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第104話。会議にて、神金竜ヴァレリアに仕えていた一族の末裔である、黒鋼竜ルシアンのもつ先祖の記憶から語られた、ヴァレリアの居場所についての情報とは…。

第104話です。

「ナユのウロコからは、ヴァレリア様がいる場所は欠損していてわからなかったのですが、ヴァレリア様に仕えていた一族の末裔である黒鋼竜ルシアンが、その知識を受け継いでいます。私はもう彼から聞いて知っていますが、彼から話をしてもらおうと思います」

 私がそうルシアンを指し示すと、一同はおお…と声を上げ、彼に注目が集まった。ルシアンはおばば様の後ろから中央に進み出てきて、ひとつぺこりとお辞儀をして話し始める。

「ヴァレリア様は次の破滅の時に備え、自らのタマゴを抱えて眠りにつかれておられます。それは…現在のアトラス帝国のごく近くなのです」

「えっ」

「あの帝国の近所に、神金竜ヴァレリア・ヴァレリー様が!?」

 ざわつく一同を見回して、ルシアンは頷き続けた。

「はい。神金竜として未来へ渡るため、最も力のあったヴァレリア様が他の神金竜の力をもらい、巨大な金水晶で作ったタマゴのような形のカプセルを結界として、自らのタマゴを抱えて永い眠りにつかれました」

「他の神金竜の力をもらって?それじゃあ、他の神金竜たちは…」

 ルシアンは目線を落とし、力なく答えた。

「ただでさえ数はもう少なかったのですが、残った力を使い果たし、全て…お亡くなりになられました」

「な、なんということだ…」

 部屋内は再び大きな喧噪に包まれた。

 私はルシアンからその話を最初に聞いたときと同じように、悲しくて切ない思いがもう一度こみ上げてくるのを感じた。

 けれどそこまでして、彼らはヴァレリア様とそのタマゴを未来へと託したのね。

「私は先祖の黒鋼竜の記憶を保持しています。その記憶によれば、数代前の祖先は地下におられるヴァレリア様の居場所への入り方や、あの方の状態がわからなくなってしまったため、帝国の周辺にてヴァレリア様のことをずっと探っていたようです」

「おお…」

「そうだったのか」

 すると光竜スーリエ様が疑問を口にした。

「居場所への入り方がわからなくなってしまった、とは?」

 ほかの長たちも首を傾げる。

「それは何故…」

 リュシエンヌは最後までヴァレリア様の傍にいたはずなのに。

 それに、と地竜トリスラディ様が声を上げた。

「黒鋼竜はヴァレリア様が眠る場所にどうして国を作らなかったのでしょう。国でなくてもその周辺を領地として、ヴァレリア様が眠る場所に誰も近づかせないようにすることはできたはず。それをしなかったのは何故ですか?」

 すると、ルシアンはそうですね、と頷いて答えてくれた。

「ヴァレリア様の眠る結界に神気をもった者が近づいたり触れたりすると、その封印が敗れてしまうからです。あの方を未来へ送るのに膨大な魔力を使ったため、封印の解除のほうはとても簡単になってしまったのです。ナギ様が起こすはずでしたが、黒鋼竜も神気は持っておりますので、近くに寄ることもできませんでした。ヴァレリア様は眠られる際に、起きる時には立ち会って欲しいが、起きるまでは黒鋼竜はできるだけ遠くにいるようにとおっしゃられたので、国を作ることもお傍で守ることもできませんでした」

「それで、数世代前には居場所への入り方がわからなくなってしまったと?」

「そうです。それまでは入口の場所は把握していたはずなのですが、アトラス帝国が作られてしばらくして、忽然と場所がとらえられなくなりました。帝国が何か絡んでいるのかもしれませんが、それはわかりません」

 それでは、と手を挙げたのはカルロスだ。

「私が帝国に戻って調べてみましょう」

 おばば様がカルロスを見やる。

「あなた様が?」

「はい。私はこう見えて、帝国の皇族なのです。今の皇帝の甥にあたります。まあ、末席ですが…ただの軍人よりは、情報を掴みやすいでしょう」

 おばば様だけでなく、トリスラディ様以外の長たちも、おお…と声を上げて頷いた。(続く)

第104話までお読みいただき、ありがとうございます。

ヴァレリアの居場所はわかるのでしょうか。

また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。

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