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第二十七話 復活

 薄暗い研究室の中、さまざまな薬品や装置が置いてある場所である男が目を覚ます。そいつは入っていた容器を壊すと、研究室中にその液体が流れ出た。


 「ふぅ...」


 裸の状態で出たことで、近くにある布で体を覆う。すると、奥から数人の魔力が近づいてくるのを感じる。


 「やっと復活ですなぁ。中々ゆっくりと寝てはったんですね」


 その声の主はハクという気味の悪い魔人だ。


 「ハクか。準備は大丈夫だろうな?」


 ラウレスの言葉にハクは飄々(ひょうひょう)と答える。


 「もちろん準備は抜かりなく進んでます。なんなら今からでも実行することもできますけど」

 「そうか...なら全員集めろ。作戦会議だ」


 その言葉を聞いてハクはニヤニヤと笑みを浮かべながら「了解しました」と言って全員を集めるために姿を消した。

 ラウレスは近くにあった椅子に座り、今後のことについて考え始めた。


 俺の力はおそらく八割は回復しているか...出てくるのはまだ早かったか。いや、ユアンがいない今、あいつらにとってはこのくらいのハンデでちょうどいいだろ。


 「あら、もう体はいいの?」


 突然声をかけられた方を見ると、そこには昔ラウレスに加護を授けたヘラがいた。


 「ヘラか。久しぶり...じゃねーな。ちょくちょく俺の中で話はしてワケだし」


 ヘラはラウレスの後ろに周り、後ろから抱きしめて耳元で囁く。


 「ずいぶん冷たいじゃない。私は心の中で話すより実際のラウレスと話す方が嬉しいわ。それに...ちゃんとあなたに触れられることも嬉しい」


 その言葉を聞いてラウレスは「そうか」と言いながら会議室へと向かった。その様子を見たヘラはニヤニヤと笑みをこぼしながらラウレスを見送った。


 会議室へと入るとそこには、ハク、ロート、ジュマリセッタ、アオの姿があった。そして遅れてヘラも会議へと加わった。全員が揃ったところでラウレスが話を始めた。


 「さて、作戦だけどまずはアウスト王国を攻める」


 その言葉を聞いて会議に参加している魔人達は驚いた。


 「それは冗談のつもり?アウスト王国だけ攻めたら近くの国...クローム王国のジェロンドが参戦しにくるわよ」


 アオの言葉に参加している魔人達は頷いてる。だが、それを見越してラウレスはヘラに視線を向ける。


 「ジェロンドの相手はヘラに任せる。その間に俺たちはアウスト王国に攻めてアイやケントを殺す。そのために、ハクお前が今回の作戦の要だ」


 その言葉を聞いてハクはニヤニヤと笑いながら手をひらひらと振って聞いている合図している。


 「アオ、モンスターボックスはどれくらい用意できた?」

 「んーちゃんとは数えてないけど三十個ほどは用意できたわ。それにあの魔人も五体は用意できたし、いつでも作戦は可能よ」


 その言葉を聞いてラウレスはニヤリと笑う。


 「それじゃあ今から作戦を開始としようぜ」

 「「「「!?」」」」


 その言葉に全員驚いたが、今という時間に全員は納得する。


 今から宣戦布告もするとなると、四大国は慌てるに決まっている。それにジェロンドがアウスト王国に来ようとしてもヘラが足止めしやすくなる。


 「宣戦布告の準備をしろ。出来次第、全員準備をしろ」

 「ラウレスさん、作戦はどないするん?」

 「アウスト王国に攻める魔人はヘラ以外の全員とモンスターボックス十個と魔人を百体ほどだな。クローム王国、クエント帝国、シーラス王国の三大国にはモンスターボックスを五個ぐらい放っておけ。少しでも削っておいた方が後で落としやすいからな」


 ハクはその指示を聞いて「了解です」と言って作戦の準備に入る。


 それから一時間後、突然四大国の王都上空にラウレスの顔と音声が表示された。音声は国全体に聞こえるように設定されている。アウスト王国でも王都に暮らしている国民やアイとケントも動揺していた。


 「四大国の皆さんこんにちは。俺は二年前魔神となった初代勇者ラウレスだ。今回戦争を始めるにあたって宣戦布告をするためにこの話をするわけだけども...まぁめんどくさいことは置いといて、時間は今から、アウスト王国中心に攻めるつもりだが、他国にも同様に攻めるつもりでいるから用心した方がいい。それじゃあまた戦場で」


 ラウレスの言葉と同時に画面と音声が切れた。その瞬間、アウスト王国全体に地震のような地鳴りが響き渡る。


 「ケントこれって!」

 「あぁ...始まるんだ!あいつが復活したんだ!」


 ケントとアイは急いで城を飛び出て、王都の外へ向かうために全力で走っていく。だが、すでにケントとアイが王都の門についた瞬間には魔物の軍勢が奥からこちらへと向かってくる様子が見えた。


 「これは...全部の戦力が王都に集まってるとか?」


 魔物の数を見てケントが思わず言葉をこぼした。


 「さぁ...他の領にも魔物が行っていなければ、今回の作戦はちょっとミスだったかも...」


 二人の背筋には冷たい汗が流れた。

 その様子を上空からラウレスは見下ろしていた。


 さぁ...楽しい殺戮(ショー)の始まりだ!



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