第五話 適性検査
俺たちは、前世のことを話してから今できることを決めた。俺たちは神様からスキルをもらうまでの間、魔法の練習をすることにした。魔法の性質は一人一属性が基本らしい。稀に何属性か使える人がいる。自分の属性を知る方法は二つある。一つは、教会にある水晶に魔力を込めると色によって自分の属性を知る事ができる。2つ目は、各属性の魔石に魔力を込めて、魔石から魔法が出たら自分がその属性を使う事ができる。一番よく使われるのが魔石での適正方法。村には教会がないので魔石で行うしか方法がないが魔石も全属性集めるのは大変で市場で売られているのは火、水、風、雷、土の属性しか出回らないという。光と闇の魔石はとても貴重で滅多に市場に出ないらしい。でも、俺たちはまだ三歳。属性を知るどころか、魔石を手に入れることから始めないと先に進まない。
「そもそも、魔石ってどこで手に入るの?」
とアイが聞いてきた。
「「知らない」」
俺たちは口を揃えていった。まだ俺たちはこの世界に来て三年しか経っていない。
「そうだよねぇ.....じゃあ、五歳まで待つしかないかな...」
アイが珍しくガッカリして落ち込んでいる。俺がアイを励まそうと声をかけようとした時、ケントが大きな声を出した。
「そうだ!!村長さんのところに行けば何かわかるかも!」
俺の中では、流石にそこまでして自分の属性を知りたいとは思っていなかった。できれば五歳までゆっくりと村の生活をしていたい。そんな俺の気持ちは知らずに話が進んでいく。
「そっか!村長さんなら何か知ってるかもしれないし行ってみようよ!!」
ケントの発案で元気になったアイ。俺は違う言葉で元気になって欲しかったが、しょうがない。
俺たちは村長さんの家に行くことになった。
「村長さーん」
アイは村長の家のドアを強く叩いた。するとすぐにドアがあいた。中から白髪で髭の生やした村長が出てきた。
「おお、どうしたんじゃ?そんなに急いで」
「あのね、私たち魔法が使いたくて、それでね」
アイは興奮しているのかうまく言葉になっていなかった。それを見て村長は「ホッホッホ、まあゆっくりでいい」
と言って家の中に招き入れてもらった。村長は落ち着きなさいと言って飲み物を三つテーブルの上に置いた。
俺たちはコップに入っていた飲み物を飲んで改めて話の続きをした。
「村長さん。私たち魔法が使ってみたくて、でも魔石がないと自分の属性が分からないから魔石を手に入れようとしたけど、どこで手に入れるか分からないから村長さんに会いにきました」
アイが話おえると村長は難しい顔をしていた。
「うーむ。魔法を使えるのは五歳からじゃぞ?魔石があったとしても魔法を使えるかどうか....」
「そうなったら、五歳まで待ちます。でも今は魔石がどこで手に入るかが知りたいです」
アイの話を聞き終えると村長はまた難しい顔をした。
「魔石のことは話てもいいが、それより一つ聞きたい事がある」
「なんですか?」
「お前たち本当に三歳か?」
「「「えっ?」」」
俺たちは聞かれたくないことを聞かれて戸惑った。確かに普通の三歳児だったら遊ぶことしか考えてないし、そもそもこんなに流暢に言葉を話す三歳児は見た事がない。
「え?まだ私たち三歳だよ」
「それにしても言葉が大人と変わらないじゃないか」
いたいところを突いてくる。確かにここまで話す三歳児はいない。
「本を読んで勉強しました」
ケントが答えた。確かに言葉を覚えるなら勉強するか自然と身につくかしかない。
「ほ、本か....それならまだ分からなくもないが....まあいい。魔石について知りたかったんじゃな?」
「うん!!」
力強くアイは頷いた。
「魔石はな、ダンジョンや洞窟でしか見つからんのじゃ。だから今のお前たちじゃ魔石を入手することはできないんじゃ」
アイとケントは村長の言葉を聞いてガッカリしていた。俺は心の中でガッツポーズをしていた。魔石が簡単に手に入れば自分の属性がわかったら魔法を練習するっていうのはわかってる。俺はそんなことしたくないのでゆっくりと二年間を過ごせると思ったが、
「今のお前たちに魔石は手に入らんが、ワシが持ってる魔石なら貸してやるぞ?」
「「えっっ!本当に!!」」
村長の言葉にアイとケントは元気になったが、俺はそれを聞いて落ち込んだ。魔石があるということは二年間ゆっくりと生活できる計画は崩壊した。
「お前たちだけじゃ危ないからワシの目の前でやるんじゃぞ」
そう言って俺たちは村長の家から離れた場所に移動した。
「ここならいいじゃろ。まずはわしが手本を見せるから、その後お前たちがやりなさい」
村長は袋から五つの魔石を取り出した。その中から蒼い魔石を手に持って握った。すると村長の中から水が出てきた。さすがに俺もテンションが上がってしまった。
「うわ、水が出てきた」
「わしはこれしか出来ん。お前たちはわしと同じようにやってみなさい」
そう言って村長は蒼い魔石を俺に渡してきた。
「魔石をもったら、手に魔力を集めるんじゃ。それで魔法が出たらその属性を使えるぞ」
俺はそれを聞いて蒼い魔石を手に取り魔力を集中させてみた。だが何も起こらない。俺は水属性は使えないみたいだ。
ケントは紅い魔石を手にとって魔力を込める。すると手の中からすごい勢いで炎が出た。
「あっつ!?くはないな」
村長の家の近くで炎が上がったので村の人達が集まってきた。
「なんだ、なんだ。いきなり火柱が出たと思ったら....」
村の人達は言葉を失った。巨大な炎を出していたのが三歳の子供だっただなんて。集まってきた人達に中には俺達の親もいた。
「ちょっと何したの!?」
勢いよく現れたのはケントの母親だった。村長は今までのことをケントの母親に話した。その結果、俺たちの両親の前でもやることになった。ケントの母親が俺達の親を集めるとまた属性の適性検査が始まった。
俺も何となく紅い魔石を手に取り魔力を込めた。すると、ケントまではいかないが大きな炎が出た。それを見て大人達は絶句である。それでも気にせずに俺達は進めていった。
アイは蒼い魔石を持つと手から水が溢れ出てきた。一応俺達は自分の属性を知る事ができたが、属性を二つ持っている人もいると聞いてもう少し調べたいと思った。俺は黄色い魔石をもって魔力を込めた。すると、俺の体からバチバチという音を出して電気が出た。俺は、火と雷の二つの属性を持っている事が分かった。その他の魔石も同じようにやってみたが、俺は火と雷の二属性持ちだ。ケントとアイも同じようにやって、ケントは火と風の二属性持ち、アイは水属性しか持っていなかった。魔石は光と闇がなかったので全ての属性を調べられたわけじゃないが自分の属性が分かって面白かった。
次の日から村では、俺たちのことを神童として崇められるようになった。
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