第161話。ユニコーンのサラをはじめとした仲間たちは、朝食をとりながら昨晩見た美しい光がなんなのか話し合う。朝食後、水竜レイアに見送られて旅立つ一行だったが…。
第161話です。
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「昨晩の光のこと考えたんだけど、まさか…あれ、マ・リエかしら?」
光を見た後再び就寝して起きた朝、サラが朝食にと出されたスープをかきまぜながら、昨夜見た光のことを思い出してそう言うと、パンをかじるダグがそうだろうな、と頷いた。
「オレたちもそう思ってた。あの光はマ・リエの浄化の光なんじゃないかって」
「そうだとしたら、タニアは何をしてるんだ。あんなにマ・リエに無理をさせないように、言い含めてきたのに」
ルイが卵焼きを飲み込んで、不機嫌な声を出す。鹿肉を口にしていたカルロス・ロッドが、そうですね、と同意した。
サラは首を振った。
「でもマ・リエはこうと決めたことは必ずやってしまう人よ。私たちがいたとしても、止められはしなかったと思うわ」
「それは…そうかもしれないが…。マ・リエはいつもはおっとりしているのになあ…」
ルイのぼやきに続いて、魔法師のシダーとラバンも言う。
「あれはやはり、浄化の光と見受けられます。だとしたら黒鋼竜の領地の向こうにあるという、滅んだ国を浄化したのではないでしょうか」
その国のことは秘されていたはずだが、彼らはおばば様からあらかじめ話を聞いていたようだ。
ルイが驚きの声を上げる。
「そんな、国ひとつを浄化だなんて、どれだけ力を使ったっていうんだ」
「そうですね、あの国土は広いと聞いています。それをすべて浄化したとなると、マ・リエ殿の御力は恐るべきものですね」
カルロスが頷く。
「私や姉たちの隷属紋は、邪気で打たれた非常に強力なものでした。それをはらってくださった聖銀様の御力を考えれば、国ひとつの浄化も可能なのかもしれませんね」
朝食の席に同席していた水竜レイアが、自らのときのことを思い出したように胸の中央に片手をあてて、遠くを見つめた。
やがて食事が済み、その後各々出立の用意が整った一行を見送りに出てきてくれたレイアが、残念そうに言う。
「もう出立されるのですね。ぜひお帰りの際にもお立ち寄りくださいませ」
そう微笑むレイアに礼を述べた一行は、水竜の砦の北方にあるアトラス帝国に向けて、用意してもらった馬と馬車で旅だった。
昨晩、カルロスはレイアの手を握って二人で見つめあっていたことから、二人の距離はきっと縮まったのだろう。(続く)
第161話までお読みいただき、ありがとうございます。
カルロスとレイアはいい感じのようですね。
また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。




