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第29話 覚悟と闘争

第29話 覚悟と闘争





 「どうした! 俺はひとりだぞ、来いよ」


 「行くぞ!」



 隊列を組んで向かってくる兵士をガイアは次々と船外へと放り投げていく。



 「ゲミュー! 先に行くぞ! こいつはあれを使わないと止められない」


 「そうか、やるしかないか。ご苦労だった」


 「おう、先行ってるぜ」



 老いた船員達は懐から短刀を取り出すと、10人ほどが横1列に並び、一気に自分の喉元を掻っ切った。



 「お、おい! 何やってんだよ! やめろ!! ゲミュー!! やめさせろ!」


 「ガイア、私達にはもう後がない、地球からきた人間の子孫はこの星で魔力を扱う事が出来ないんだ。 これから先、魔力を持つ事が当たり前のこの世界で魔力を持たない子供達は必ず迫害される。 だから私達は勝つしかないんだ。 未来の為に。

 勝つ為なら悪魔でも神でも何でも使う」



 男達が倒れ、そこに血溜まりが出来る。



 「ガイアと言ったか、これが私達の意地だ。魔力を持たない戦士の最後の手段だ」


 ガイアに話しかけた最後に残る老兵は仲間の亡骸の上に立つと、短刀を取り出し自分の胸に突き刺した。老兵が血溜まりに倒れると戦士達の亡骸ごと、どこに繋がっているかわからない闇に飲まれていった。


 その暗い闇が泡立つとそこから黒い槍を持った男が現れた。 



 「俺はクリーク、闘争の化身だ。 契約に従い、お前を殺す」



 クリークは姿は老兵と同じだったが、そこから漂う雰囲気は今にも飛びかかって来そうな獣そのものだった。



 「自分達の命を使って自分より強い奴らを呼び出す儀式か、そんなのどこの国でも禁止中の禁止だろ。 胸糞悪いな」


 「お前の名前はこの体の記憶によると、そうかガイアか良い名前だな。俺は戦いは長く楽しみたいタイプだからな、最初は軽くいってやる。そうは言っても素材が悪いから、1割ぐらいしか力は出ないがな」


 「お前を殺したら兵士達は元に戻るのか」


 「戻るわけないだろ、俺を引っ張るのに全てを捧げたんだから」


 「そうか、ならさっきの兵士達の決意に敬意を払ってお前を倒す」


 「言ってくれるね、ならまずは小手調べだ」



 クリークが手をかざすとその手のひらから小さなナイフが飛び出し、ガイアに向かっていった。



 「闘争の化身という割には遠距離型なのか」



 ガイアは挑発する様な口調で言いながら、ナイフを避けた。



 「まだ決めつけるのには早いんじゃないか?」



 クリークは石の塊をガイアに向けて放った。ガイアは軽々と石を殴り壊す。



 「良いね、素手で壊せるほどの力か接近戦はどうかな?」



 クリークは一瞬でガイアに近づし、ガイアに向けて右のストレートが飛んでくる。その瞬間ガイアの拳が唸り、クリークの頬を打った。 クリークは甲板の端にぶつかり、体から煙が上がる。



 「少しムカついたな、ここからは全開で行くぞ」


 「何が行くぞだ、俺から行ってやるよ」



 ガイアはクリークの足首めがけ、足の裏を見せながら滑り込んでいった。 



 「戦い方を忘れてるにしては素晴らしい動きだな」



 クリークがそう言った瞬間ガイアに向けて大剣が振り下ろされた。



 「うぉおぁ!」



 ガイアは身をよじりながら横に飛び逃げた。



 「お前の攻撃、どうなってんだ」


 「特別に教えてやるよ。 お前は面白いからな、ウンデという能力で、これまで俺を傷つけた攻撃を再現出来る、飛び道具やらナイフやら銃やら何にでもな」


 「どいつもこいつも、なんでそんなに強い能力持ってんだよ。 俺、身体能力の強化だけだぞ。負けるつもりは1ミリもないが」

 

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