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幼馴染三人が異世界転生!?〜転生先で幼馴染として再び出会う〜  作者: 榊 祐
クエント帝国・シーラス王国編
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第十七話 婚約決定

 食堂での一戦を終え、アイ、ケント、クレア、ヴィオーネの四人は陛下の部屋である執務室に来ていた。

 ケントの表情は疲れ切っていて、顔がげっそりとしている。


 「それで...昨日セバスからあらかたの話は聞いているが...」


 ヴィオーネ達の正面に座っている陛下はじっとヴィオーネを見る。


 「はい、ケント殿と婚約をしたいと思いまして...」

 「だが、ケントには既にわしの娘のクレアと婚約をしておる。それでも構わぬというのか?」

 「はい、構いません。私はケント殿と結婚ができればそれで十分です」

 「そこまでケントに執着する理由を聞いてもよろしいか?」

 「ケント殿は私を魔物と魔人から助けていただきました。その闘う姿に目が離せなくなって...」


 説明していくとともにヴィオーネの顔はだんだんと赤くなっていく。

 それを横目に見ているクレアは苦虫を噛み潰したような顔をしている。


 「それと、父からこの手紙を預かっております」


 ヴィオーネは一通の手紙を陛下に渡す。封を切り、中を読み進める陛下を待っていると驚きの声を上げた。


 「この手紙に書かれていることは本当なのか!?」

 「父は嘘は書きませんわ。それほどまでこの婚約が大事ということなのでしょう...」


 少し迷っている様子の陛下だが、そこにケントが口を開いた。


 「なんて書かれているんです?」

 「ん?ああ、今回の件を認めてくれるのであれば、帝国産の雷の魔石を低価で買えること、それに友好国として今後お付き合いをしていきたいと書いてある」

 

 少し迷った表情を見せつつも、陛下はケントとヴィオーネ皇女の婚約を認めた。ある条件付きで。


 「わかった...ケントとヴィオーネ皇女の婚約は認める。ただし、第一妃はクレアでよいな?」

 「それはわかっていますわ。これで私もケント殿と結婚ができるというわけですね」


 そういうと、ヴィオーネはクレアを睨みつけるが、負けじとクレアもヴィオーネを睨みつける。

 お互い一歩も引かない状況でケントが口をひらく。


 「さて、話は以上だな。俺はこれで帰りますねー」


 そう言って立ち上がって部屋を出ようとした瞬間、ケントの腕をクレアとヴィオーネが両腕にしがみつき、ケントの動きを止めた。


 「ケント様、まだ先ほどの話が終わっていないので私の部屋でじっくりと話しましょう」

 「それは良い提案ですわ...先ほどよりもしっかりとした回答が聞けることを願っていますわ」


 ケントは二人に引き摺られながら部屋を出ていった。

 その光景をアイと陛下はポカンとした表情で見送っていた。


 「...その...なんだ...我が娘ながら怖い部分を持ち合わせているんだな...」

 「同感です...あんな怖いクレアは初めて見ました...」


 ケント達がいなくなった部屋で陛下と二人で談笑が始まった。


 「それはそうと、昨日クレアのことを元気づけてくれたそうだな」

 「いえ...そんな大したことはしていないです」

 「お主も大変だったっていうのに...」

 「気にしないでください。私が好きでやっていただけなので...それに...」

 「それに...?」

 「好きな人がそばにいるっていいことじゃないですか。いる時にやっぱり自分の気持ちに正直にならないと損をしますし」


 いつもは、こう言った関連の話をするとき、アイの表情はどこか寂しそうな表情をしているが、今回の表情は少しにやついていた。


 「何かいいことでもあったのか?」

 「えっ!?そ、そんなことないですよ!」

 「...ふっ、嘘が下手だぞ。その表情を見れば一目瞭然じゃ」

 「うぅ...実は...」


 アイは夢でユアンと会って色々話したこと。それに精神世界でイチャイチャしたことなど全て話してくれた。反している時のアイの表情は、終始笑顔で今までで一番いい表情をしていた。


 「なるほどな...それはいい時間じゃったな」

 「もっと続いて欲しかったんですけどねー」


 なんでも話してくれるアイは正直色々助かっている。あの三人の中で一番接しやすい。ユアンやケントは考えを隠すような行動に出るが、アイの場合はなんでも相談に来てくれる。その点については情報が入ってくるためとても助かっている。


 「さてと、そろそろ私もいきますね。ケント達のところに行ってケントを少し解放してあげないと、疲労で倒れちゃいますから」

 「ああ、よろしく頼んだぞ」


 アイはゆっくりと立ち上がって部屋を出た。

 一人になった部屋の中で陛下はポツリと言葉をこぼした。


 「まったく...次アイを悲しませたら承知せんぞ...ユアン」

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