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第138話。聖銀竜の子マ・コトは、邪気竜エレサーレが求める言葉を与える。それに対して、エレサーレは…?

第138話です。

 マ・コトはエレサーレを振り返って、泣きながらも小さな首を横に振って、しゃくりあげながらも懸命に言葉をつづった。

『ちがうの、おじちゃん。おじちゃんはわたしをいっしょうけんめい、抱きしめて守ってくれた。わたし、とてもこわくて、痛くて、タマゴの外に出て苦しかったけど、おじちゃんが抱きしめてくれたら辛くなくなったの。おじちゃんの腕の中はとてもやさしくて、うとうとしていられるくらい安心できた。でもそのうちに気が付いたの。おじちゃんはずっと泣いてる…わたしのことを思って、わたしのために泣いてるって。わたしはおじちゃんに話しかけたけど、おじちゃんは聞こえていないみたいで、わたしを抱いてずっと泣き続けてた…ずっと、ずっと話しかけてたんだよ?』

『そう…だったのかぁ…マ・コト様ぁ…』

 小さな光はまたたきながら、懸命にエレサーレに話しかけ続けた。

『うん。だからこうしておじちゃんとお話ができて、とても嬉しい。名前をつけてもらって、ナギおじちゃんと一緒になったおねえちゃんにつながったから、お願いしたの。おじちゃんを助けて、って。わたしが死んだのはおじちゃんのせいじゃないの。だからもう休んでいいんだよ、もう還っていいんだよ』

 しかしエレサーレは首を振り、白い骨の眼窩の奥の邪気を揺らめかせて言った。

『いいえ、あなた様を、お守りできなかったのはぁ…わたしの責任です。どうかぁ…お許しください…マ・コト様ぁ…』

『おじちゃんのせいじゃないの。許して、って言わなくていいの。わたしのほうこそ、ずっとおじちゃんに守られてた。わたしがこうして今話せるのは、おじちゃんが守ってくれていたからだよ』

「マ・コト」

 私は思わず話しかけた。エレサーレの気持ちもわかるから。

「おじちゃんは許しが欲しいんだと思うのよ。八千年もの間、ずっと責任を感じ続けて苦しい想いをしてきたんだもの。だから、おじちゃんを許すって言ってあげてちょうだい。その必要がないと思っても、言ってあげて」

 マ・コトは小さな手でその頬をぬぐい、しばらく考えているようだった。やがて小さく頷いて、両の手をエレサーレに差し伸べる。

『おじちゃん…エレサーレ・カルダット。我、聖銀竜マ・コトは、あなたを許します』

『お、おお、おおおおおぉ…』

 地鳴りがするような大きな声で、エレサーレが吠えた。まるで涙のように、白い頭蓋骨の眼窩から黒い邪気があふれ出てきて、骨の上を伝った。

『ああぁ、マ・コト様ぁ…マ・コト様ぁ…ありがとうございます、ありがとうございますぅ…』

『だから、もう苦しまないで。みんな、みんな許すから。おじちゃんが体の中に抱えているみんなと一緒に、光の中に還って』

 しかし、素直に喜ぶかと思われたエレサーレは、そのマ・コトの言葉には頷かなかった。

『いいえ、いいえ、たとえマ・コト様がぁ、許されても、この者たちは離すわけにはぁ、いきません。この者たちのぉ、罪は消えないのだから…聖銀竜様をぉ、殺めることは…世界に対する罪です…世界がぁ、許さないのです…だからわたしも、ここから離れることはぁ、できないのです…』

『おじちゃん』

 小さな白銀色の光はエレサーレの胸元から鼻づらまですう、と上り、白い頭蓋骨の先端をそっと抱き締めた。あわてたようにエレサーレが鼻先を引こうとしたが、黒い邪気はマ・コトの光に当たると霧散し、鼻づらだけが白銀色に輝いた。

『ねえ…お願い…おじちゃん…もう眠って』

『マ・コト様ぁ…』

 その時、私の中でナギが私に語り掛けてきた。(続く)

第138話までお読みいただき、ありがとうございます。

ナギは何を語るのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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