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第一話 新たな生活

 五年が経ってユアンたちは十歳になり、王都の学園に通える歳になった。ユアンたちはもうすぐ始まる学校生活の準備をしていたところユアンたち三人は陛下に話があると言われ、陛下の執務室に案内された。部屋に入ると陛下は書類を片付けていて、ユアンたちが見えると作業を止めて来客用の椅子に座る様に促された。


 「よく来たな。お主たち三人に話さなければならないことがあってな」


 ユアンは嫌な予感がした。陛下が大事な話という時は大体面倒ごとを押しつけられる時が多い。五年間この城で生活をしてよくわかった。


 「賢者のエレクとソイルが引退をしたいと言ってきてな。エレクは怪我をして任務に支障が出るから。ソイルは歳だからという理由だ。そこでお主らの三人から二人賢者になってもらおうと思ってな!」


 「「え?」」


 「はぁ?」


 ケントとアイは同じリアクションをしたが、ユアンだけ思いっきり素が出たリアクションをしてしまった。


 「なんじゃユアンお主不満そうだな」


 「いや、不満も何も俺ら今年学園に通うんですよ。学園に入学してるのに賢者っておかしくないですか?」


 「でも、レインや他の賢者たちから聞いたが戦闘能力はどの賢者も勝てる見込みがなく、知識も同じレベルということは全く問題ないではないか」


 ユアンはため息しかできなかった。さすがにケントとアイも動揺している。


 「あの、それじゃあ何のために私たちは学園に通うんですか?」


 「学園に通うことはこの国の子供達の義務だからな。貴族平民関係なく学園に通う必要がある。そのために小さい村でも学園に通う費用などは全て国が支払っている。だがお主たちは学園で学ぶことはもうないんじゃ」


 「それだったらどうするんすか?」


 「お主たちは学園に通う六年間、学校にいる間は好きにして良い。授業を受けるもよし、図書室で寝るのもよし、研究するのもよい。とりあえず、毎日学園に通ってくれるだけでいい。入学試験もパスさせよう」


 ユアンは学園に通うことはめんどくさいと思っていたが、何もしなくていいと言われたらテンションが上がる。しかも入学試験を受けなくてもいいというのはデカすぎる。入学試験で魔力量の検査とか実践の模擬戦などで下手に注目を浴びる可能性があった。それがないということは平穏な学園生活が保障されたと言っても過言ではない。


 「わかりました。では私は失礼し....」


 「待て、まだ賢者の話が終っとらん。早く席に戻らんか」


 ユアンは学園の話で終わらせて部屋を出ようとしたが、陛下には通用しなかった。


 「さて、とりあえず賢者になりたいというものはおるか?」


 「俺なりたいです」


 ケントが即答で返事をした。


 「おお!そうかケントがやってくれるか。ではあと一人誰かやりたい奴はいるか?」


 ケントの返事を聞いて陛下はとてもご機嫌だった。


 「あの....私はやりたくないです」


 「ふむ、理由を聞かせてくれるか?」


 「レインさんたちを見てると自分には賢者という大きな肩書を背負うのは大きすぎて」


 アイは賢者になることを辞退した。それを見て陛下はユアンをちらっと見て頷いた。


 「では余ったユアンが賢者になるってことでいいな」


 「ちょっと待ってくださいよ!なんで俺が」


 「ユアンには多くの推薦があってな、ほぼ全員の賢者から推薦されておる。ただ一人を除いてな」


 「ただ一人って?」


 「闇属性の使い手、賢者ペトラ・フィルネスじゃよ」


 「理由ってあるんですか?」


 ペトラという賢者には一回五年前の会議室であったことがあるが、ずっと机で寝ていたイメージがあった。それ以降はあったことも話したこともない。

 陛下は理由を言う口が重そうだったが話してくれた。


 「理由は、眠いからどうでもいい.....だそうだ」


 ユアンたちは開いた口が塞がらなかった。まさか賢者のアンケートが「眠いからどうでもいい」と帰ってくるとは思わなかった。


 「だが、他の賢者たちからは「未来予知」があることは相手の死が分かったりするから、死者を少なくするためにユアンの力は必要だと他の賢者たちは言っていたな」


 ユアンは素直に褒められて少し嬉しい気持ちはあったが、賢者になると言うことはめんどくさい仕事や強い相手と戦闘をしなければならない。


 「俺に賢者の仕事が務まるのか.....」


 「ユアンなら平気だよ。何かあれば私も手伝いに行くし!」


 「それでも構わないぞ。アイの力も必要な時もあるからな。どうだユアン?」


 「.........わかりましたよ。俺は極力戦わないですからね。そう言う仕事はケントにやらせてください」


 「ケントはそれでもいいのか?」


 陛下はケントを見たが、ケントは別に問題がなさそうにしていた。


 「いいですよ。強い相手と戦えるなら。ユアンも賢者になるんだったら楽しそうだし!」


 ケントの答えはもうすでに戦闘狂の回答を聞いている様だった。五年前、プト村で戦った魔人のことを話したら「戦いたかった」と言ったときにはすでに手遅れだと思った。


 「分かった。では新たな賢者を迎えるために今度貴族の前で謁見をしてもらう」


 陛下の爆弾発言でその場にいたユアンとケントは凍りついた。


 


 

いつもありがとうございます。今回から二章がスタートします。たくさんの方に読んでもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] いや学院行く意味ないなら特例でいかなくていいじゃん、王様の命令ならそれでいいだろ。
2022/09/07 00:26 退会済み
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