第三話 被害
会議が終わったすぐ後、宮廷魔道士や警備の騎士達に一人で行うのでなく、複数人で警備に当たることを陛下の命令によって行われた。
一人でも被害に遭うものがいれば、他のものが応援を呼ぶことができることや、襲われているところを助けることもできる。
「この作戦がうまくいくかだな...」
会議が終わった後、バーンが一人呟いていた。
「もし、犯人がわかれば私たちがすぐに確認できますしね」
「そうなると、俺たちもいつでも戦える準備しとかないとな...」
すると、何を思いついたのかバーンは対面に座っていたシエラに話を聞いていた。
「ねぇシエラ様!シエラ様は今回の事件で昔と似たようなことはないんっすか?」
「私もこんな事件は初めてだよ...でも、噛み跡ってのは少し気になるね」
「んーやっぱシエラ様でもわからないかー」
バーンの言葉を聞いたシエラはなぜか体をピクンと反応していた。
「...ねぇ...なぜそれを私に聞いたの?」
「いや...だって俺らより全然年上じゃないっすか!よんひゃーーー」
バーンがシエラの歳を言おうとした瞬間、シエラの魔力刃がバーンの頬を掠めた。
「それ以上歳のことを言ったら...どうなるかわかるわよね?」
シエラの重いプレッシャーが会議室にいる賢者全員に降り注ぐ。
流石のアイもこのプレッシャーには逆らうことができなかった。
「すっ...すみません...」
「ふん」
シエラが会議室を出ていくと、プレッシャーは解かれみんな動くことができるようになった。
「まったく!女性に歳の話なんかしちゃだめ!デリカシーなさすぎる!」
「悪かったって!てか、あんなに怒ることなのか!?」
「私だったらちょっと嫌ですね...まだ子供ですけど、三十近くなった時に年齢を聞かれるのはちょっと嫌だと思います...ね?レインさん」
「アイちゃん...私今二十代後半なんだけど...」
「あっ...」
レインはアイを睨みつけ、会議室の空気は再び凍りつく。
だが、すぐにバーンはレインを宥めるためにフォローする言葉を投げかけた。
「ま、まぁ...レインは歳の周りには意外と綺麗っていうか...そこまで気にすることじゃないって!」
バーンさん...それ...フォローになってない...
「へぇ...バーンあなた私の事をそんなふうに思っていたのね...表に出なさい!」
そう言ってレインはバーンの襟元を掴んで訓練場へと引きずっていった。
バーンはぎゃあぎゃあ叫んでいたが、レインが睨みつけるとすぐに静かになった。
二人のいなくなった会議室はアークとアイだけとなった。
「命拾いしたね、アイちゃん」
アークは少し冷や汗をかいていた。
「今回ばかりは私の失言でした...」
魔人を相手にするよりもどっと疲れが出てような気がする。今回は私のせいなんだけど...元はと言えばバーンさんがシエラさんにあんなこと言わなければこんなことにはならなかったのに...
思わず全ての責任をバーンになすりつけたくなる。
「さて...僕はこのまま現場にいる騎士達に話をつけてくるから先に行くね」
「はい!お疲れ様でした!」
アークが会議室を出ると、続けてアイも会議室を後にした。
自室に戻る途中、訓練場の方から叫び声が聞こえたけど...覗きに行くことはしないで真っ直ぐ自分の部屋へと戻った。
そして、その日の夜。王都の警備には宮廷魔道士団、騎士団の二つの協力で王都の警備は強化された。一組三人を基本として宮廷魔道士が一人と騎士二人でチームを組み、警備を行った。三時間の警備にあたり、五チームが警備につき随時入れ替わるという編成が組まれた。
これで事件は起こらないと思った矢先、最初の警備に当たっていた一人の宮廷魔道士の姿が突然いなくなった。
チームを組んでいた騎士二人は周りを散策するが、消えた宮廷魔道士の姿はなかった。
今回の事件を聞いていた騎士達は、恐る恐る近くの裏路地に入って散策をすると、そこには先ほどいなくなった宮廷魔道士の姿があった。
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