第二十話 魔人襲撃8
王都での戦闘が続く中、貴族街ではペトラが二人の魔人を実験材として扱っていた。
「んん!」
太っている魔人はペトラの闇の拘束で拘束されていて動けない状態だった。そしてその上にペトラが乗っている。
「ん、うるさい」
ペトラの闇の拘束がさらにキツく締まる。それに伴い、太った魔人はさらに苦しむ。
「ん、お前の体の構造は大体わかってきた。ん、お前は自分より魔力が少ない魔法だけ食べることはできるけど、それよりも大きい魔力だと食べることはできない。ん、そうでしょ?」
「ち、違う!オラはどんな魔法だって食べれる!」
苦しみながらも太った魔人はペトラの考察を否定する。すると、ペトラは太った魔人から降り、顔の前にしゃがみ込んだ。
無理やり闇の拘束を操作して口を開けさせ、巨大な闇玉を太った魔人の口の前に作り出す。
「ちょ!そんな大きいのは...」
太った魔人はペトラの作り出した魔法を見て焦りを感じたが、ペトラは止まることはなかった。
「ん、どんな魔法でも食べれるって言ったのはお前」
そう言って巨大な闇玉を太った魔人の中へと強引に入れた。
「フゴッ!ブガッ!!」
巨大な闇玉が太った魔人の中に入ると苦しみながら魔人は悶えているが、闇の拘束のせいで動きが制限されていたため激しく動くことができなかった。
「も......む...り...」
数秒は耐えることができたが、すぐに太った魔人は破裂していまい、周りには太った魔人の血液や肉塊が飛び散る。ある程度予想ができていたペトラは自分の周りに結界をはり服が汚れることはなかった。
「ん、次はお前」
ペトラが視線を移すと、瓦礫の上で様子を見ていた老魔人は太った魔人が死んだことを確認して準備体操をしていた。
「ふぅ〜やれやれ。ようやく汗臭いのが死んだの...さて次はわしの番じゃの」
老魔人は持っていた杖を置き、高速でペトラに駆け寄った。
速い...けどユアンやケントほどでもない。
一瞬その速さに驚きはしたが、それよりも速い人を知っていたのですぐに対処ができた。向かってくる方向に合わせて結界で捕まえることだ。
老魔人は一直線にペトラに向かって行ったので容易に捕まえることができた。
「!?何じゃこれは!」
「ん、結界だよ」
「結界じゃと!?」
先ほどでも見せたけど...と内心思いながらも、この老魔人も実験の材料として使おうと決めていた。
「ん、お前は魔法でワープができると思う?」
「できるわけがないじゃろうが!」
老魔人はキレ気味に答えた。それはそうだ。昔からワープ魔法は研究をされていたが誰もたどり着けない伝説の魔法とされていた。例外としては人の命を犠牲にした闇のアイテムがあることは有名だが、人をワープさせるのはその道具を使うことしかない。
「ん、ワープを実現させるには行きたい場所にマーキングをつけることと、闇属性が使えることが基本。これだけなら揃えるのは簡単だけど、問題はいくつかある。それはマーキングをしていざ、その空間に入ったとしても必ず死体として出てきてしまうこと」
それを聞いて老魔人はゾッとする。
「ん、ここにマーキングをする」
ペトラは自分から少し離れた場所に闇魔法でマーキングをする。
老魔人の予想は的中した。ペトラは老魔人をワープ魔法の実験台にしようとしている。
「おい!やめーー」
「ん、開始」
老魔人の上空に黒い穴が空き、老魔人はその穴に吸い込まれていく。
「グォぉぉぉぉぉ!!」
必死に耐えるが、魔人はその穴に吸い込まれていった。次の瞬間、マーキングしたところから黒い穴が開き、球体のようなものが落ちてきた。よく見てみるとそれはさっきまで原型をとどめていたはずの老魔人だった。現在はただの肉塊となっておりすでに息はしていなかった。
「ん、失敗した」
ワープ魔法で一番厄介なことは穴に吸い込まれた時に中で起きることが予測できないことである。中で行われている予想では重力によって押しつぶされたり、ねじられ引き千切られなど様々な仮説が立てられている。今回起きたことは重力によって押しつぶされたものだとペトラは判断した。
老魔人が死んだことを確認するとペトラはその場をさり、魔物が広がっているところへと移動した。
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