第34話最低な覚醒
24話 最低な覚醒
「クッソ痛いな、どのみち倒すつもりだから良いんだけど、いきなりどうしたんだよ」
ガイアは氷柱を抜きながらそう言った。
「ピーミィは勇者と地球人だ。移住して来てまず、私の里に修行しに来た。そして結果的には里を衰退させ、私の故郷は全くの別物になってしまった」
「師匠が? そんな事するわけないだろ、そういう人じゃない」
「そう、そうだ。 ピーミィは全部善意でやってる所がタチが悪い。自分が正義だと思った人間はブレーキが効かなくなる」
「そうか、俺は師匠のやったことはわからない。今は君がヒンメルを脅かす存在に手を貸している事に変わりはない。今は君を倒してゲミューを捕まえる」
「本当にピーミィの弟子?全然似てないね、ガイア君は優しいね。そうだね、いまの君にはヒンメルを守る事の方が大事だよね。 なら結論は殺し合うしかないよ」
ヘクサは杖をゆっくりと円状に回すと周りの地面が氷を張りそこからから氷で作られた人形が出て来た。人形は青い氷でマネキンの様な見た目をしていて、人形の手は何かを突き刺すだけとしか思えない槍の様な形をしていた。
足の先端は普通なら到底立つ事は出来ないほどに尖り、手足というよりは氷柱が手と足の位置に生えているだけという感じだった。
「殺します」
ヘクサはそう呟いた。 氷の人形達が一斉にガイアに襲いかかる。
ガイアはすぐさま後ろに下がり、船首の方の壁を背にした体勢を取った。
「来い!!」
ガイアは傷ついた体で立ち上がり、自分の服を拳を巻き込むように内側から絡ませそのまま引きちぎり、拳の保護と耐久力を上げるために即席の包帯の様な物を作り、氷の人形をガイアは次々と殴り壊していった。
「まずは10体、流石だね。 次は50体行こうか」
ヘクサはその場から一歩も動かず杖を動かす。 すると氷を張った地面からさらに多くの人形が現れ、ガイアに休みなく飛びかかってくる。
「邪魔だ!」
ガイアは殴り壊していくが人形達はガイアの攻撃をものともせずにおしくらまんじゅうの様な形になり、ガイアは体中を一斉に突き刺された。
「ごめんなさいね、ただの八つ当たりだったのかも知れない」
ヘクサは少し俯き杖を指の上で回転させた。
「まだだ」
ガイアは全身に力を入れ、突き刺した人形達は腕を引き抜けなくなり後方の人形達に対して壁になった。
「その傷でも生きてるってどういう事?」
その時ガイアの体を中心に爆風が起こり、人形達は砕けさった。
「やっと助けられた。人の器ソル・ガイア、今まではケルベロスが蓋になって力を出せなかったが何故か居なくなった今ガイアを思う存分助けられる」
ガイアの傷は全て治っていく。
「やっぱり人の器か、薄々気づいてたけどね、でも弱い部類の器で助かったわ」
「私が弱いって言うの?」
「中は女性見たいね。 当然よ、人の器が最弱と言われる理由は動物、武器、自然、建物、何でも器あるけど人の器は人の想いの集合体。自分の中に無数の意識が混在する、そんなの普通の人は耐えられない。だから今のあなたみたいに1人に主導権を渡す形になるそれはもう人格が変わっただけで1人で戦ってるのと変わらないわ」
ヘクサは杖を指の上で回しながら喋っている。
「なら試してみる? 魔法なら得意よ?」
「もちろん、手取り足取りじっくり凍らせてあげるわ」
「あら、楽しみね」
ガイアの服は黒いローブに黒くて鍔の広いトンガリ帽子という何世代も前の魔法使いの格好に早変わりした。




