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第二話 自分の武器

 「新たな賢者を迎えるために今度貴族の前で謁見をしてもらう」


 ケントとユアンは凍りついた。賢者になるだけで知らない貴族の前に出て何かをするのは絶対に嫌だ。


 「それって必ずやらなきゃいけないんですか?」


 ケントも謁見と聞いて動揺していた。


 「賢者になると言うことは大変誉なことであって、魔導師になるものはみな憧れる地位だからな。賢者になるものは皆謁見をしてきたから、お主たちだけ特別扱いはできん」


 なんでそんな大事早く言わないんだとイラつきつつ、渋々了承をした。


 「では、五日後に謁見をする予定で進める。やり方は、わしや宰相が言ったことに「ははっ!」など返事をしてれば良い。まだ十歳だからそんなに厳しいことはせんわ」


 ユアンたちは「わかりました。では五日後に」と言って部屋を出た。三人で廊下を歩いているとユアンはあることに気がついた。それは五年前ケントとクレアを結びつけた褒美をまだもらっていなかった。ケントたちに「先に帰ってて」と言い陛下の部屋に戻った。ドアをノックして入ると、陛下は先ほどと同じ様に書類の整理をしていた。


 「なんだ何か用でもあったのか?」


 「はい、陛下。ケントとクレア王女殿下を結びつけた褒美をもらってないと思いねだりに来ました」


 「あれか。確かにお前は「借り」だとか言っておったな。それで?何がいいんだ?」


 「自分用の武器が欲しいと思っていて、その費用を出してもらいたと思っていまして」


 陛下は少し考えた後すんなりと了承してくれた。


 「分かった、いいだろう。では王都一番の武器屋を紹介しよう。今日中に手配するからセバスと一緒に行って来い」


 陛下との話が終わりユアンは部屋を出て廊下を歩いていた。廊下を歩いていると帰ったはずのケントとアイが待っていた。


 「あれ?どうしたんだ?」


 「ユアン、陛下と二人で何話してたの?また危ないことをしてるの?」


 「抜け駆けはダメだぞ。何か楽しいことをするなら声をかけろよ」


 「別に何もねーよ。ただ武器を買いたいからその費用を出してくれって言っただけ」


 ユアンは首筋に手を当てて言った。ケントを結びつけた報酬として武器の費用を出してもらうとは言えかった。とりあえず、怪しまれない程度のごまかしでなんとか言うしかなかった。


 「ふーん。ならいいけど、何かあったらちゃんと言ってね」


 「なんだ武器か....つまんねーの」


 二人は納得した様子で一緒に部屋までの道のりを歩いた。自分の部屋に入ってくつろいでいると、ドアが叩く音が聞こえた。


 「ユアン、私だけど入っていい?」


 その声はアイだった。「いいよ」と返事をするとドアを開けてアイが入ってきた。


 「どうかしたのか?」


 「ねぇユアン。どうして嘘ついたの?」


 ユアンは一瞬ドキッとしたが平然を装う様にいつも通りの態度をとった。


 「嘘って?俺がいつ嘘をついたんだよ」


 「だって、私が「何話してたの?」って聞いたとき首筋に手を当てて言ったよね?その癖ってユアンが嘘をつくときしか出ないんだよ?」


 別に嘘をついてるわけじゃないんだけどなぁと思いつつこの場にはケントがいないからアイには全てを言うことにした。


 「実は.....」



 ***



 「ふーん。私の知らないところでそんなことを話してたんだ。さすがにこれはケントには言えないわね。でもまぁいいんじゃない。お互い別に嫌がってないし、ケントにも言っていい様な気がするけど」


 アイはユアンのベッドに腰掛けている。それを聞いて別に隠すことでもないのか?と思えてきてしまった。


 「まぁこのことで武器の費用を出してもらうってことをさっき話してたんだよ。てか、よく俺の癖がわかったな。言われるまで気づかなかったぞ」


 「だって昔からの癖だもん。前世からのね!」


 そう言われると何も言えなくなってしまう。幼馴染がここまで恐ろしいと思ったのは初めてだった。


 「そうだ!これから武器を買いに行くんでしょ?私も暇だからついてっていいかな?」


 「まぁ別にいいけど。冒険者の仕事は?」


 「今日は特にないし、ケントも私たちがいなかったら多分クレアのところに行くと思うからさ久しぶりに一緒に行こうよ」


 アイと約束すると部屋のドアがノックされる音が聞こえる。


 「ユアン様、セバスです。陛下から武器屋の案内ができてます」


 「ありがとう、すぐ行きます。さて行くか」


 ユアンとアイは王城を出るとすぐに馬車が用意されていた。セバスが馬に乗りユアンとアイは馬車に入り、目的地まで案内された。案内された場所は思っていたよりも豪華で、高級そうな武器がたくさんあった。


 「なんだ!ここは子供が来るとこじゃないぞ!刃物が沢山あるから危ないぞ」


 注意してきたのは店の内容とは似合わない格好をしたおじさんだった。その格好はいかにも武器を作ってますと言った服装だった。


 「違うんです、バージルさん。この子たちは陛下の指示でここに連れてくる様に言われたんです」


 「はぁ!?陛下の指示!?この子たちってそんな特別なのか?」


 「ええまぁ。ここは人が多いので奥で話をしてもよろしいですか?」


 「え、ああ」


 そう言ってみんなで店の奥へと行き話し合った。武器を作ってそうな人はここの店主だったみたいで名前はバージルというそうだ。


 「へぇーその坊主が新しい賢者とは驚きましたよ。それで今日はどう言った武器が欲しいんですか?」


 「えーっと形は日本刀の様なもので」


 「日本刀って?」

 

 バージルは知らない単語を聞き返した。ユアンはあたふたしながらも絵を描いて説明などをしてようやく納得してもらった。


 「なるほど。それで費用はどのくらいに?」


 「うーん、制限なしで」


 ユアンは少し考えた後に言うとアイから注意を受けた。


 「ちょっと何言ってるの!?制限なしなんて陛下が許すわけないでしょ!」


 「いや、いいんだよ。これで少しは日頃の恨みを返せるから」


 アイはそれを聞いて「どうなっても知らないから」と言っていた。バージルは快く了承してくれて早速その作業に取り掛かってくれた。


 「さて、坊主何か「こう言うことをして欲しい」って言う意見とかあるか?なければこのまま始めるが」


 「雷属性の剣って作れますか?それと頑丈なものがいいです」


 「雷属性か...できるぞ!それにとっておきの素材もある」


 バージルは棚の奥から古い木箱を取り出した。中を見てみるとそこには青白く光り輝いてる石が入っていた。


 「これは?」


 「これは超高級素材オリハルコンだ!これで作った武器防具はとてつもなく頑丈だ。この素材はダンジョン百回潜って採れるか採れないかの素材だから高ぇぞ」


 「いいですね。それぐらいじゃないと」


 「決まりだな。それと坊主。この剣に雷属性を付与するために雷の魔石を砕いて使うがその時に坊主の魔力を込めると頑丈さも増すことになるし、攻撃力をあげることもできる」


 「わかりました、それでお願いします。それでいつから魔力を込めれば?」


 「これを普通に作ったら五日はかかるが、その日が謁見の人いうことはもっと前に完成させるほうがいいよな...二日後に来てくれればいい。すべての工程は三日で終わらすからよ。なんなら今からずっと魔力を込めてもいいんだぜ?」


 この武器を作るのに五日かかるところを三日で終わらすということは、さすが王都一番の武器屋だと思った。けどバージルの言葉が少し気になった。


 「今から?」


 「そうだ。ずっとお前の魔力を込め続けたらお前にしか使えないお前専用の武器になる。それに加えてオリハルコンの特性で所有者の魔力を貯めることができる。お前の魔力をずっと込め続けたら魔力を貯める量も増えて一石二鳥になる。どうだやるか?」


 「面白いですね。いいでしょうやります」


 「そうこなくっちゃな。とりあえず費用の請求だけ陛下に送ってもらうか」


 そう言ってバージルは机から一枚の紙を出し素材の材料費と合計の金額を書いた後に店の印鑑を押してセバスに渡した。


 「じゃあセバスさん。これを陛下に渡してもらえますか?嬢ちゃんもセバスさんと一緒に帰んな。これからはいてもつまらねーからな」


 「ユアン無理だけはしないでね。明日も様子見に来るから」


 「わかったよ。じゃあまた明日な」


 ユアンとバージルは一緒に工房へと消えていった。

 アイとセバスは王城へと帰った。セバスは陛下に費用の紙を提出すると陛下は驚いた様子で大声を出した。


 「なんだこの金額は!?」


 それを聞いてセバスは陛下に近寄って金額を確かめるとそこには白金貨五枚と書かれていた。


 「あいつどんな武器を作るつもりだ......」


 ようやくやり返すことができたユアンだった。



 


 


 


 

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