第8話地球再建計画
第8話 地球再建計画
「起きろ、剣聖」
ガイアに体を揺すられたエリックはゆっくりと体を起こした。
「負けたのか私は」
「ああ、完膚なきまでにな」
まだ目覚めたばかりで状況が掴めないエリックに対してガイアは勝ったとは思えないほど苦い表情で話しながら地面に寝そべっている。
「そうか、負けたか、だがなんだが気分が良いよ、私の限界は今この瞬間であり、これからも死ぬまで伸びていく気がする」
「そうかいそうかい、前向きに生きてく気になって良かったよ。 俺は身体中痛くて死にそうだけどな、早くあんたが引っかかってた事を話してくれ」
「地球再建計画についてどこまで知ってる?」
「聞いた事ないな」
「ハルののやつやっぱり話してなかったのか、そうだな、まずは地球の話からしよう。
勇者からの伝えられたままにはなるが、地球という星は高度な技術を持ち国というヒンメルの100倍はある国が何百とあった。
ヒンメルの中枢のシステムはほぼ、その地球に由来している。 そしてある日地球は星ごと崩壊した」
「いきなり話が飛びすぎなんだが、なんで地球は崩壊したんだよ」
「もう、エリックさん説明が下手すぎ!」
その時ガイアの目の前が一瞬暗くなり、健康的な肉付きをした、太ももとその先に純白の布地が見える。
「おい、ハル、俺が動けないからって頭の上に跨るな」
「でね、地球再建計画ってのは」
「おい、おい、話を続けるなよ。 どけ、どけ」
「そう? 年頃の男の子なら少しは元気になるかと思ったんだけど」
「そういうイジりはもう、師匠に嫌というほどやられて来たからな、ハルが話すなら話してくれ、俺は当分起きれないだろうから時間はたくさんある」
「おもしろくな〜〜い もっとウブな反応してよガイちゃん」
「うっさい、さっさと話せ」
「もうわかったよ」
ハルは仰向けに倒れているガイアの隣にスカートに後が付かないように抑えながら、ハンカチを引いて座った。
「ざっくり言うと、パパの計画は地球からこの星に移動させた人を人の形に戻して、地球をもう一度復活させる事よ」
「あの、トウヤが言ってた器のシステムの事か、俺もケルベロスの器だけど」
「そう、その器が地球からこの星に移動させる上で人を効率良くかつ安全に運ぶ為に必要なシステムだったんだけど、何割かはこの星に着いた時点で無くなったって言うか、雨みたいに大地に降り注いでしまい。
この星の人々は無意識に生物や物体を自分の中にしまうすべを身につけてしまったと言うわけね」
「そうか、それでトウヤは散らばった地球の人々を集めてるんだな」
「そう、私のパパの世代が地球からこの星にやってきた時、地球に住んでいた100億の住民を器達に入れてここまで運んだんだけど、大体バラバラに散ってしまって今私達が把握してるのは30億ぐらいね、後はこの世界の誰かの中に入ってると思う」
「ふーん、それで俺はその器達を見つけて来れば良いんだな?」
「そうよ、しかもさっきの戦いぶりからして貴方も間違いなく人の器だし」
「え? 俺はケルベロスしか飼ってないと思うけど」
「そんな犬1匹で私の斬撃を止められるわけないだろ、間違いなくお前の体は底上げされてる無意識のうちに人の器の力を使ってるよ。 まだ覚醒してないだけど思うぞ」
「そうか、俺はまだまだ強くなれるって事だな、とりあえず説明はもうやめてくれ、眠くなってきた…………
ガイアはそう呟き終わる前には眠りに付いていた。
「まだまだ伸び代たっぷりね、ガイくんは」
ハルはガイアの頬を突きながらそう言った。
「あなたはどうするの? 剣聖ブル・エリック」
ハルの様子が明るい雰囲気から凛とした堂々な様子に変わる。
「俺は妻を迎えに行った後、修行に出る世話になったな、ハル」
「そう、少し寂しいけどあなたが前を向く気になってくれたなら私も嬉しいわ、あなたが小さい頃私の子守をしてくれたのが懐かしい」
「今じゃすっかり逆になっちゃったけどな、俺も寂しくなるよ。 ガイアには礼を言っておいてくれ」
「わかった、父を今まで支えてくれてありがとう。 ブル・エリック、ヴァルハラでの任を全て解き退寮とします! どうかお元気で」