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第九話 クラス分け

 ユアン達が入学試験を受けてから三日が経った。あの後陛下は王妃からこっぴどく叱られ当分は仕事以外で部屋から出るのを禁止され食事もメイドが部屋まで持っていくということになった。


 ユアン達は明日の入学式に備えて準備をしていた。準備といっても、支給された学生服を着ていけばいいもので特に持っていくものはなかった。強いて言えばユアンはいつも装備している刀ぐらいだ。明日学園に行けばクラス分けをされている掲示板を見て一旦クラスに集まり、みんなで会場に行くらしい。まるで前世と同じ入学式みたいだった。


 「クラス分けか.....まぁどうせわかってるから見なくてもいいんだけどなぁ」


 ユアンは独り言を呟いて自分の部屋を出た。ユアンは部屋を出てケントの部屋に向かった。ケントの部屋に着きノックして部屋に入る。ケントは机にひれ伏せているようにして眠っていた。


 「おい、ケント起きろ!書けたのか?」


 「んにゃ...ああ、ユアンか。どうした?」


 ケントは眠い目を擦りながらユアンを見た。


 「どうしたじゃねーよ。明日の挨拶は書けたのか?」


 「いや、全然進んでない。てゆーか全然終わらん」


 ケントは書き途中の紙をユアンに渡す。ユアンはケントが書いた短い文を読み良いところと悪いところを指摘した。


 「だけどまぁ思っていたよりは書けてるじゃん。十歳の子供が書いたんだから十分な気はするよ」


 「だよな!ならこれで良いと思うか?」


 「まぁ少し修正加える部分もあるけど十分じゃねーの?」


 「よし!じゃあこれで終わりっと!」


 ケントは持っていたペンを机に置き、勢いよく立ち上がってベッドに飛び込んだ。


 「あー疲れた。明日って入学式だけだっけ?」


 「あと、クラス分けの教室にいって軽く話を聞くだけ」


 「クラス分けか!同じクラスだったら良いよな」


 「クラスは入学試験の時の成績で決まるから俺らは同じだぞ」


 学園のクラス分けは入学試験の結果を参考にしてクラス分けをされる。首席から三席まで決まっているのならばユアン達が同じクラスになるのは確定だ。あとはクレアがユアン達と同じぐらい成績が良ければ四人が同じクラスになれる。


 まぁ結果は「未来予知」で見えてるけど.....


 「じゃあ俺たち三人は同じクラスなんだな!あとはクレアが一緒だったら良いな。結果について何か見えてないのか?」


 「見えてるよ。何?知りたいの?」


 「いや、別に良いや。明日の楽しみにしておく」


 「それが良いよ。じゃあ明日の挨拶頑張れよ。首席君」


 そういってユアンはケントの部屋を出た。ユアンはそのまま自分の部屋に戻りベッドでくつろいだ。


 (明日の入学式が終われば六年間は自由に生活ができる。賢者の仕事と併用しながらだけど.....賢者が動くようなことがなければ安心安全な学園生活ができる)


 ユアンは何も問題が起きませんように!と神に願いつつ仮眠をとった。起きると夕方で窓から見える景色はオレンジ色に染まっていた。


 (やべえな....寝過ぎた。)

 

 ケントのところに行ったのが午後一時。三十分ぐらい話をして戻ってきたから約四時間以上は寝ていたことになる。

 もうすぐ夕飯の時間だ。もう少しだけゆっくりしようとまたベッドの上に横になった。コクコクとうたた寝をしているとドアをノックする音が部屋に響いた。


 「ユアン様夕食のお時間です」


 その声はいつものセバスではなく女性の声だった。ドアを開けるとメイドが部屋の前に立っていた。


 「あれセバスさんは?」


 「セバスさんは奥様の体調が悪くなったと聞いて急いでご実家にお帰りになりました」


 「そうなんですね....」


 朝セバスを「未来予知」で見たときはそんなことは見えなかった。もしかしたら何かイレギュラーなことが起こっているのか不安になる。ユアンは周りの人たちを「未来予知」で見て周囲に気を配るようにした。夕食時にケントとアイ、クレアを見たが特に何かが起きるという未来は見えなかった。考えすぎか?と思いつつも何かが起きてからでは遅いのでユアンは入学式の時や街の中に行った時も常に「未来予知」で周りを見ようと心に決めた。


 入学式当日、朝食時にみんなの未来を見たが昨日と同じ未来だった。朝食を食べ終えて準備して城を出る。城の前には入学試験と同じように馬車が待っていた。その馬車に四人が乗り学園へと向かった。

 学園に着くと正門を入ってすぐにクラス分けの張り紙が貼ってあった。ユアンの教室はSクラスと書かれており指定された教室に向かうように近くにいた教員に促された。他の人の名前を見てみるとケントやアイ、それにクレアの名前が書かれていた。


 「やったね!ユアン!私たち一緒のクラスだよ!」


 「まぁそうだろうね。あの試験の結果なら....」


 「ユアン様もこれからよろしくお願いします」


 女子二人から挨拶されて嬉しいが少し恥ずかしかった。その恥ずかしさを隠しながらも「よろしく」と返した。四人で指定された教室に向かうと、教室には十人ほど既に教室の中に入っていた。見た感じは全員貴族の出身なんだろうなと見ただけでわかるような振る舞いをしていた。クレアが教室に入ると教室にいた男子はクレアを見てすぐに近づいてきた。


 「これはクレア王女殿下、今日もお美しいですね」

 似たような言葉をみんな同じようにクレアに言って近づいてきた。


 「皆様ありがとうございます。これからよろしくお願いします」


 クレアの表情はさっきの正門で言った時と比べると少し元気がなかった。クレアが挨拶を返すと近くにいた貴族の嫡男達は「ではまた」と言って自分の席に戻って行った。少し元気のないクレアに気づいてケントが声を掛ける。


 「大丈夫クレア?元気ないけど...」


 「すみません。さっきから私のスキルが反応してしまって....」


 「ああ、なるほど。そういうことだったんだな。体調悪くなったらすぐに言えよ」


 「はい!ありがとうございます!ケント様!」


 先ほどと違ってクレアの笑顔は簡単に戻った。クレアのスキル「心眼」は他人の悪意を見抜けるという能力だが、あのような貴族の嫡男達みたいなのが集まってくると悪意ではないが悪意とは違った何かが見えてしまうらしい。

ケントとクレアの会話を聞いて一人の男子がこっちに近づいてきた。


 「おいお前クレア様にタメ口を聞くとか馬鹿か。お前みたいな平民はSクラスにいること自体が間違ってんだよ。わかったらとっとと誤って他のクラスに行けよ」


 周りからも「そうだそうだ」などのヤジが聞こえるがユアン達は全く気にしなかった。唯一気にしているとしたらクレアだった。


 「その平民が主席を取ったんだからお前ら貴族の教育って大したことないんだな」


 ケントが壮大な煽りをする。ケントの煽りでユアン達は笑ってしまった。王族であるクレアまでも。煽られた貴族達はケントに魔法を撃ってきた。魔法が当たり砂煙が発生する。砂煙がなくなってケント達の姿が見えてきた。


 ケントの周りには結界が張られていてケントは無傷だった。


 「なんだあの魔法は!?」


 周りの貴族は驚いている。魔法は当たったように見えたが、ギリギリの状態でユアンが結界を張った。


 「あぶねーな。こっちには王女様とかいるのに普通に魔法撃ったぞあいつ」


 「さすがにユアンの結界がなかったらかすり傷とかしてたんじゃね」


 「さすがにしないだろ。あの程度の魔力弾で怪我するような俺たちじゃないだろ」


 「それもそっか」


 先ほど撃った魔法はなかったかのように話すユアンとケント。それを見てさらにぶち切れる貴族達。貴族達はさらに魔法を撃とうとするが、教室に入ってきた教師に止められた。


 「はいはーい。今の一部始終を見てたけど、今の状況を見てたら悪いのは君たちだよ」


 そう言って貴族の方を指差す。


 「ですが、私たちは王女様に向かってタメ口を聞いていたので注意を」


 「へぇそれで魔法を撃ったんだ。それに近くには王女殿下もいたよね?そんなこと言ってよく魔法が撃てたね」


 貴族達は黙り込む。この学園は貴族と平民が関係なく学業を勉強する場所だ。初日にこんな事件が起きると印象が悪くなる。


 「君たちのことは後で詳しく聞かせてもらうよ。その後学園長に判断してもらおう。王女殿下達も席についてください」


 ユアン達は教師に言われたように指定された席についた。


 「では今日からこのクラスを担任するマック・リーズムです。以後お見知り置きを」


 こうして、今日からユアンの学園生活が始まる。




 

更新が遅くなってしまって申し訳ございません。学校も始まり忙しい日々の中少しづつ書いているので最後目で読んでくれると嬉しいです。面白かったらブックマークと評価お待ちしております。

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