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第40話 ただ目の前の

40話 ただ目の前の



 「起きろ、健斗」



 ゴリアテもとい健斗はゆうに2mを超えるその体をゆっくりと起こした」


 「どこだここは? 作戦中か?」


 「落ち着け、もう戦いは終わった」


 「終わったって何が終わったんだ、みんなはどこだ。船は!」



 ゴリアテは険しい顔でガイアに詰め寄った。



 「俺が落とした、お前らの陽動作戦は成功し、心神武器は地球派の手に渡った」



 「作戦の事何てどうでも良い、みんなは! ひとしさんや、ラッシュさん、後藤さん達は! どこかへ逃げたと言ってくれ!」


 「分からないとしか言えない、船は落ちた。真っ二つに割れたから衝撃で死んでなければ生きているかも、瓦礫を退けて生存者を探そう。でも陽動部隊は恐らく全滅したと思う」


 「なぜだ」


 「お前の体の強化儀式を行い、全員犠牲になった」


 「うそだ! それじゃゲミューさんは! あの人が負けるわない、俺に全てを教えてくれた」


 「俺が倒した」



 健斗は声なき声を発すると、ガイアから手を放し地面にうなだれた。



 「…………ゲミューはお前に戦いだけでは無く、何にも縛られずに自由に生きて欲しいとい言っ」


 「口を開くな」



 健斗はガイアの言葉を遮り、立ち上がった。



 「分かってる、お前は俺を心底殺したいだろ。 俺がお前の立場だったらそうする」


 「俺にもっと力があれば、あの時お前を殺せていれば、こんな事にはならなかったのに」


 「来い、健斗。 これが最後の戦いだ」

 

 「俺の中の3000万の力を全て解放する。 俺の意識が乗っ取られても良い、貴様を潰す!」



 健斗の体が暗いオーラに包まれていく。



 「せっかく力の制御が出来る様になったのにやる事が力の解放か、ゲミューは…………いや、俺が言う事じゃないな。俺は最後まで全力で潰すだけだ」



 ガイアは大きく息を吸い込んだ。



 「千万力、定着」



 そう言って胸に手を当てた。 突如ガイアは地面に倒れ込む。



 万人の力に耐えられたガイアの体も千万人の人の力に耐えきれずに身体中に激痛が走る。



 「這いつくばって何してんだ」



 ガイアの体の輪郭が小さくやがて大きく、揺れ始め人としての輪郭が周囲溶け込みそうになっていく。

 

 脇腹に健斗の鋭い蹴りが入り肋骨が音を立てて砕け、瓦礫に突っ込んだ。



 「お前そんなんでゲミューさんを倒したのか、ふざけるな。立てよ、戦え」



 健斗の体はゴリアテだった時より一回り筋肉が大きくなり、密度も増していた。



 「蹴ってくれたお陰で痛みで思考が固まったよ」



 ガイアの輪郭ははっきりとし、まっすぐと健斗を見つめている。



 「これで同等! 健斗! 今度も俺が勝つぞ」



 健斗がガイアに詰め寄ると、健斗の余りの大きさにガイアの体に影が差す。


 すぐにガイアは懐に潜り込み、足払いを仕掛ける。

 健斗は体を倒し、回転しながら手を付き足払いを避けて、健斗は片腕を地面に付けたままありえない体勢で拳を突き出した。


 ガイアは腕をばつ印に重ね、拳を防ぐ。



 「お前、さっきは野生動物みたいな戦い方してたのにいきなり理性的な戦い方しやがって」



 ガイアは健斗から離れ、両腕をぷらぷらと垂らし痺れを取る。



 「俺の中のみんなが戦い方を教えてくれる」



 こいつ、器の力をもう使いこなしてる、人の記憶の定着なんてそんな事出来るのか?

俺もまだ出来ないのに、出来ないなら出来ないで切り替えて戦うしかない。にしても、どうするか手詰まりだな。

 ガイアは首を捻りながら策を練りはじめた。

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