表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/307

第三話 信用

 ユアン達はメイドに部屋を案内してもらい暫し休憩を取ることにした。その間でユアンは先程のウェント公爵との戦いで極力動きたくないようだった。


 「あーなんでいきなりこうなるのかなー」


 ソファの上で休むユアンが口を開く。


 「しょうがないよ。この国の公爵様に言われたら断ることはできないもんね...」

 「けどさすがに英雄と言われるだけはあるよ。なかなか強かったな」


 それを聞いてザルク公爵は少し嬉しそうにしている。


 「そうだろう?あの人は僕の尊敬する人の一人なんだ。弱い人を助け市民を守る強い人だよ」

 「まぁ強い人だってことはわかりますよ。でも、いきなり戦うことはないでしょ...」

 「それがウェント公爵のちょっと大変なところだね...強い人を見ると戦いたくなるってこの前言っていたから...」


 それを聞いそれを聞いてユアンはため息を吐いた。

 まさか自分がその生贄になったと思うと被害者のような気持ちになってくる。多分、ケントや他の賢者を連れてきても同じようなことになるだろう。ケントなら喜んで試合しそうだけど...


 「ザルク公爵、謁見の準備ができましたのでご移動お願いいたします」


 メイドが部屋に入ってきて準備ができたことを伝えてくれた。それを聞いてザルク公爵はソファから腰を上げてメイドの指示に従った。


 「ザルク公爵、私たちは?」

 「君たちは護衛だから謁見に参加しなくても大丈夫だよ。ここで休んでていいよ」


 そう言ってザルク公爵は部屋を出て行った。

 メイドに案内してもらうと謁見の間に到着した。

 扉が開き絨毯の端までザルク公爵は歩いて片膝をついた。目の前には現国王のルーカス・リ・クロームが王座に座っている。


 「遠いところわざわざすまなかったな、ザルク公爵」

 「いえ、とんでもないです」

 「濃霧の森の件感謝する...が、ザルク公爵が連れてきた護衛?の子供を使うとは本気か?」

 「はい本気です」


 ユアンの実力はジェロンドによって報告を受けているがルーカス国王は信じていなかった。


 「ならこの目で確かめさせてくれぬか?」

 「では、どうやって?」


 すると、ルーカス国王からとんでもない提案が出された。


 「御前試合を開催すれば良い。それでわしがこの目で確かめてやろう」

 「!?本気ですか!?ルーカス国王!」

 「本気に決まっているだろう。実力も知らない奴に国の仕事を任せるわけにもいかないしな」


 確かにルーカス国王の言う通りだ。実力が知らない人に国に関わる仕事は手伝わせたくないのは誰でも同じだ。


 「わ、わかりました...ではユアン君と戦う相手はどうするのですか?」

 「そんなものジェロンドに決まっているだろう。ジェロンドから聞いたが、ユアンという子供はアウスト王国最強と言われているそうだな。だったらこちらも国最強のジェロンドに相手にする方が都合が良いだろ?」


 話の筋は通っている。けど、いきなりユアン君とジェロンド君が本気で戦ってしまったらこの国が危うくなってしまう。


 「それと、ユアンという子供が濃霧の森に適任でないと判断したらアウスト王国の援助は無しとする」

 「それは約束が違います!」

 「なぜだ?私は濃霧の森の異変を解決できる人をよこしてくれと書いたはずだが?それを守らなかったのはそちらの国だろう?」


 これを承認しなかったら援助はできない...この状況を打破するためにはユアン君に頼るしかない。


 「わ、わかりました」


 ザルク公爵は力なく答えることしかできなかった。そのまま謁見は終わりザルク公爵は先程の部屋に帰ってきた。


 「どうしたんですか?そんな疲れた顔をして?」

 

 部屋に入ってきたザルク公爵はとても疲れた顔で帰ってきた。


 「さ、さっきの謁見の話聞いてくれないか...」

 「「ん?」」


 ザルク公爵は謁見で起こった出来事を事細かく教えてくれた。話が終わるとザルク公爵はユアンの腰に抱きついてお願いをした。


 「お願いだユアン君!君の力が認められないと国の援助が出せないんだ!」

 「え、もうそれほぼ強制じゃないですか!嫌ですよ!聞いていた話が違いますし!」

 「そこをなんとか!」


 ここまでおかしくなっているザルク公爵を見るのは初めてだった。ユアンもアイもどうすればいいのかわからなかった。


 「ユアン...出てあげたら?確かに話は違うけど、力を認めてもらわないと国の援助を出してもらえないみたいだし...」

 「でもなぁ...」

 「じゃあ頑張ったら今度お願い一つ聞いてあげるからさ♪」

 

 ユアンはそれを聞いて渋々了承した。

 

 「わかったよ...協力しますよ...」

 「あ、ありがとう!国に帰ったら報酬ははずむから!」

 「で?いつやるんですか?」

 「明日だよ」

 「「あ、明日!?」」


 最近戦ってばかりのユアンは精神的に疲れていた。もうゆっくりと休みたいと願うユアンだったが、そんなことはできないような気がしてたまらなかった。ユアンは明日ためにアイと軽く手合わせをしてからすぐにベッドの中に入って体力を回復させた。

いつもありがとうございます。面白かったらブックマークと評価をお願いします。感想もお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 直感が外れ無しならもう予知と同等だからね
2021/12/09 18:39 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ