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第二十話 望まぬ再会

 「よう、アイ」


 アイの目の前には、二年前死んだはずのユアンが座ってこちらを見ている。


 「ほ、本当にユアン...なの?」


 恐る恐るアイは目の前にいるユアンに問いかける。

 魔力は完全にユアンのものだと確信している。アイの目から涙が数的溢れる。


 「なんだよ...二年も(・・・)会ってないと忘れちゃうのかよ」

 「ち、違うよ!ただ...現実なのかわからなくて...」


 戸惑っているアイを見てユアンはゆっくり立ち上がる。そしてゆっくりとアイの前まで移動する。


 「アイ!!!!!」


 突然アイの後ろから大声で名前を呼ばれる。アイは振り向くとそこにはケントが血相を変えてアイの名前を叫んでいた。

 

 「ケント!やっぱりユアンだったよ!」

 

 アイの言葉を聞いたケントは信じられないと言う表情をする。


 「嘘だろ...ユアンは死んだはずだ!」

 「嘘じゃねえって!目の前にいるじゃねーか!二年も(・・・)会わないだけで忘れるのかよ...」

 

 その言葉を聞いてケントの考えは確信に変わった。


 「アイ!!早く離れろ!」


 ケントは咄嗟にアイの手を引っ張った。


 「ちょっと...!」


 ケントに手を引っ張られて体制を崩したアイは尻餅をついた。すぐに立ちあがろうと正面を向くと、剣の鋒が目の前にあった。


 「...え?」

 「はぁ...もうちょっと騙せると思ったんだけどな...なんでわかった?」


 ユアンは苛立ちの声でケントに質問を投げかけた。


 「まず不信に思ったのは、お前が現れてからずっとここに留まってることだ。お前が本物ならここに留まらず、王都に移動するはずだろ?それなのに移動しなかったってことは...偽物と考える他ないだろ」

 

 その言葉を聞くとユアンはニヤニヤと笑いながら問いかける。


 「なるほどな...それだけで判断したってのか?」

 「もう一つは...俺とアイは半年前ユアンと神達の空間で会ってるんだよ。だけど、お前はさっき二年間って言ったよな?その言葉で確信したんだよ」

 「はっはっは!なるほどな...それだけで見破られるとは俺もしくじったな...本当なら歓迎されたところを背後から切りつけて混乱させたかったんだけど...幼馴染恐るべきってとこだな...まぁ...」


 そう言って尻餅をついているアイを見下ろす。


 「アイはわかっていなかったようだが...」

 「最愛の人が生き返ったとなれば...偽物でも気づかない時はあるかもしれないだろ...」

 「ふっ...どうだかな」


 そう言ってユアンは首をコキコキと鳴らし始めた。


 「本来の予定とは狂うが...ちょっと遊ぶのも悪くはないよな...」

 

 ユアンは魔力を最大限まで高めると、目の前にいるアイに斬りかかる。

 アイは放心状態でその攻撃を交わすどころか動くことができなかった。


 「何してんだアイ!!」


 咄嗟にケントが間に入ってユアンの攻撃を止めるが、それでもアイは動くことができなかった。


 「どうして...なんで...ユアンの...」


 そのアイの言葉にユアンは不気味な笑みを浮かべながら答えた。


 「言っただろう。君らの嫌なことをするって...」


 その言葉を聞いた瞬間、アイはユアンの中に入っている人物が誰だかわかった。


 「ラ...ラウレス...」

 「そっ!正解!」


 すると、その言葉を聞いたケントは驚きが隠せなかった。


 「嘘だろ...だってラウレスはまだ...身体ができていないだろ!」

 「あぁ...その通りだ。だからユアンの体を使って俺が中に入ったんだよ」

 「ふざけんな!そもそも...ユアンの身体を作ることは不可能だろ!」


 ケントの言葉にユアンは数歩下がり長々と話し始めた。


 「俺をあそこまで追い込むためにユアンは自ら自爆を選んだ。その時、ユアンの肉片や血が俺の体に付いた。もうここまで言えばわかるだろ?」

 「...ユアンの細胞か...」


 一度、創造の魔女ラミファがユアンを生き返らせるために提示した方法だった。あの時は咄嗟にユアンを生き返らせることは戸惑ったが、今思えばあの時了承していればこのような形にはならなかったかもしれなかった。


 「でも...その方法は創造の魔女しか知らないはずじゃ...!」

 「創造の魔女じゃなくても...魔女なら資料を読めば理解できる...」


 その言葉を聞いて二人は確信した。暴虐の魔女はラウレス側についていたことに。


 「じゃあ...まさか死神の加護を持った人を調べてるって言うのも...ラウレス!お前の策略か!」

 「あぁ...そうだ。俺はこの力が欲しかったんだよ!!!」


 すると、ユアンの持っていた刀は大鎌に変わっており、突然目の前から斬撃が飛んできた。

 ケントはアイの手を引っ張り斬撃をかわす。ユアンの斬撃は後ろにある木々にぶつかると一瞬で枯れてしまった。


 「おい!ケント!なんだ今の攻撃は!?」


 バーン達はようやくケント達に追いつき、目の前にいるユアンに気が動転する。


 「ユ、ユアンくん...?」

 「ユアンさん...本当にユアンさん...?」


 目の前にいるユアンの姿、声、そしてあの力を見れば誰だってユアンが生き返ったって思うのが自然だ。だが、その考えはケントの言葉で変わった。


 「みんな...あいつは本物のユアンじゃない...ユアンの皮を被ったラウレスだ!」

 「う...嘘でしょ...だってラウレスは...!」

 「その話は後で...!今はここであいつを止めないと...!」


 ユアンは目の前にいる賢者達を見て少し不満げな顔をする。


 「これだけか...まぁそうだよな。全員ここに連れてくるってわけにもいかないよな。それじゃあ...楽しい戦い(遊戯)と行こうか!」


 


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