表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/356

第152話。風竜の長ミンティ・ラナクリフに、鞠絵はちゃんと御礼が言えたのか?あまりの疲労に寝込んだ鞠絵を世話するタニア。

第152話です。

 やがて、そっと肩が押されてラナクリフ様から離されると、私は目を開けて翡翠色の瞳を見上げた。

「もう行かなくちゃ。聖銀ちゃん、今回はすごいものを見せてもらった。また私の力が必要になるときには、遠慮なく言って。私はあなたのことが大好きだから、喜んで手を貸すよ」

「ありがとう、ミンティちゃん。私もあなたのことが大好きよ。今回は本当にありがとう。おかげで助かりました。また、よろしくお願いします」

 ようやく、言いたかった御礼が言えた。深く頭を下げた私の背中を、ラナクリフ様が優しく撫でてくれた。

「うん、またね。よく休むんだよ。綺麗で優しくて可愛い、大好きな聖銀ちゃん」

 それじゃね、という言葉を残して、ラナクリフ様は再び四枚の羽根を広げ、たちまち上空へと消えていった。

 ほんとにすごい、これが風竜の長の本来のスピードなのね。

 上空をただ見上げた私は、もう一度心の中で御礼を言って、踵を返した。

 部屋に戻らなくちゃ。

 昇った朝日がまぶしい。部屋に帰って、もう少しだけ、眠ってもいいだろうか。

 なんだかどっと疲れが出てきた気がするの。

 ナギの気配を探ってみたけれど、彼は完全に睡眠に入ってしまっていた。

 無理もないわね、あれだけの力を使ったのだもの。

 くたびれ果てて、私の中で眠りについているのね。

 そういう私も、玄関で待っていてくれたタニアに駆け寄る体力もなくて、彼女に手を振りながらゆっくり歩いていった。何かを感じ取ったのだろうタニアが走ってきてくれて、私を支えて部屋まで連れて行ってくれた。

 上着と靴を脱いで、泥に絡みつかれたかのように重い体をベッドに横たえて…そこから先は、覚えていない。




 …なんだか、周囲が騒がしい。

 ようやく戻ってきた意識の中で、ぼうやりとその喧噪を知覚する。

 バタン、と音がして、ちょうどタニアがタオルや水差しを持って部屋に入ってきたので、私は声をかけた。

「タニ…ア」

 やだ、声がかすれちゃってる。

 するとテーブルに水差しを置いていたタニアは、凄まじい勢いで振り向き、ベッドに駆け寄ってきた。

「姫様!目覚められましたか!」

 何やら真剣な声で叫んだタニアが私を覗き込んできて、あからさまにほっとした顔をしたので、私は不思議な気持ちになって彼女をぼんやりと見上げた。

「どうした…の?タニア」

「姫様は、あれからまる二日以上も眠り続けていたのですよ。水竜の砦でも眠られていたけれど、あのときはサラもいましたし…いまは私ひとりで…姫様がこのまま目覚められないんじゃないかって不安で…とても心配しました」

 そうだったのね。自分ではそんな自覚はないのだけれど…声はかすれてるけれど、重かった体はすっかり楽になっている。

 私の中のナギを探ってみたけれど、彼は私の中でまるくなって、まだ眠っているみたいだった。

 そのとき、私はタニアが持ってきた水差しを思い出した。

「お…おみず…」

 そう呟きながらベッドの上に上体を起こそうとすると、タニアが背中に手をやって、起きるのを手伝ってくれた。

「ありが…とう」

「今、お水を持ってまいりますね」(続く)

第152話までお読みいただき、ありがとうございます。

ミンティにちゃんと御礼が言えて良かったですね。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ