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第39話 飽和

39話 飽和



 「灰龍!?」



 ゲミューは灰龍の色が変わっていく様を見て口を開けて目を見開いた表情を見せた。


 やがて灰龍は真っ赤に染まり、もがきながら膨張していく。



 「弾けろ!」



 灰龍の体は原型を留めず風船の様になり膨れ続けついには灰龍は弾けとんだ。辺り一面に灰龍の染められた赤い体液が降り注ぐ。



 「汚ねぇな」



 ガイアの拳が渦の中心となり、降り注ぐ赤い体液を集め拳が金色に輝き始める。



 「定着、万人力」



 ガイアの拳はエリックの剣技と同等の速度でゲミューに到達し、胸を貫いた。



 「俺もお前は向いてる方向が違かっただけだ。お前も間違ってはない」



 ガイアは拳をゆっくりと引き抜いた。



 「お前灰龍に自分から食われて、人の力のエネルギーで灰龍を」



 ゲミューは穴を手で抑えながらガイアに語りかけた。



 「簡単だよ、灰龍は人間の精神的な部分を食べて食うなら、それを限界まで満たしてあげれば良いんだ。俺の中のみんなの精神力を放出して無理矢理食べさせた。かけだったけど結果は上手くいったから良かったな」


 「体外への人の器の力の放出か、私の灰龍は、王国を1つ丸ごと飲み込んだ伝説を持っていたんだがな」


 「俺の中には王国の人口以上の人が居るって事だろ」


 「俺の灰龍が飲み込んだ王国の人口はそこに居た器の戦士達の中の人も合わせたら2億は居たんだぞ! 俺が灰龍の容量限界を計算に入れない訳がないだろ」


 「俺の中には2億以上は居るって事だ。その傷でもまだ死なないなら大人くしそこに座っててくれ」


 「負けたよ、完膚なきまでにな。作戦は失敗だ。武器も回収されるだろう。だがまだやる事がある」


 「ほら! やっぱりお前は負けた時の対策も絶対取ってると思ったよ、なんだ次は、もっと強い龍でも飼ってるのか?」


 「違う。これは死んでいった仲間達と、私が若人に送るプレゼントだよ」


 「プレゼント? 誰にだよ」


 「君が丸焦げにしたそこのゴリアテだよ」



ゲミューはゴリアテに目をやった。



 「ゴリアテはコードネームというかあだ名でね、本当は佐藤健斗と言う地球2世の子供だよ。地球から来た夫婦のお腹に居た子で、母がこの星で過ごすうちに変化し、この星の子供と同じように魔力を扱えるようになった」


 「それで?」


 「健斗は生まれた時から剛力で握るもの全てを壊し、普通の人間の学校には通えず私の部隊のともに生活をしていた。 

 もうあの子は16歳になる、高校に入学する歳だ。最低限の勉強は教えてきたが、私達はずっと戦いの中ではなく普通の人生を歩んでほしいと考えてきた」


 「俺に世話でも頼むのか?」


 「違う、あいつは自分の中の力に自分の体が追いついてない。だから、私達の魂であいつの体そのものを強化して有り余るその力を自由に扱えるようにする。そうすれば普通の人生を歩めるだろう」


 「そうか、それで敵の俺がその儀式を簡単にやらせると思ってるのか?」


 「君はやらせてくれるだろうなそういう奴だ」


 「…………ささっとやれよ」


 「ありがとう」



 ゲミューの体と他に残っていたゲミューの部隊の人達の体が黒い水溜りに飲み込まれていく。



 「ガイア、健斗に伝えてくれ私達の死は気にするなと、私達は捨て駒の高齢者ばかりでこの戦艦は片道切符だったんだ。お前だけは捨て駒ではない自由に生きろと」



 ゲミューはゆっくりと沈みながら正確に言葉を紡ぐ。



 「わかった、他に言う事はないのか」


 ガイアは沈みゆくゲミューの前に立った


 「無い、健斗をよろしく頼む」


 「任せろ」


 「そうだ。最後に忠告を1つ。敵と決めたら最後まで確実に叩け。君の甘さはこの先命取りになる」


 ゲミューはそう言い残すと完全に沈んでしまい。残された黒い水溜りがゴリアテもとい健斗の体を飲み込んでいった、



 「ケルベロス、俺が忘れてたのはこの事だったのか」



 ガイアは体にケルベロスが戻ったのを感じる。



 「これで、イレイザの意識も戻っただろう。決着だな」




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