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第四十五話 結果

 エルクが放った獄炎の矢(フレイムスピア)の爆炎でシエラのシルエットが確認できない。

 その魔法を見て、賢者達は「おぉ...」と声を出す者もいれば、何も言わずにただ見つめているだけの者もいる。


 「怪我ぐらい負ってて欲しいな...」

 「泥沼吸収(ドレイン)で魔力を吸い取ったから、魔力障壁は出せていないはず...」

 「ラグレスがシエラ様の気を削いでくれたおかげで、ノーガードのところで魔法を打てたし、怪我ぐらいは...」


 段々と煙がなくなり、人型のシルエットがうっすらと見えてくる。

 その姿を見て三人は愕然とする。


 「まぁ...コンビネーションは悪くなかったよ。各一人一人がきちんと役割を果たしているし、私も直撃を喰らっちゃったし...でも圧倒的に足りないのは、火力。どんなにコンビネーションが良くても火力がなきゃ結局負けるんだよ」


 無傷のシエラを見て、ラグレス達さん人のほか、賢者達も驚いた。

 おそらく、バーンやアークでもあの魔法を直撃に喰らえば、傷ぐらいは負うはず。にも関わらず、シエラは無傷で耐え切った。


 「はぁ...これで賢者に推薦されるとは...今の賢者達の目も曇ったもんだね...」


 シエラが独り言でボソッと呟くと、それを聞いたラグレス達が反応した。


 「賢者って...どういうことですか!?」

 「ああ、言ってなかったね。ユアンやヴァントが居なくなった今、賢者には二つの空席があるの。一つはアイちゃんに埋まったけど、残りの一つをどうするか、話し合いになって、アークがラグレスを指名して、実力が足りないことで却下になったけど、その後、ケントが三人一組で賢者とするのはどうだ?って提案してきたから、私が見極めてあげることになったってわけ」


 シエラは見ている賢者達に顔を向けて問いかけた。


 「わかったでしょ!まだこの子達には賢者は早すぎるってことが!」


 これを見れば、誰も何も言えない。

 目の前で起きていることが事実なのだからしょうがない。

 推薦したケントも何も言わずに突っ立っているだけだった。


 「待ってください!もう一回だけ!」

 

 ラグレスが必死に頼み込むがシエラは拒否した。


 「だめよ、あなた達の実力では下位の魔人すら倒せない。現に、学園を襲った魔人でさえも三人でかかっても倒せなかったって聞いたし、実力がないうちは真面目に修行でもしてもらったほうがありがたい。もう...誰も死なせたくはないの。特にあなた達のような金の卵はそう簡単に死んじゃダメ。もっと力をつけなさい」


 そう言ってシエラは三人から離れていき、賢者達のいる場所へと合流する。


 「さぁ、戻って会議の続きするわよ」


 賢者達が移動する中、ラグレス達三人は訓練場で座り込んでいた。


 「なんで...なんでだよ...くそ!」


 ラグレスは涙を流しながら地面を思いっきり叩く。

 涙を流しているのはラグレスだけじゃなかった。他の二人も悔しさで、涙を流している。


 「私たち三人の力でも賢者の力には及ばないなんて...」

 

 賢者になれなかった悔しさよりも、せっかくケントや他の賢者が推薦してくれたのに、返って失望させてしまったことが一番悔しかった。


 その日は、三人別々で城を出て家へと帰った。

 

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