第13話 世界の半分をお前にやる⑤ 裏切り
第13話 世界の半分をお前にやる⑤ 裏切り
「パーシバル! やったな!」
ガイアが満面の笑みを浮かべながら振り向くとガイアは絶句した。
「ありがとう、ガイア、ちょうど良かったよ」
そこには倒れ込んでいるパーシバルに剣を突き刺すユーベルの姿があった。
「お前! 何してるんだ!」
ガイアはユーベルに詰め寄るが木の影から何かが前に飛び出してくる。
「ミラ!! 無事だったのか!」
突如飛び出してきたミラはガイアの足に引っ付き足に顔を埋めた。
「怪我はないか?」
ミラがガイアの呼びかけに応じ顔を上げるとその目は眠る寸前の様な虚な目をしたと思うと、ガイアの太ももに激痛が走るとそこにはミラが虚の目でナイフを刺す姿があった。
「ミラ!?」
ガイアはミラから後ずさるとヒルゼが潰されている木に倒れかかる。
「お前の仕業か」
ガイアはユーベルを睨みつける。
「そうだよ? 人の器の力、完全掌握。 簡単に言えば人を操れるんだよね、思いのままに出来る。 僕と同じ君みたいな人の器には通用しないんだけどね。
だから3人で潰し合うように誘導したってわけ、後はヴァルハラに嘘の報告を村の奴らにさせれば僕の世界を築くのを邪魔する奴は居なくなる」
「お前が村の失踪事件を全て起こしていたのか?」
「だからそうだって、僕も最近この力に目覚めてね、慣らすというか実験? それで村人を使ってたんだよ」
「クソみたいな考え方だな」
ガイアは呼吸を整えるのでギリギリだ。
「君も器じゃなくてもそれだけの力を持ってればわかるだろ? 優れた人間、いや神に近い存在が人間を導いていかないとどんどん衰退する。 僕が重い腰を上げて導いてあげようとしてるんだ」
「クズが、殺してやるよ」
「あーー、怖い、怖い。 今の君じゃ僕が操る村人や魔獣には勝てないでしょ。
それこそこの森には無尽蔵に操れる対象が居るし、ここで逃がす気も無いし、さぁみんなやっちゃって良いよ」
ユーベルが声をかけると木の影から消えた村人達がつるはしや、くわを持ち虚な顔で近づいてくる。
「その人達操られてるだけで能力を解いたらただの人に戻るから傷つける時は考えてね。 僕としては全然殺してもらっても構わないんだけど、じゃあ僕はもう行くよ。 やる事があるんでね」
ユーベルはそう言うときた道を村人を引き連れ戻り始め、残った村人が一気にガイアに向かってゆっくりと歩き始めた。
ガイアはヒルゼが潰されている木を叩き割り、ヒルゼの横に寝転びヒルゼの体を力無く揺さぶる。
「おい、起きろ。 ヒルゼ、ヒルゼ」
「…………魔王様? なんだお前か、何のようだ? 私は負けた、殺したいなら殺せ」
「殺すわけないだろ、それより逃げるぞ」
ヒルゼは辺りを見回し、背中にナイフを突き立てられたパーシバルと虚な目で歩いてくる村人を見た。
「仲間割れか、結局人間は私達が何もしなくても死んでいくな」
「いいから逃げるぞ、今は村人を無傷で拘束できるほど余裕は無い」
「4、5人ぐらいなら私は殺せるが?」
「その後逃げれるのか? ざっと魔獣も合わせたら50体は居る。 愛しの魔王様に二度と会えなくるぞ」
「それは耐え難いな、仕方ない手を組む」
「とりあえず逃げよう、体制を立て直す」
「手貸して、あんたのせいでどっかの骨が折れて立てないわ」
「それは悪かったな、ほら手を取れ」
ガイアは胸と太ももから血を流しながらもヒルゼを担ぎ上げ、おんぶする形になった。
「悪いな血だらけで」
「戦いで流れた血を恥じる事はない、お前は他の人間よりかはマシだな」
「ありがと、それで? どこに逃げる? 幸い村人達の動きは鈍いから良いけど、俺ももうそんな遠くには逃げれないぞ」
「魔王様の所に行こう」
「それしかないか、今俺がヒルゼ怪我させたとか魔王が知ったら俺殺されたりする?」
「可能性は高いな」
「そっかーー」
ガイアは渋い顔をしながらヒルゼの指示通りに村人を振り切り、森の奥深くへと向かっていった。




