へ入るのは様子をみてからにしたほうが、いざという時すぐに中止して逃げられる」

 そう言うカルロスに、ルイも頷く。

「そうだな。我々は出発前にマ・リエから、決して無理はしないように、と言われてきた。何よりも命を大事に、我らの安全を優先させてくれと」

 魔法師たちも手を上げた。

「我らもです。トリスラディ様が、たとえ情報を集められなかったとしても無事で戻ってくることが最優先だと、言い含められて参りました」

「それを守りつつ、できるだけ情報を得られるように努力しよう」

 カルロスの言葉に皆は頷き、ラスクとお茶を口にしながら、まだしばらく作戦会議は続いた。



 

 同じ日のこと。

 アトラス帝国のとある場所、地下洞窟の奥深くに、皇帝ディガリアスと、元将軍であったヴィレドの二人がいた。

 そこは広大な洞窟であった。狭い通路から出てぽっかりと開いた空間の中に、金色に輝く巨大な半透明のカプセルが置かれている。

 そのカプセルの中には、ひときわ見事な金色の光を放つ大きな竜が、いくつかのタマゴを抱くようにして眠っていた。

 ヴィレドは皇帝の後ろに付き従いながら、その竜を見つめた。何度見てもその神々しさには圧倒される。

 神竜の第一である神金竜であるのだから、当然のことか。

 離れた場所から黄金の竜を見上げていた皇帝が、不意に口を開いた。

「ヴィレド、例の娘の調査は進んでおるのだろうな?」

「は」

 ヴィレドは姿勢を正して返答する。

「草の報告では、炎竜の領地から、黒鋼竜の領地に向かったようです」

 すると皇帝はいまいましげに吐き捨てた。

「その報告は受けている。余が知りたいのは、その娘の能力のことだ」

「は。雷虎の村と炎竜の地におきまして、浄化を行ったようです。聖銀であるのは間違いないかと思われます」

 ビリビリと、皇帝から圧がヴィレドに浴びせられる。今の彼はもとの大将軍という地位を水竜の地における失敗によってはく奪され、竜国調査特別参謀というよくわからない役職につけられていた。 この職の長は、彼が幼い頃から付き従ってきているガイウスである。彼も同じ理由でヴィレドともども降格され、竜の国を調べるという、皇帝がその場で作ったような役職につけられたのだ。

 つまりガイウスは一応まだヴィレドの上司にあたるのだが、彼らの直属の部下は数えるほどしかおらず、もちろん有能な者も信じられる者もいない。

 情報だけなら、皇帝のほうがよほど詳しいと言えた。

 これはどういうことかといえば…つまり、皇帝は失敗した彼らをなぶって楽しんでいるのだ。

 皇帝ディガリアスには、部下や女子どもといった弱い者たちを、精神的に追い詰めなぶってもてあそぶ、残酷な一面がある。(続く)

第165話までお読みいただき、ありがとうございます。

ディガリアスは皇帝だというのにいやな一面があるようですね。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ