第25話 地球派と新星派
第25話 地球派と新星派
「ダン! 大丈夫か!」
ダンはガイアの言葉に反応せずに地面に座り込んでいる。
「真上の船が見えないのか! ここに居たら危ないぞ」
「ガイアか、俺の家がただの瓦礫になっちまった。ずっとここに戻ってくる為に子供達の面倒を見ながら頑張ってたのに」
ダンは糸が切れたようにぼうっとしている。
「立て! 船から敵が降りて来る。立って俺の後ろについて来い!お前が死にたくても無理矢理でも連れて行く」」
「何したって守るつもりじゃん」
「当たり前だろ、お前が今どう思ってようと大人は子供を守るもんだ」
「大人ってまだ19歳じゃん。 誕生日まだ来てないでしょ」
「そうだけど、お前よりは大人だよ。 もう大丈夫だな、立てるか?」
ガイアはダンに手を差し伸べる。 ダンがその手を取るとガイアは一気に引っ張り、ダンを立たせる。
船からは地面に下ろした縄をつたって、全身重装備で覆われた船員達が降りて来た。
「イレイザ! 降りてくる敵を地面に着かせるな! 空中にいる無防備な状態で処理しろ」
「分かりました」
イレイザは瓦礫に根を張らせた。根を蜘蛛の巣のように網状に変化させ、パチンコの原理で瓦礫を船員達に向けて打ち出した。
瓦礫が船員に当たると船員は縄ごと弾け飛ぶ。
「総員散開! 敵は投擲物を使用する模様! 直ちに降下ロープから滑車を外し、各自飛び降りろ!」
既に空中に飛び出していた船員がそう叫んだ。
「あれが親玉ですかね、先手必勝です」
イレイザは叫んだ声の主の装備を付けていない老人に向けて瓦礫を発射した。
老人の前に普通の船員の倍の背丈はある大男が現れ、瓦礫を大剣にしては太すぎる鉄の塊の様なもので瓦礫を叩き壊し、地面に着地した。
「手痛い歓迎だな、誰だ君達は」
老人はコートの埃を手で払うとそう答えた。
「誰だ君達ってこっちのセリフだよ、人の様の土地を無茶苦茶にしやがって何のつもりだ?」
「私はゲミュー、地球人だ。地球再建の為にはこのヒンメルが邪魔だから落としに来た」
「地球人? お前トウヤの仲間なのか?」
「トウヤ? あの勇者の事か、仲間ではない。目的は一緒だが、手段が違う」
「ならトウヤとお前らの目的は地球再建だろ? なんでその手段がヒンメルを落とす事なんだよ、ヒンメルはトウヤが作ったんだぞ」
「だからだよ、私達地球派は地球の人間達だけで新しい世界を作りたい。だが勇者達、新星派はこの世界の人間と地球の人間両方を合わせた世界を作りたがってるんだ」
「良いじゃないか、それで」
「無理だよ、元々我々と勇者は地球から派遣された1つの団体だったんだが決裂してしまったんだよ。同じ星から来た人間が仲良く出来ないのに、違う星同士の人間が仲良く出来るわけない。お喋りが過ぎたな、予定通りヒンメルを落とさなくては」
「お前らの事情は知らないがヒンメルを落とすと言われて、はいそうですかで済ます訳にはいかないんだよ」
ガイアは拳を合わせると首と両腕に噛み跡が現れる。
「ソル・ガイア。ヒンメル防衛隊からヴァルハラに引き抜かれて活動中、その前の記録は無し、戦闘はケルベロスという伝説の獣をその身に宿して戦う肉体派か。 このヒンメルでは最強格だね。
もう1人はジル・イレイザ、アラウルネと人間のハーフか街中に植物でいう蔦のような髪を張り巡らせて、感知や攻撃をおこなうか、この街の中ではガイアと同格の強さだろうな」
ゲミューは紙を取り出し読み上げると、それを破り捨てた。
「ゴリアテの敵ではないな、行け」
ゲミューが指示を出すと、ゴリアテと言われた大男はイレイザに向けて持っていた石の柱を放り投げた。
「イレイザ!」
石の柱のスピードは尋常ではなく、イレイザの眼前へと迫っていた。
「危ないですね」
イレイザの体は石が空中を切る風圧を感じながらギリギリの所で空中に飛び上がった。 その瞬間、周りの地面や建物にイレイザの髪のつたが伸びて根を張りイレイザは空中に蜘蛛の巣を作り、その中心佇んだ。
「やっぱりゴリアテには投石でしょうか」
イレイザは再びゴリアテに向かって瓦礫を髪の毛で反射し、一斉に発射した。




