第二十話 一人追加!?
ケントが婚約してから数日がたった。いつも通り訓練場に向かうとクレアが訓練場で立っていた。
「あれ?なんでクレアがいるの?」
「ケント様の修行というのを体験してみたいと思いまして。父上には許可は取ってあります」
クレアの格好を見るとこの前のドレスではなく、動きやすい服装になっているため結構本気だ。
「まぁそう言うことだ。行くぞケント」
バーンは少し不満そうだが陛下の命令なら仕方ないといった感じだった。
ケントたちはいきなり模擬戦をし始めた。ケントとバーンが戦っているのを見てクレアは驚きを隠せていなかった。賢者のスピードについていけるほどの実力者とは思っていなかっただろう。激しい魔力のぶつかり合いで周りに衝撃波が生まれる。
「身体強化の使い方がうまくなったな!昨日とは比べ物になんねーぞ!」
「バーンさんの身体強化の方がすごいよ!でも、この魔法はどうかな?」
二人は戦いながら話す余裕を見せている。ケントはバーンから少し距離を取り魔法を撃つ構えをした。
「火玉」
ケントが唱えるとケントの後ろには十数個の火の玉が現れた。
火玉がバーンに向かって飛んでいく。バーンはそれをかわすが火の玉は外れても追いかけるようになっていた。
「追尾式か!面白い、だったらこっちは獄炎の矢」
バーンが唱えるとバーンの後ろには火玉よりも大きい矢が同じぐらいあった。
「ちょっ、ちょっとそれって上級魔法じゃ...!」
「お前がこの展開に持ち込むのが悪いんだぞ!負けたら今日のことを反省して次に活かせや」
お互いの魔法がぶつかり合い訓練場で軽い爆発が起こった。
ユアンたちも同じ訓練場にいたが、魔力障壁を張っていたので無事であった。激しい魔力のぶつかり合いで自分のことに集中できずにケントたちの模擬戦を見ていたおかげで、クレアが爆発に巻き込まれずにすみ、守ることができた。
爆発が起きたときに城中に響き渡ったため大勢の兵士が訓練場にやってきた。やってきた兵士は訓練場の跡を見ると愕然としていた。
「まさか、これを賢者様と五歳の子供が.....」
訓練場では爆発によってできた煙で二人の安否が確認できていない。
「ケント様!!」
クレアは大声でケントの名前を呼ぶが返事がこない。
煙が風に乗って消えてくると一人だけ立っているのが見えた。
ケントは地面に背を向けた状態で倒れていた。
それを見てクレアはケントに近づきケントの状態を確認した。
「はっはは!今日も俺の勝ちだなケント!五歳児にしてはクソ強いけど俺からしたらまだまだだな!」
バーンはケントに勝ったことに対して喜んでいるがバーンの後ろから、拳の形をした手が二つ見えた。
「「何してんだ!!!」」
レインとアークの拳がバーンの頭を殴る。
「痛ってえな!なんだよいきなり!」
「あんたねぇ!自分が何をやったかわからないの!」
「五歳児に対してあんな魔法を撃つ人がどこにいるんだい?」
レインとアークから説教にバーンは悪いとは思っていなかった。
「だってケントが魔法を使っていなかったらこんなことにはならなかっただろ!」
「だからって加減ていうのがあるでしょうが!」
レインとバーンが言い合いをしている間にケントの状態をアークが見ていた。
「あれだけの爆発でこの傷だけで済むなんて.....そうだ!アイちゃん、君の光魔法でケント君を治してあげて」
「えっ...私ですか?」
いきなりの提案でアイは少し戸惑っている。
「大丈夫、この前教えた時はできてたからさ。安心して」
「私からもお願いします!」
クレアに言われたらやるしかない。
「わかりました」
アイは深呼吸をしながら横たわっているケントの前に手をかざした。
「回復!」
アイが魔法を放つと白い光が放たれた。白い光で数秒視界を奪われた。視力が回復するとケントの傷はきれいさっぱりとなくなっていた。
「うん。よくできてるね。これで光魔法は完璧だ」
「はい!ありがとうございます!」
アークに褒められたことで喜んでいるアイ。
そんな中回復したケントは目を覚ました。
「あれ?俺なんで寝てんだ?」
「君はバーンと模擬戦をしているうちに爆発によって気を失ってしまったんだよ」
アークが先ほど起こった出来事をケントに話す。
「ああ、思い出した。あれ?でもバーンさんは?」
「バーンなら今あっちでレインに怒られてるよ....」
アークが指を刺した方向を見てみるとバーンはレインに正座をさせられていた。
先ほどまでは二人で言い争いになっていたのにいつの間にか一方的なレインのお説教が始まっていた。
「あれ?これって俺も怒られたりするのかな?」
「いや、今回はバーンが悪いから君は大丈夫だと思うよ」
そういってアークは兵士に事情を伝えるために話をしに行った。
「今度はちゃんと気をつけてよね。魔力障壁を張らなかったら私たちだって危なかったんだからね!」
「いや、悪かったって。でも上級魔法を打ってくるとは思わないだろ」
「そういうことは予想して動いてよ」
「無茶言うなよ!ユアンじゃあるまいし!なぁ?」
「俺にフルな!」
ケントはいつも通りの元気に戻っていた。
「ケント様。本当にこれから気をつけてくださいね」
「ごめんな。クレアにも心配かけて」
ケントが立ち上がってクレアに言った瞬間遠くからケントの名前を呼ぶ声が聞こえた。
「ケント君起きた?じゃああっちであの魔法を撃った馬鹿とお話ししようか?」
笑顔のレインがケントの肩を掴んでいた。
ケントが笑顔のレインを見て震えている。ケントはユアンの顔を見て「助けて」とアイコンタクトを送ったがユアンにはどうすることもできないので首を横にふった。
ケントはレインに連れされていきバーンと一緒にお説教されていた。
「私はもう少し経ってから魔法の練習をすることにします.......」
連れ去られるケントを見てクレアは言った。
「「そうしたほうがいい...」」
アイとユアンは口を揃えて言った。
その後、ケントはお咎めなしだったが、バーンは一週間の自宅謹慎となった。
遅くなってすみません!夏休みに入ったので投稿する頻度をあげたいと思っています。面白かったら評価とブックマークをお願いします。いつもありがとうございます。