表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/307

第十話 帰路

 ジェロンドに全てを話した次の日、ユアンたちは城の前に止まってある馬車に乗り込もうとしていた。


 「忘れ物はないかい?」

 「特にないです」

 「私も平気です」


 城の前にはすでに馬車が準備満万全の状態だ。流石にクローム王国に長居するわけもなく、自国に帰らないと賢者たちの仕事が増えるだけだ。

 見送りとしてルーカス王とウェント公爵、ジェロンドの三人がきていた。


 「ザルク公爵、大至急で兵を向かわす。エオメル陛下によろしく言っておいてくれ」

 「わかりました。援助ありがとうございます」

 「こちらこそ、濃霧の森の件感謝している。お互い様だ。ユアン、アイまた来てくれよ。」

 「ザルク公爵も元気でな!ユアンまたこの国に来たら模擬戦やるぞ!待ってるからな!」

 「ユアン、あまり無茶するなよ。今度は友達でも連れて旅行しにこいよ、いつでも案内してやるから。アイちゃん、ユアンのことよろしく頼むね。こいつ多分無茶なことばっかやると思うから」

 「任せてください!ユアンをしっかりと監視して危ないことはやらせない様にします」


 アイに母親づらされて少し恥ずかしくなる。


 「俺そんな危ないことしないって」


 ユアンの発言に静寂が流れる。全員がユアンに視線を移した。


 「え?」

 「「絶対する!!」」


 アイとジェロンドから否定される。特に自分では危ないことをしている自覚はなかったが、周りの人から見ていたら充分危ないことをしている様に見えるのだろうか。


 「そんなに俺って危ないことしてました?」

 「してるに決まってるじゃん!一人で濃霧の森に行っちゃうし!遺跡の調査だって何も相談もなかったし、一人でなんでもやりすぎなの!」


 アイの言葉にザルク公爵やウェント公爵、ルーカス王、ジェロンドがうなずいている。ザルク公爵が頷くのはわかるが、濃霧の森はむしろルーカス王たちの責任の様な気がする...


 「はいはい。もう危ないことはしないって」

 「本当にわかってる?ユアンが危ない目に遭ったらアウスト王国がどうなるかわかってんの?」

 「別に平気だろ。俺がいなくても他の賢者たちが頑張ってくれるし、それにケントやアイもいる。むしろ十分すぎるくらいだろ」

 「でも、ユアン君の「未来予知」があってこその危機回避ができるってものだよ。それを考えたらユアン君一人で国一個の戦力と変わらないってこの前陛下が言ってたよ」


 まさかそこまで思われていると知らなかった。確かに一つの国に「未来予知」というスキルがあれば、色々な危険から国を守る手段がいくつも取れる。「未来予知」はいくつかの未来に分かれて見えるようになっており、その中から最善の未来を選ぶ事ができるスキルだ。他にも起こる出来事によって対策もいくつかできる。万能なスキルだ。唯一欠点を挙げるとするならば会話などの話の内容の未来はわからないと言うことだ。話している未来は見えることはあるが、どれも口パクにしか見えない。


 「まぁこんなスキルを持った責任みたいなもんですよね、ある意味で」

 「そうだね...でも君を必要としている人はたくさんいるんだから胸を張っていいと思うよ」


 ザルク公爵にそう言われて少し嬉しくなる。

 そろそろ馬車が出発する時間になった。ユアンとアイは窓から上半身を少しだしジェロンドやルーカス王に向けて手を振って別れを告げた。ここからは約三日間馬車での移動がスタートする。「未来予知」で未来を見てみたが、特に変化はなくこのままアウスト王国までゆっくりしながら帰ることになる。


 「ケントたち大丈夫かな...」


 初めて一週間以上も国を開けていたのでアイは少し心配になる。ユアンは特に心配などしていなかった。ケントや他の賢者たちも頼りになるし戦闘では言うまでもなく強いので特に心配などする必要はなかった。


 「大丈夫だろ。王都にはレインさん達もいるし、何よりケントがいるんだから大丈夫に決まってるだろ」

 「でも、ケントって戦闘を楽しむためにわざとギリギリで戦うような癖ない?」

 「言われてみればそうだな...魔人が襲撃してきた時も相手は水属性だったのにわざわざ火属性で戦ってたからな...風属性で戦ってたら倒せてたのに」


 あの時ケントがアオを倒していれば戦況は楽になっていた。普通の魔人一人なら賢者一人でも簡単に倒せるが、魔人の組織(カラー)の幹部になると賢者一人では足りないくらいだ。ユアンやケント、アイならば単独で倒すことは可能だが、それでも倒すのには相当な戦いが必要となるだろう。


 「でも、国を出るときにケントとか視たけど特に何か起きるってことはなかったな」

 「そっか...ユアンがいうんだから安心していいんだよね?」

 「まぁとりあえずな。外れることもあるけどあのメンバーでやられるってことはそうそうないだろうから、俺らはゆっくりと帰ればいいさ。俺もずっと動いてばっかだから疲れてるし」


 そうしてユアンは馬車の中で眠りにつく。


 「寝顔を見ているとやっぱり子供だね」


 前に座っているザルク公爵がクスリと笑っている。


 「まだ子供ですよ。私もユアンも」

 「でも、その力は子供とはいえないけどね...君たち三人が神の加護持ちだと聞いた時はどんな子供だと思ったが、あってみれば案外普通の子供だった時は驚いたよ。でも、君たち三人はどこか他の子供と違って大人びている様に見えたけどあれはなんだったのかな?」

 「えーなんでしょうね?若気の至りってやつですかね?」

 「充分若いでしょ、今の君たちは」


 馬車の中でザルク公爵とアイで笑いが起きる。久しぶりにこんな穏やかな時間を過ごせてユアンとアイは心が軽くなったようにリフレッシュができていた。



いつもありがとうございます。面白かったらブックマークと評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ