第101話。地竜の長と共にやってきたのは、ペガサスとの混じりものであるエルドラッド・パリス、只人のもと帝国軍人カルロス・ロッド、それから名前をつけてやった魔法師の2人だった。彼らと話をする鞠絵は…。
第101話です。
さすがは七竜の中でも古参といわれる一人、でも…ラナクリフ様よりは年下という話なのよね、この方は…。
唇の端が引き攣ってしまう私に何を思ったのか、トリスラディ様は微笑んで手を差し出してきた。
「マ・リエ殿、アラル・トリスラディ、参上いたしました。雷虎の村と水竜の砦では、本当にお世話になり…改めて、御礼申し上げます」
そう言って深々と頭を下げたものだから、私はあわててトリスラディ様に駆け寄ってその肩に手をかけた。
「そんな、私は私にできることをしただけです。顔を上げてください、トリスラディ様。お世話になったのは、私のほうもなのですから」
「マ・リエ殿…ありがとうございます」
ようやく顔を上げてくれたトリスラディ様の後ろにいたのは、しばらく間をあけただけだけど色々とあったせいで、懐かしくも感じる面々だった。
「まあ、皆さんもお久しぶりです」
おばば様が意外そうにおや、と声をあげた。
「地竜殿以外もお知り合いでいらしたか」
「はい」
そこにいたのはペガサスとの混じりものであるエルドラッド・パリス、只人のもと帝国軍人カルロス・ロッド、それから二人の人たちだった。
只人と混じりものとの混血の、この人たちは、たしか。
「あなたがたは…魔法師の方々ですか?」
「はい、女神さま」
別れた時とはまるで別人のようにふっくらとして顔の血色もよく、私を見てニコニコと笑顔だった彼らは、間違いなく水竜のところで会ってトリスラディ様に預けた、もと帝国の魔法師たちに間違いなかった。
良かった、いい待遇をしてもらっているのね。
私が笑顔を返すと、魔法師たちは照れたように頬を赤らめてゆっくりとお辞儀をした。
「ほう、魔法師とな。後ほど話を聞きたいものよ」
おばば様が興味深そうに目を細める。
魔法師たちの横に立っていたのは、皇族であり帝国軍人であったが帝国のやり方に嫌気がさして帝国を出て、トリスラディ様に保護されたカルロス・ロッド。
彼は私と目が合うと、右手を心臓の上に当てる敬礼をしてみせた。
「マ・リエ殿、本当にありがとうございました。私の預かり知らぬところで私の飛竜も治していただいたとのこと…そのことも、御礼申し上げます。私はあの後、トリスラディ様のもとで働かせていただいています。皇族の端くれとはいえ処遇の決してよいとはいえなかった私に、帝国にいる時とは比べ物にならない扱いをしていただき…本当に、感謝しています」
すると魔法師二人も口々に声を上げた。
「それは我ら魔法師も同じです。帝国にいた頃が、まるで悪夢を見ていたかのようです。現在は帝国の情報を探りながら、魔法師としても修行しています。すべては女神さまのお慈悲によるものです」
いや…だから、女神さまはやめて欲しいのですけど。
私は内心苦笑いしながら、皆に向かって微笑んでみせた。
「それは良かったです。皆さん、とても生き生きとなさっていますものね」
彼らのその後は気になっていたのだ。嬉しくて顔が緩んじゃう。
するとカルロスが真顔になって私を見つめ、それにしても…と続けた。
「ここへ参る際にトリスラディ殿から聞いたのですが、マ・リエ殿が聖銀竜様との混じりものであったとは…あの不思議な能力も納得がいきます。あの時のご無礼をどうかお許しください」
「我らも同じです。聖銀様とは露知らず、無謀な願いを一方的にぶつけてしまい…失礼いたしました」
ペガサスのエルドラッド…エルは、これでもう秘密にしなくてもいいですな、と笑っていたが、他の三人は首を垂れるものだから、私はまたあわててしまった。
「いっいえ、どちらかというとあの時は秘密にしていたようなものですから…どうか、気にしないでください。もう知られてしまったなら仕方がないけれど、私のことはマ・リエと呼んでくださいね」
「い、いえ、それは…」
「とんでもない。女神さまをお名前で呼ぶなど」
「ぜひ、おねがいします」
私が真顔で声を強めてそう言うと、トリスラディ様とエル以外の三人は互いに顔を見合わせたが、しばらくしてそれなら…とやっと頷いてくれた。
「それが、女神さまのお望みとあらば…」
困った顔をしながらも魔法師たちがそう言えば、カルロスもまた敬礼しながら言ってくれた。
「マ・リエ殿の願いならば、私に依存はございません。それではおそれながら、私もこれまでと同じように呼ばせていただきます」
「良かったです。はい、これからもよろしくお願いします」
私が笑顔になると、三人は一様にほっとした顔になった。(続く)
第101話までお読みいただき、ありがとうございます。
懐かしい面々に会えて良かったですね。
また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。




