第28話 記憶
第18話 記憶
「ガイア! 起きろ! ガイア!!」
ダンはガイアの胸を叩き呼びかける。
「ぁあぁぁああぁ!」
ガイアは叫びながら飛び起きた。
「ダン! 無事か、体は大丈夫か?」
「うん、右腕を龍に飲み込まれたくらい、それよりイレイザさんが」
ガイアの視界に地面に横たわるイレイザの姿が入った。
「ゲミューがやったんだな」
「うん、イレイザさんはゲミューの龍は神経や心を奪う物かもしれないって言ってた。 だからイレイザさんはゲミューを倒したらガイアの奪われた物を奪い返せると思って戦ったんだけど相打ちになっちゃて」
「そうか、わかった」
ガイアは体を引きずりながら歩き出した。
「どこに行くの?」
「お前の腕とイレイザを取り戻す、ゲミューはどこに行ったんだ?」
「船に戻っていったよ。 勇者がもうすぐ来るとかなんとか言ってた」
「そうかなら勇者が来る前に俺がゲミューを片付ける」
「気つけろよ」
「お前もな、カレンにお礼言っとけよ。 アイスの味を感じたって事は魔力がお前の体に宿ったって事だから」
ダンは船に向かって行くガイアの後ろ姿に自分の無力から来る歯痒さを感じていた。
ガイアはイレイザの体から長く伸びる蔦が船に伸びているのに気付き、それを重力に逆らうように垂直に走って行った。
船の外壁にしがみついて船の甲板が見える位置から頭を覗かす。
「お前達準備はいいか、最後の仕事だ! 勇者の太陽を奪いこの世界を手に入れる」
甲板でゲミューは船員達に大声で話をしている。
「勇者はヴァルハラで千人の我々の同胞の足止めを全て蹴散らし、今こちらに向かっている。私の食竜で勇者の太陽を奪う。手筈通りそこを全員で攻撃する。我々の勝ち筋はそこしかない」
全員同じ白い制服を来た船員達は一斉に雄叫びをあげた。ゲミューは話を終えると椅子に座り、下半身から無数に突き出た枝を医療班の船員に治療されていた。
「ゲミュー!!」
ガイアは甲板を乗り越えて、船員とゲミューの前に飛び出した。
「ガイアか、しつこいぞ」
「俺は借りは返す。お前らは勇者にやられる前に俺が全員捕まえる。にしてもお前ら全員白髪でジジイじゃねぇか」
「誰だこいつは」
「リストに載ってた奴か、どうせ勇者ほどの障害にはならない、早くやっちまおう」
船員達は口々に話しながら刃物や杖を手にした。
「なんだその、俺が小物みたいな言い方、来いよ。勇者ほどの障害にならないのか試してみろ」
その時ガイアはいつも通り、伝説の獣を己の身に呼び出そうとした。だがその獣が何なのか、自分の力の源が何だったのかが思い出せない。
「ガイア、分からないだろ自分の力の源がなんだったのか。 俺がお前から取ったのはそれだ。 一時的だが、普段の戦い方は出来ない。 思い出すとかそういう次元じゃないし、今のお前はガキのように殴るぐらいしか出来ない」
「上等だよ。ガキの喧嘩で負けるお前らが哀れだな」
ガイアに向けて、船員達は陣形を整え、一歩、一歩ガイアの動ける範囲を狭めに来ている。ガイアが右に一歩動けばガイアの右手の船員達は一歩下がり、左手の船員は一歩詰める。
「じれったいな」
ガイアは一気に船員達に詰め寄った。
「いけ!」
盾を持った船員達がガイアの前に立って 動きを止めようと腕を掴む。
「離せ!」
ガイアは腕を駄々をこねる子供の様に振った。 船員達はまるで重力が無いかのように簡単に吹き飛ばされ、船外に放り出された。
「俺は戦い方云々じゃなく、元から天性の肉体を備えてるんだよ。覚えとけよお前ら」
圧倒的多数のはずだった船員達の顔に曇りが見え始めた。




