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第160話。水竜レイアが引き留めたが、帰っていく黒鋼竜たちのスピードはいかに。もてなしの宴のあと、深夜に騒がしさに目が覚めたサラが見た、美しいものとは一体…?

第160話です。

「私どもはこのまま領地へ戻ります」

「そんな…朝から飛んで、お疲れでしょう。少しでもお休みになっていかれては」

「いえ、誰も乗せていなければもっと早く飛べますし、夜遅くならずに着けるでしょうから…我等の長には今伺ったお話は伝えておきます。マ・リエ殿にも。きっと安心されることでしょう」

 レイアは黒鋼竜たちに向き合い、深く腰を折った。

「わかりました。ここまでお疲れ様でした。どうか、ご無事に戻られますよう」

「ありがとうございます」

 バサッ、と巨大な翼を広げて、カルロスたちを砦まで乗せてきた黒鋼竜たちは空へと飛び立ち、あっという間に見えなくなってしまった。なんというスピードだろうか。誰も乗せていなければあれだけのスピードが出るとは。

 神竜とはすさまじい力を持っているのだな、とカルロスたちはあらためて一様に感心した。




 その日の晩、水竜の砦ではカルロスたちをもてなす宴が開かれた。たくさんのごちそうと酒を出されたカルロスと魔法師たち、そしてユニコーンたちは、恐縮しながらも飲み食いし、カルロスを除く者たちは、翌日の朝の出立が早いからと早めに床についた。

 カルロスはどうもレイアともう少し話がしたかったらしく、レイアとともに宴の部屋に残ったのだ。

 そして、その晩の深夜から未明にかけて、それは起こった。

 外が騒がしくなって目が覚めたサラは、自分たちが出てきた東の方向、山の向こうにまばゆい光を見た。

「あれは…なに?」

「すごい広範囲の光だ」

「あの山の向こうは、黒鋼竜の領地から少し離れた場所だが…何が起こってるんだ?」

「すごい…きれいな光…」

 ひと部屋を与えられたサラが窓を開けて体を乗り出すと、外はかなりざわついていた。

 水竜の砦に設けられたあちこちの部屋から、驚きと感嘆の声が上がっている。開けられた窓から明かりが漏れて、暗い外をぽつぽつと照らしていた。

 カルロスたちに与えられた隣の部屋を見ると、やはり彼らも窓から身を乗り出して光を指さし、何かを言っている。

 サラはしばらく東の空を照らす美しい光を見つめていたが、その光はそれ以上広がるわけでもなく、ただきらめき光り輝いているだけだった。

 サラは隣の部屋の窓に、声を大きくして話しかける。

「ねえ、あの光は何かしら」

 するとダグが上半身を乗り出して、サラに答えた。

「わからない。だがかなり遠いし、広がってくるわけでもなさそうだし、見張りを増やしてほかは寝るしかないだろう。オレたちもそうしよう。何かあれば声をかけてもらえるだろうし、このまま光を見ていても仕方がない」

 サラは素直に頷いた。

「そうね。また明日の朝に話しましょう。おやすみなさい」

「おやすみ、サラ」

 まだ光り続ける東の空は気になったが、爆発でもなさそうだしと、サラは窓を閉めてベッドに潜り込んだ。(続く)

第160話までお読みいただき、ありがとうございます。

サラが見た美しい光とは、もしや…。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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