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第十九話 作戦成功!?

 「ところでユアン、どうやって成功させるつもりだ?」


 陛下は机に肘を置いて頭を抱えている。


 「とりあえず王女殿下を連れてきて皆で夕食を食べましょう。そしてその後に、陛下が今の話をケントに促してくれれば大丈夫ですよ」


 陛下はユアンの話を聞いて急いで王女殿下を連れてくるように命令した。するとすぐにドアが開いた。ドアの前にはユアンたちと年の近い美少女が立っていた。


 「初めまして、エオメル・ヴァン。アウストの娘、クレア・ヴァン・アウストです。」


 クレアはユアンを見るなり丁寧に挨拶を始めた。ユアンもクレアに挨拶を返した。


 「初めまして、ユアンと申します。今日会えてとても嬉しく思います」


 お互い挨拶が終わると席につき話の続きに入った。


 「クレアよ。もうすぐ来るケントというやつがお前の婚約者になる男だ。夕食を一緒に食べるから頑張ってアピールするんだぞ」


 「わかりました。お父様。頑張ってケント様を落として見せます!」


 陛下がクレアに内容を話し終えると、すぐにケントたちを呼びに行かせた。


 数分経つとケントとアイが部屋にきた。ケントたちは陛下がいることは知らず戸惑っていた。


 「え?陛下が....なんで?それに隣にいる女の子って.....」


 さすがのケントも陛下の隣にいる人が誰だか予想がついた。


 「初めまして、エオメル・ヴァン・アウストの娘、クレア・ヴァン・アウストです。ケント様、アイ様よろしくお願いいたします」


 ケントたちも初めて丁寧な挨拶をされて少し戸惑っていた。だが、精神年齢が十七歳ぐらいだったのでうまく挨拶を返していた。


 「初めましてケントです。こちらこそよろしくお願いします」


 「初めましてアイです。まさか陛下と王女殿下がいるとは思いませんでした」


 ケントたちが挨拶を終えた後、席にすわると次々と料理が運ばれてきた。


 皆が料理を食べているとクレアはケントに対して色々と質問をしていた。趣味や得意な魔法など二人の会話は思ったよりも弾んでいた。


 それをみて陛下がユアンの方向を見てニヤリと笑うのが見えた。


 「ケントよ、実はお願いがあるのだが......」


 ケントは急に陛下からのお願いと聞いて戸惑っていた。


 「な、なんですか?」


 「実はそこにいる娘のクレアの婚約者になって欲しいのだが.....」


 ケントは陛下の言葉を聞いてフリーズして動かなくなっていた。アイがいくら肩を揺すっても動かないので、ユアンは思いっきりケントの頭を殴った。


 「痛ってえな!何すんだよ!」


 ケントは殴られた箇所を摩っている。ユアンはすぐに自分の席に座り直した。


 「早く陛下の返事に答えろよ」


 「いや、急にそんなこと言われても....」


 ケントはチラッとユアンの方を見た。するとケントはユアンのいる方向に歩いていき、ユアンと耳打ちで何かを話している。


 「すみません陛下。少しユアンと話してきていいですか?」

 

 「かまわん。気の済むまで話してこい」


 陛下の許可をもらいユアンたちは部屋を出て廊下で話している。


 「どういうことだよ。いきなり婚約者だなんて!しかも王女様だぞ!」


 「知らねーよ!そもそもなんで俺と相談するんだよ。自分で決めろよ!」


 陛下たちのいる部屋に聞こえないようにボソボソと話すユアンとケント。


 「お前の「未来予知」でこの状況って見えてたんじゃねーのか?」


 「いや、見え...てない」


 言えない。自分にも縁談の話があったけど断ったからケントになったとは口が裂けても言えない。


 ケントはユアンの返答や表情を見て嘘だとわかったらしい。


 「おい。ちゃんと目を見て話せ!見えてたんだろ!?なぁ!」


 ケントはユアンの肩を掴んで思いっきり揺らす。この状況をどうにかしないといけないので話を進めることにした。


 「見えてたよ。けどあの状況で言えたと思うか?」


 正論を言われたケントはユアンの肩から手を離した。ケントは困ったようにユアンに助けを求めた。


 「じゃあどうすればいいんだよ!教えてくれよユアン様ぁ〜」


 「未来では受け入れてたよ。多分婚約者になっても平気だよ。いつも通りの生活はできる」


 「本当か!?嘘じゃないよな!」


 「嘘じゃねーよ。そうと決まればすぐに返事しないとな」


 話が終わるとユアンはケントに背を向けた。ユアンはケントに見えないように作戦が成功したとニヤリと笑っていた。


 ドアを開けると陛下たちは食事を続けていた。ケントを見ると「話し合いは終わったのか?とりあえず答えを聞かせてくれ」と言っていた。


 「はい..お受けします」


 その言葉を聞いて陛下はまたユアンの方を見てニヤリと笑っていた。


 「そうか!ではクレアのことは任せたぞ!いや実にめでたい!!」


 そう言って陛下は食事を続けた。


 「ケント様、不束者ですがよろしくお願いします」


 「えっ!いや俺の方こそ、本当に俺なんかで良かったんですか?」


 いきなり婚約者だと言われても平然としているクレアを不思議に思ったケント。


 「はい。訓練場で賢者バーン様と修行をされているところを見た事があって....その時にこの()で見て安心だと思ったんです」


 ユアンたちは少し疑問に感じた。目で見たから安心というのは少し変に思えた。すると、ユアンたちが考えている姿を見て陛下が話に入ってきた。


 「クレアは「心眼」というスキルを持っているんだ。自分の目で見た相手の悪意が見えるスキルだ」


 その言葉を聞いて納得した。それを聞いてケントも納得したようで、王女殿下と正式な婚約者になった。


 食事が終わった後、部屋から出て行こうとしたユアンは陛下に呼び止められた。ケントたちには先に帰ってていいと一言言って部屋に残った。


 「ユアンよ、今回の件感謝する。まさかユアンの作戦がこんなにもうまくいくとはな」


 「貸し一つですよ陛下。さすがにこんなことを任されるのは二度と御免ですよ」


 ユアンと陛下の話についていけないのかクレアが話に割って入ってきた。


 「ユアン様少しいいですか?ユアン様はこのような状況になる事がわかっていたのですか?」


 「そうですね。完璧とは言えませんけど」


 それを聞いても不思議に思っているクレア。


 「ユアンには未来が見える「未来予知」というスキルがある。今回はそのスキルを持っているユアンに頼んだというわけだ」


 「そうだったんですね。謎が解けました」


 話が終わると部屋を出て自分の部屋に向かった。向かう途中帰り道で、「あぁ、自分にめんどくさい事にならなくてよかった」と心の中で思ったのはユアンしか知らない。



 



 

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