第四十七話 ジェロンドvsロート
あちこちで激しい戦闘の音が聞こえる中、ジェロンドは目の前にいる竜種の魔人ロートを前にする。
「久しいな、風神の使い手よ。また俺にやられにでもきたのか?」
その言葉にジェロンドは眉をピクリと動かす。
「お前にやられた?冗談を言うのも大概にしろよ...」
ジェロンドの魔力が突如跳ね上がると一瞬でロートの懐に侵入していた。ジェロンドは拳を突き上げるとロートの腹部に入り、ロートは一瞬体が宙に浮いた。
「ゴフッ!!!!」
宙に浮いた状態でロートも抵抗しようとするが腹部の激痛で体が硬直する。その隙を見てさらにジェロンドは魔法で追撃をする。ジェロンドの得意とする見えない風の斬撃でロートを切り刻んだ。
「ほら...早く立てよ。今までにない絶望をお前に叩き込んでやる」
ジェロンドは前回の敗戦で貴族との関係で自分に死刑判決が降っていた。無論それはジェロンドのせいではなく第貴族達が自分たちの罪をジェロンドになすりつけたからでもあるが、それでも勝っていれば自分の身は自分で守れたかもしれないという自責の念が強かった。
「その力...さすがだな。だが前回と比べて格段に力を上げているようだが...何かしたのか?」
「別に...俺はなんもしてないよ。ただ...今回とじゃ状況が違うってだけの話だ」
「状況だと...?」
ジェロンドは不運にも敵と抗戦する時は必ず周りに被害が出る場所で戦っていた。そのため、なるべく被害が出ないようにコンパクトの戦っていたが今回のユアンの大魔法エレクトールで全てを消し去ったことによって建物や人に被害が出ることは無くなった。
「状況が違うのなら前と同じにするしかないな!」
ロートは雄叫びと共に自身を本来の姿である竜へと変身する。そしてそのまま勢いよく空に舞うと膨大な量の魔力がロートに集まる。集まった魔力はロートの吐く炎のブレスに変わる。国全体に被害が出る広範囲の攻撃だったが、それでもジェロンドから笑みは消えなかった。
「ここにいる全員を誰だと思ってる!!俺たちは世界最強の小隊だぞ!!」
ジェロンドは一瞬で神化をし全力の神の息吹で真っ向から受け切る。ロートのブレスが相殺されるとジェロンドはロートの首筋に回り込んでいた。
「残念だったな。お前の敗因は俺をみくびったことだ」
「ま、待て!まだ俺は本気を...」
「今更負け惜しみか...?残念だけどお前は俺の愛する国の人々に危害をもたらした。その報いは死で償えよ」
「ま、」
ジェロンドはありったけの魔力を込めて風刃をロートの首に思いっきり斬りつけた。ロートの首は地面へと落下し飛んでいた胴体もそのまま落下した。
ロートのスキル「魔力・弱」のせいでジェロンドの魔力をほぼ風刃に込めたため、他への参戦は少し難しかった。
「ちょっと休んでから加勢でもするか...」
これで因縁の戦いに勝利したジェロンドだった
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すみません。体調があまり戻らないので、気分が乗った時に投稿します。




