第十六話 魔女の会話
「ヤッホーユニバ元気してた?」
城の屋根に座っているユニバにラミファは声をかける。
「なんじゃ...ラミファか。なんのようじゃ?」
「連れないなーせっかく会いに来てあげたのに...」
「誰も頼んでおらん」
いじけている様子のラミファを見て、ユニバはため息をついた。
「まったく...その様子だと面倒ごとを持ってきたようじゃな...」
そう言葉を吐き捨てるとラミファの顔つきが変わった。
「...この前、クレーナに会ったんだけど...様子がおかしかったの...」
「クレーナの様子?」
「うん...私、この前までクエント帝国にいたんだけど、偶然クレーナと会って少し話をしたんだけど、なんか情報を集めているらしくて...」
ラミファの顔つきはますます険しくなる一方で、現在の話ではそこまでおかしい点は見つかっていない。
「そこまでの話じゃとおかしい点はないが...」
「その情報が問題なのよ...死神の加護を持っている人の情報を探しているらしいの」
ラミファの一言でその状況が変わった。
「なんじゃと!?死神の加護じゃと!?」
死神の加護は、死神が死に近い人に対して与える加護であって与えられた者の死期はその加護の効果によって早まってしまう。
「うん...クレーナのスキルは「鑑定」だから調べるのに造作もないし、その情報を誰かに渡すことで報酬がもらえるって言ってたけど...」
「その誰か...は十中八九ラウレス達じゃな...」
「私もそう思う」
死神の加護を持っている者を見つけてもなんの得にもならないはずじゃ...そもそも死期が近い人間をどうするつもりじゃ......
「それと、クレーナはクエント帝国で雷の魔石も大量に購入してたし...それに...」
「それに?」
「私を見た時、数秒止まった後に私の名前を思い出したかのように言っていたのも気になるんだよね」
「ますます変じゃな...クレーナがお主の名前を忘れることなって思えんしな...もしや...「洗脳」か...」
「あり得ないでしょ?仮にも魔女だよ...クレーナがそんなスキルに...」
「じゃが、ラウレスは魔神じゃ。力量ではあっちの方が圧倒的に上じゃ」
すると突然、バラバラだったパズルが少しずつハマっていく。
「もしかして...あやつら...ユアンを生き返らせようとしているんじゃ...!?」
「嘘でしょ...だってなんの得があるのよ!」
「わからんが...死神の加護、雷の魔石、ラウレス...この三つが揃えばユアンに関係があるかもしれんじゃろ!」
もし、これが本当なら一大事じゃぞ...
例え、クレーナが洗脳されていたとしても...どうやって...ラウレスはユアンにやられてバラバラのはず...
「ユニバ...これからどうする?」
「とりあえず、わしはここを離れるわけにはいかんのでな。お主はクレーナの情報を集めてほしい、頼めるか?」
「もちろん!」
そう言ってラミファはほうきに跨いで、クローム王国のある方角へと消えていった。
もし、これでクレーナの意志でラウレス達に情報を渡していたとなれば...わしらが止めるしかないな...
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