第20話至高の料理人と戦艦街②
第20話至高の料理人と戦艦街②
魔術師アイス
ガイアとカレンはひとしきり屋台やレストランを周りヒンメルを堪能した。
「いやーーお腹いっぱい! ずっと食べっぱなしで夕方になっちゃったね」
「ヒンメルの大根スパゲッティとか絶品だったでしょ。今度ヴァルハラでも出してよ」
ガイアはスパゲッティの汚れをハンカチで拭きながら話した。
「多分地球由来の料理でしょうね、ヒンメルは勇者様にゆかりのある土地だし、初めて見る料理だったよ」
「地球由来でもどっちでも美味しい食べ物は正義だな」
「そうですね」
カレンはガイアの言葉を聞くと少し顔が明るくなりそう答えた。
「それで、私は誰に料理を作れば良いの?」
「もう少しこの道を先に行った所に居るはず」
ガイア達は街の路地を行き、道が少しずつ細くなり始め、薄暗い路地を進んでいった。
「よしここで待ってれば来るはずだ」
「来るって何が?」
ヴォルトとカレンは薄暗い裏路地で布切れを纏った集団にあっという間に囲まれてしまった。
「ガイア、大丈夫なのこの状況囲まれてるけど」
「全然、大丈夫俺に任せて。 こいつらはゼロの子供達、生まれつき魔力を持ってない捨て子達だ」
「それで何が悪いの?」
「危ない! どこも悪くはない、魔力を、持たなくなって別に良いだろう。
ただヒンメルで生活するには火を起こすにも回路に魔力を流して火をつけたり、地下水から水を汲み上げるのにも回路に魔力を流す。ヒンメルは魔力を持つ者だけに最適化した都市なんだ」
ガイアはカレンの背後に迫った子供に杖を向けると杖を一瞬光らせ子供を怯ませた。
「変に近代化が進みすぎてるから何か裏があるんじゃないかと思ったら、そういう事ね。 弱い者を切り捨てる所は帝国と一緒ね」
「そう言われると頭が痛いな、俺が団長の時は街のロジャーという大富豪がまとめて子供達の面倒を見てたんだけど老衰で死んでしまってね。
幸い子供が1人居て俺が色々サポートする形を取ろうとしてんだが、勇者に負けてヴァルハラに連れて行かれしまったからな、その間に親戚に財産を全部取られてしまったらしいんだ」
「で、私がこの子達に料理を作って魔力を増幅させて普通の子供にしようって事ね」
「そう、そういう事。普通って言い方も変だが、魔力が自分で生み出せる様になれば一般家庭に養子にも行けるし、最悪防衛隊の訓練生になればいいからな。 魔力を増幅をさせる料理を作れるんだろ? 」
「しょうがないわね、そう言う理由なら手を貸しましょうか。私の料理は人生を変える!」
ガイアは杖で地面を叩くと深呼吸をし、子供達を手招いた。
「俺の名前は魔術師アイス、お前達に危害を加えるつもりはない。 大人しくしてくれ」
子供達は顔を合わせるとどうして良いかわからない様子で立ちすくんだ。
「あなた達お腹が空いてるのね! ご飯にしましょ!」
カレンが指を鳴らすと手のひらにシャボン玉が現れ、ゆらゆらと漂い子供達の前で破裂すると中から山盛りのパンが現れた。
子供達はパンを見た瞬間包囲をやめて、パンに食いつく。
「話し合いはまずはお腹を膨らませてからでしょ? ガイア!」
「助かったよ、呼びかけに応じなかったら殴るしか打開策が思いつかなかった」
「そりゃ私の料理が凄すぎるからよ、あなたは悪くないわ、今回はパンだけど。 ほら!」
ガイアはカレンから投げられたパンを受け取ると子供達を眺めながらパンをちぎると口の中に放り込んだ。




