表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/307

第十三話 魔王

 魔人の組織(カラー)であるミドリは魔王のいる部屋へと向かっていく。魔王のいる部屋への通路は薄暗く不気味な雰囲気が漂っている。


 「あら変わらず不気味だな」


 ミドリは魔王のいる部屋へとただりつきノックもしないで扉を開ける。魔王の部屋には蝋燭の灯りのみで部屋は薄暗く遠くはよく見えない状況だった。


 「魔王様、どのような御用件で?」


 ミドリは魔王のそばまで行くと片膝をついた。ミドリの前には台座に座っている魔王が君臨している。

 魔王は大柄で身長は三メートルを優に越している。


 「...ミドリか。あの件はどうなっておる?」

 「はっ!それは順調に進んでおります故、ご心配なさらずに」

 「そうか...もう下がって良い」

 「かしこまりました」


 ミドリは早々に来た道を戻って帰っていく。去り際にミドリはボソッと口に出して「何も知らないで...」と呟いて部屋を出た。来た道を戻っているとキイロとすれ違った。


 「ミドリ、お前も魔王様に呼ばれていたのか?」

 「ああ、そういうお前も魔王様に?」

 「そうだ。俺はこの前の報告とかな。お前みたいに呼ばれたわけではないが、危険人物ぐらいは報告しようと思ってな」


 キイロは何枚かの資料を手に持っている。だいたい予想はつくが、ミドリは聞いてみることにしたようだ。


 「その紙誰の情報が載ってるんだ?」

 「ん?ああ、これか。これは危険人物の記された容姿だな。やはり特に注意するべきはアウスト王国の賢者ユアンだな。それに続き、ケント、アイ、そしてクローム王国ジェロンドこの四人だな。ほかにも注意するべきは一応だが、ラグレス・ブライとかだな」


 ミドリは黄色が最後にいった人物の名前を聞いて目を丸くした。


 「おい...最後にいった名前のやつって...」

 「ああ、勇者の子孫だ。ラグレスという子供は生まれながらにして光精霊の加護を持っているらしいが、まだその力は使えないらしい。今すぐ殺したいところだが、何せその師匠がユアンだからな。迂闊に手を出せないのが頭の悩みどころだな」

 「クックックッ...そうか。そいつはまだ放っておいていいだろ。どうせ俺らの敵にはならない」

 「どういうことだ?」

 「まぁそのうち分かる。それとキイロお前これ持っとけ」


 ミドリはキイロにとある石を渡す。見た目は普通の魔石だが、特に何も感じられるものは何もなかった。


 「なんだこれは?ただの魔石か?」

 「それは特注でな。もし危ない時にそれに魔力を通したら莫大な魔力を得られるぞ。魔力増強剤とは比べ物にならないほどのな」

 「この魔石がか?」

 「ああ、使ってみてからのお楽しみってことだ。他のメンバーにも渡す予定だし、お前らには死なれちゃ困るんだよ」

 「わかった。素直に受け取っておこう。それじゃあな」


 キイロは急足で魔王のいる部屋に向かっていく。ミドリも同じように急足でいつもの会議室に向かう。扉を開くとオレンジとドウそれにアオがのんびりと休憩していた。


 「お前らにもこれをやる。使い方はただこの石に魔力を込めればいいだけだから使うときは危ない時だけな」

 

 ミドリは机にキイロにあげた魔石を机に広げる。


 「ミドリこれにゃに?」


 オレンジが魔石を持ち上げて照明に照らしている。


 「いざと言う時の道具だ。賢者とかと戦う時に負けそうになったらこの石に魔力を込めれば格段に強くなれる。魔力増強剤よりもおすすめだ」

 「ふーん。ならもらっておこうかな。ドウもいるでしょ?」

 

 ドウは何も言わずにただ首を縦に振った。それをみてオレンジはテンションが上がったのか賢者と戦いに行こうと言い出した。


 「やめといたほうがいいぜ。あっちは再建中とは言え賢者全員が揃っている。仮にその石を使ったとしても賢者を倒せてもケントやアイは倒せる確率は低い」

 「ニャンでそこにユアンの名前はにゃいの?」

 「あれは無理だ。一対一なら誰も勝てない。たとえ魔力が大きくなってもあいつの前では無に等しい」

 「行ける気がするけどにゃ」

 「会ったことないから言えるんだ」

 「それについては私も同感よ〜。ユアン君とは前の戦いで会ったことあるけど、あれは尋常じゃない。あれで神化を習得してたら誰も勝てないわ」


 アオとミドリがそこまで言う程ユアンの存在はデカすぎると言うことだ。しかし、それでもキイロは戦ってみないとわからないという考えしかなかった。


 「この前の時にマーキングはしたのかにゃ?」

 「ああ、一応な」

 「それじゃあ問題ないにゃ。ちょっと行ってくる!ドウお前も来るか?」


 ドウは静かに頷き、オレンジの後について行った。


 「あーあ行っちゃったわね〜多分あいつら死ぬんじゃない?」

 「まぁそうだな。でも止めても無理そうだからなしょうがない。それよりアオもこの石持っとかないのか?」

 「私はいいわ〜。だってあなたが何かくれるのって何か企んでるような気がするし〜」


 アオは何かミドリの内を見透かしているような態度をとっている。ミドリは普段贈り物とかは絶対にしない。それどころか自分のものを他の人にあげたりなんかは絶対にしない。


 「相変わらず察しがいいな」

 「それで?何を企んでるの?」

 「ふっ、今は教えられねーな。また今度な」

 「まぁいいわ。どうせ次の戦いの時に仕掛けるつもりなんでしょ」

 「そこまでお見通しか...まぁそうだな」

 「ふふ、楽しみにしてるわ」


 そう言ってアオも部屋を退出する。これで石を渡していないのはアオとクロそれに死んだアカの分だ。アカの分は他の魔人に渡しておけば済む話だが、アオとクロはそううまくは行かないだろう。アオは諦めるしかないが、クロは居場所がわからないため渡したいが渡すことはできない。まぁ最悪その分も他の魔人に渡しておけばいいだけの話だ。


 「クックック、ようやくだ...ようやく楽しくなるぞ...」


 一人で笑うミドリの周りには異常なほどの殺気が漏れていた。

いつもありがとうございます。面白かったらブックマークと評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ