第八話 問い詰める
短いですがどうぞ
私はクレアの部屋を出て行った後、すぐに陛下のいる執務室へと向かう。理由は、ユアンの秘密を知っているのか。なぜ私たちには何も知らされていないのか。
さまざまな憶測で都合よくまとめている部分もあるが、今は真実が知りたかった。陛下に聞けば何かわかるかもしれないと思った。
執務室の前に着くとドアを軽くノックする。「入って良いぞ」と返答が来たので私はドアを開ける。
「おお、アイか!病院で寝ていると聞いたが体調はどうだ?」
「はい、おかげさまで少し楽になりました。ところで陛下、少しお伺いしてもよろしいですか?」
「ん?なんじゃ?」
陛下は一瞬顔が引き攣ったかのように見えた。
「陛下はユアンの秘密とやらを知っているんですか?」
「いや、知らんな...そもそも今ユアンは指名手配中。見つかれば即処刑となっておる。そんな奴の秘密なんぞ...」
「でも...流石に処刑はあり得ないと思います。クレアを斬っただけで処刑だなんて...まだ殺したならわかりますが、軽傷だけで処刑はあまりにもやりすぎだと思います」
「今まで育ててやった恩を仇で返したんだぞ...そんなやつをわしは許さん!」
陛下のいうことはわからなくはないが、それでも何か引っかかる...
「それでも、処刑はやりすぎだと思います!ユアンの処刑を取り消してはくれませんか!」
「くどいぞ!もう決めたことじゃ!」
初めて陛下が大声を上げたことに驚いて少し体がすくんだ。陛下も自分が大声を出したことに気づいたのか、少し落ち着いた様子を見せる。
「わかりました...もういいです...」
私はそう言って執務室を出ることにした。出て行く際、私は陛下に向けて一言言った。
「もし、私がユアンを見つけても絶対に殺しません。むしろこの国を離れてどこか遠い国で二人で暮らしますから」
そう言って私はドアを閉めた。
アイがいなくなった部屋で一人陛下は、今のアイの言葉を聞いて胸が痛くなった。
「それでもいい...それでもいいから...どうにか生きてくれ...ユアン」
一人涙を流す陛下だった。
次回からまたユアンの話に戻ります。面白かったらブックマークと評価をお願いします。




