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第二十六話 極秘

 ユアンが生き返ってから約半年が経った。現在はエルフのマルタと一緒に旅をしているが、その足取りは誰もわからなかった。数ヶ月前、ケントはシーラス王国で結界の魔法陣を見てユアンが生き返ったことを確信したが、ユアンの情報は一切上がってこない。


 アウスト王国...いや、他国全域が来たる戦争に向けて戦力を磨いている。その中でも特に注目されているのは、おそらくアウスト王国だろう。四大国の中では精霊魔導士の数も多く、何より神の加護を持った人間が他の国よりも多い。そのため、ラウレスはアウスト王国を一番目障りに違いなかった。


 ケントは一人自室で今後の状況のことを考えていた。ケントには「未来予知」のスキルがないため、敵がどんな形で攻めてくるのかわからずにいた。


 「はぁ...敵がどんな手で攻めてくるのか...マジでわかんねー」


 敵がどんな方法で攻めてくるのか。考えるだけでも怖くなる。自分一人だけの戦いだったら楽しさが勝つけど、この世界の人の命がかかっているとなると楽しみよりも恐怖が勝つ。


 「前の襲撃はユアンがいたからなんとかなったけど、今回はそう上手くはいかないか...」


 色々と悩んでいると、誰かが扉をノックする音が聞こえた。


 「ケントー 今大丈夫?」


 声の持ち主はアイだった。ケントはすぐに「いいよ」と言いアイが部屋に入ってきた。


 「今から賢者と陛下で会議をしようかってなってんだけど、ケントも来てもらっていい?」

 「もちろん。多分これからのことだろ?」


 その問いにアイは静かに頷く。

 一人で考えているよりもみんなで考えたほうがいい作戦が思いつくかもしれないと思ったケントは早足で会議室へと向かった。

 会議室に入ると、ほぼ全員がすでに集まっており、ケントとアイが来たことによって全員が揃った。


 「さぁ全員揃ったところで会議を始めましょうか」


 進行を買って出たのはアークで、その他の人は静かに話を聞いている。


 「まず、今回起きる戦争で僕たち賢者は戦力を分散したほうがいいと考える」


 それはあまりにも衝撃的な言葉だった。実際この前のラウレス達は、ほぼ全戦力ともいっていいほどの魔人や魔物を王都に集中して攻撃をしていた。


 「おいおいアーク。それはいくらなんでもおかしくねーか。戦力を分散した場合、また王都に集中攻撃してきたらどうすんだよ」


 バーンの言葉に頷くものやまだ何か考えている人で分かれている。だが、アークもこの質問を想定していたようで、すぐに回答する。


 「その場合は、シエラさんのワープでみんなをまた王都に集めればいいさ」


 アークがシエラをチラッと見る。シエラもアークの仕草に静かに首を縦に振る。


 「一ついいか。もし戦力を分散してその作戦が成功した場合、向こうの戦力にケントやアイ並みの実力者がいた場合どうするんじゃ?」


 唐突に陛下の質問が会議室の空気を凍り付かせた。


 確かに上手くいったとしても向こうの戦力がそれを上回ったら対して意味がない。おそらく時間稼ぎにしかならないよな。


 「陛下、今確認されている魔人はドラゴンの魔人、女性言葉を話す男の魔人、ハクと呼ばれる怪しい魔人とアオと呼ばれる魔人、それにラウレスです。この魔人達全てがアウスト王国に向くことは少ないと考えております。ラウレス達はおそらく他の国も攻めるはずです。特にジェロンドさんがいるクローム王国には相当な戦力を用いるはずです。そうなるとこちら側が戦力を分散しても平気かと思われます」


 その言葉に陛下は少し納得したようで「ふむ」といって食い下がった。おそらく、この作戦のデメリットとしては戦力を分散することで自分よりも実力が上の相手と戦うことだろう。


 「俺はそれで問題はないと思います。もし、王都に戦力を集中してきたとしてもシエラさんがいることはでかい」


 ケントの言葉に他の人も賛同し始める。おそらくこの議題の一番の重要部分は終わった。


 「じゃあ明日から各自自分の担当する場所に行ってもらう。王都はケント君とアイちゃん。ドレーク領はバーンとレイン、そして最後にランド領には僕とシエラさん」


 アウスト王国にはたくさんの領があるわけではないが、一番大きいとしたらアークが言った王都、ドレーク領、ランド領の三つになる。二人一組にする理由ももし何かあった場合一人よりも二人の方が対処できるからだそうだ。


 「いつ戦いが起きるかわからない。だから常に万全の状態ですぐに動けるように」


 アークの言葉にみんなが静かに頷き、その日の会議は終了となった。

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