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第十九話 思わぬ出会い

 タイヨウがエルフの森で戦闘中、王都にある王城ではクレアによるお茶会が開催されていた。参加しているのは、クレア、ケント、アイ、ヴィオーネの四人だった。女子三人に対して男が一人となると自然と肩身が狭くなる。


 「ケント様、紅茶のおかわりはどうしますか?」

 「あ、ああもらおうかな」


 初めは三人でお茶会をしようとなっていたが、その情報を嗅ぎつけたヴィオーネが突撃してきたことでこのメンバーとなった。そこまではいいが、女子が三人集まれば自然とガールズトークが始まる。男にはわからない会話を永遠と話すのでケントはお茶を啜ることしかできなかった。ケントとしてまだそれは全然マシだった。一番きついのが...


 「ケント様今の話どう思われますか?」

 「えっ!?」


 この唐突な質問の投げかけだった。


 「ケント様また話を聞いてなかったんですか?」

 「ケント話を聞いていないということはそれほどまでに私たちの話がつまらなかったということでいいのか?」


 少し呆れる様子のクレアと女王様のような笑みでケントを見るヴィオーネ。

 ここで何を言っても無駄なことはケントは知っている。


 早くユアン帰ってこいよ...この三人を相手にすんのマジできつい...


 心の中で号泣するケントは愛想笑いで二人に「ごめん」と謝る。クレアとヴィオーネのお説教が始まりそうになった時、ケントは急いでアイに話を振った。


 「そ、そういえば最近ユアンから連絡来ないよな」


 ユアンという単語が飛び出したおかげで、先ほどまで笑っていたアイの顔はだんだんと怒りの表情が込められていった。


 「本当にねぇ...一ヶ月に一、二回は会ってくれるって言ってたのにもう三ヶ月以上は連絡ないよ」


 一度ユアンの話をふれば、アイの愚痴は止まらない。ケントはそれを知っていた。その愚痴のおかげでクレアとヴィオーネはケントにお説教をする空気にはなれずアイの話を聞いていた。すると、一人の兵士が部屋をノックしケントとアイを呼び出した。


 「ケント様、アイ様緊急招集です。すぐにきてください」


 緊急招集と言われケントとアイは急いで指定された場所へと向かう。


 「何かあったのかな?魔人が出たとか?」

 「それだったら賢者の誰かでいいだろ。俺とアイを呼ぶってことは相当な面倒ごとだろ」


 ケントとアイが指定された場所は城の天辺にある部屋へと行った。そこには賢者全員が集合しており異様な雰囲気だった。


 「あの...何かあったんですか?」


 恐る恐るアイが口を開くとレインが状況を説明してくれる。


 「さっきね、旅人から大きなドラゴンのようなものが空を飛んでいるって情報があってね。虚偽かもしれないけど一応すぐに対応できるように集まってもらったの」


 ドラゴンってことはラウレスたちの仲間の...?でも単身でこっちに乗り込むのはあまりにも得策とは言えないし...


 この中でアイだけがドラゴンに関わったことがある。それにドラゴンが魔人化した強さは誰よりも知っているはずだ。ドラゴンの魔人はおそらく賢者一人では難しい。ケントやアイなら倒せるかもしれないがレインやバーンでは、おそらく太刀打ちできない。


 「だから見晴らしのいいこの部屋にしたんですか?」

 「その通りだよ。まぁ現れてくれない方が私たちとしても楽なんだけどね...」


 そうレインが言い放った瞬間、兵士たちが上空を見て騒ぎ出す。賢者たちはすぐに窓を開けて状況を確認するが、誰が見てもそのシルエットはドラゴンだとわかる。


 「マジかーここで戦うのは被害出そうだなー」

 

 バーンが少しめんどくさそうにしているが、本心ではドラゴンと戦いたいと強く思っている。それはケントも同じだった。


 「もし、そうなったら空中に結界貼るのでそこで戦うことにします?私が張ってるのでみなさん中で戦ってください」


 その言葉を待っていたかのようにケントとバーンは笑顔で「よしっ!」と言っている。

 そしてその時は近づいてくる。真っ白なドラゴンがゆっくりとこちらに向かってくる。その時、ケントとアイは白龍の魔力を感じ取るとお互いに顔を見せ合った。


 「ねぇケントこの魔力って...」

 「あぁ...おそらく...」


 二人とも神の魔力だということにすぐに気づいた。レインたちが警戒している中、ケントとアイは空中に結界を張って足場を作りその上に乗った。


 「ちょ、ちょっと二人とも!?」

 「大丈夫です!多分危害を加えるつもりはないと思います」


 すると突然、賢者たちの脳内に知らない声が響く。


 (さすがセレス様の加護を持っているだけのことはありますね)


 声が聞こえた時には、ドラゴンはアイとケントの前にいた。


 (お初にお目にかかります。私はセレス様の眷属の白龍と申します。セレス様の命により、今後はアイ様に使えるようにと指示がありましたのでこちらに出向いた所存です)


 突然のことで賢者たち全員は理解できなかった。


 「えっちょっと待ってください!?セレス様が私に?なんの連絡も来てないんですけど!?」

 (先ほど決まったばかりなので来ていないのは当然かと...)


 いやいやちょっと待って!!いきなりドラゴンが現れて眷属にしろって...いきなり言われてもわかんないよーー!


 「ってことは...このドラゴンは敵じゃないってことだよな?」

 (そういうことになりますね)


 その言葉を聞いて賢者たちは安堵の息を吐いた。


 「どうしようケント!?」

 「落ち着けって。セレスの命令ならこの白龍を信じてもいいんじゃないの?とりあえずこのままずっといるのは結構目立つっていうか...」


 アイは下を覗くとドラゴンの影を見て王都の人たちがゾロゾロと集まってきているのが見える。このままじゃ目立つこともあって眷属にすることを決意した。


 「えーっとじゃあ眷属の仕方は...?」

 (アイ様の情報を私にくれることと名前をつけていただくことです。情報といっても血の一滴ほどで十分です)


 そう言われてアイは自分の人差し指を小さく作った光剣(ライトニングセイバー)で少し切って白龍に与える。白龍はその血を舐めると神々しく光り輝き出した。


 (アイ様最後です。私に名前を)


 うーん...どうしよう...ハク?それだとこの前の魔人と被るな...ドラゴンだからドラちゃん?安易すぎるしなー

 悩みに悩んだ結果白龍の名前は


 「シロ!あなたの名前はシロで!!」


 その名前を聞いた瞬間白龍以外の全員が信じられないという表情をした。


 「アイ...あんだけ悩んでこれ?」

 「しょうがないでしょ!?色々名前考えたけどわかりやすい名前の方がいいじゃん!」

 (わかりました。これから私のことはシロとお呼びください)


 そういって契約は終了した。そのままアイはシロに質問をする。


 「これからあなたはどうするの?」

 (私はあなたの眷属なのでずっとそばにいるつもりです)

 「いや...ずっとは難しいかも。その大きさだとちょっと...」

 (なら、このサイズではどうでしょうか)


 そういうとシロの体はみるみる小さくなっていき、アイの両手サイズにまで小さくなった。


 (これならどうでしょうか?)

 「うん!すっごいいい!」


 アイは小さくなったシロを見て思いっきり抱きしめる。あまりの可愛さにシエラやレインも触りたそうにしている。 これでひとまず白龍の件はこれで終了した。シロはアイやシエラやレインにもみくちゃにされながらも、タイヨウとの約束をちゃんと守っていた。


 (約束は果たしたからな)


 シロは誰にも聞こえないように心の中でつぶやいた。

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

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