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第十話 戦闘

 馬車の中は思っていたよりも快適だった。公爵と向かい合わせで座っているが子供三人が横に並んで座っても余裕があるスペースがあった。


 「馬車って初めて乗ったからこんなにも早いんだ!」


 アイは初めて馬車に乗ったからはしゃいでいる。

 王都につくまで世間話をしていると馬車が止まった。


 「ザルク公爵!たった今馬車の周りを白狼(ホワイトウルフ)に囲まれました」


 護衛が馬車のドアを開けて知らせた。


 「何!数は!?」


 「三十匹程度です。ですが何人かは負傷者が出るかも知れません」


 「じゃあ俺も戦いますよ」


 ケントが手を上げて口を開いた。


 「な、何を言ってるんだ!ケント君!相手は白狼(ホワイトウルフ)だぞ!一匹ならまだしも、三十匹だぞ!」


 ザルク公爵が慌てて止める。

 白狼(ホワイトウルフ)は一匹ならDランクの魔物だが、群れになるとCランクになる。Cランクになると一般の冒険者が二チームで狩るレベルだ。


 「ザルク公爵大丈夫ですよ。ケントの未来を見ましたけど問題ありませんでした。」


 公爵は俺の言葉を信じてくれてケントの戦闘を許可してくれた。


 「いいかい?絶対に無理はしちゃダメだよ!」


 公爵がケントに念を押す。


 「大丈夫ですよ。ユアンと一緒なら!」


 ケントの爆弾発言で俺は固まった。


 「は?何言ってんのお前?」


 「え?だって俺が戦うんならお前も戦うだろ?」


 そんなクソみたいな理由で俺も戦闘に駆り出されそうになる。

 外では白狼(ホワイトウルフ)と護衛が戦っている。


 「早く来いよ!」


 そう言ってケントは馬車から降りて、白狼(ホワイトウルフ)の群れに飛び込んだ。

 俺もしょうがないと思い馬車を降りる。


 「アイ、ザルク公爵に護衛をお願い。」


 「うん!わかった。気をつけてね!」


 馬車を降りたら凄まじい光景が広がっていた。すでに戦闘は終わっていて白狼(ホワイトウルフ)の死体が山積みになっていた。その上にはケントが乗っていた。


 「あっ!遅いぞユアン!もう終わったぞ」


 全身血だらけのケントがこちらを見て怒っている。


 「いや、どう考えても早すぎるだろ。お前何したんだよ」


 「ただ、身体強化して、スキル「豪腕」を使って殴った。そしたら、白狼(ホワイトウルフ)が動かなくなった」


 いや、そりゃそうだろって突っ込みたくなったが俺は戦うことはなかったのでよかったと思えた。白狼(ホワイトウルフ)の死体を護衛が魔法袋(マジックアイテム)に入れて、また馬車が動き出した。


 「ケント君、ユアン君お疲れ様。怪我はしなかったかい?」


 ザルク公爵が笑顔で聞いてくる。


 「いや、俺は何もしていなくて、全部倒したのはケントですよ」


 ザルク公爵は驚いた。まだ五歳の子供が白狼(ホワイトウルフ)の群れをほぼ一人で倒してしまったこと。

 

 「本当にすごいね........でもここは白狼(ホワイトウルフ)は滅多に出ることはないんだけど....王都に帰ったら調査員を出さないと。この森で何かあるのかも知れない.....」


 公爵の言葉で俺は嫌な予感がした。俺はすぐにスキル「未来予知」でみんなを見た。するとまたこの馬車が襲われる未来が見えた。


 「一回じゃないのか!?」


 俺は驚きのあまり声に出してしまった。それを聞いて公爵とケントとアイが反応した。


 「どうしたのユアン?そんな大声を出して」


 アイが俺の服の裾を引っ張って言う。


 「ザルク公爵!またこの馬車が狙われます。今度は人?なのかわかりませんが一人です!」


 「何!?まさか盗賊か....」


 公爵は驚いたが何か心当たりがありそうだった。


 「ザルク公爵何か心当たりがあるんですか?」


 「いや、この役職柄私を恨んでいる人がいるかも知れないが、私には身に覚えがない」


 すると急に馬車が止まった。今度は窓を開けて目の前を見てみると人が立っていた。肌が黒く、頭に耳が生えていた。それを見て護衛が叫んだ。


 「魔人です!!!!!!!しかも白狼(ホワイトウルフ)の魔人です」


 その声を聞いて公爵が驚いた。


 「やはり、さっきの白狼(ホワイトウルフ)は奴の仕業だったのか」


 「白狼(ホワイトウルフ)って魔人になるんですか?」


 アイが公爵に聞いた。


 「魔物は、魔物同士や魔導師を殺すことで、力を身に付け最終的には人型に進化をして魔人になるんだ。魔人の戦闘力は凄まじく賢者が相手にするレベルだ」


 俺はそれを聞いてゾッとした。魔人一人に最強の賢者が戦うとなると今の俺たちでは戦うことはできない。


 「俺も戦います」


 ケントが公爵に言った。


 「ダメだ!今回ばかりは止めるんだ!」


 「でも、何もしなくても殺されるだけでしょ!」


 確かにケントの言う通りだ。何もしないで殺されるのであれば戦って死んだ方がマシだ。


 「俺に考えがあります。俺とケントが魔人の気を惹きつけます。その間にアイとザルク公爵は馬車で急いで王都に行ってください。護衛は半分残して俺たちと一緒に戦ってもらいます」


 俺はかける事にした。自分が死ぬのが先か応援を読んで助かるのが先か。


 「ダメだ!残るなら私が残る。君たちは王都に行って応援を呼ぶんだ!」


 「それだとザルク公爵が死んでしまいますよ。俺とケントなら大丈夫ですよ。死ぬ未来は見えてないので」


 「おいおい、そこの馬車の中に馬鹿でかい魔力を持ってる奴が三人いるだろ。そいつらを出せ。そうしたらお前たち貴族は見逃してやる」


 馬車の外から知らない男の声が聞こえた。


 「敵も俺たちを呼んでいるので行きますね。作戦を忘れないでくださいね。アイちゃんとザルク公爵を守れよ」


 「ちょっと待つんだ!」


 公爵の言うことを無視して俺とケントは馬車を降りた。馬車の前に行くと身長が二メートルを超えている大男が立っていた。

 そいつを見てみるととてつもない魔力が溢れ出ていた。


 「ほぅ、お前らだな。凄まじい魔力を持っている奴は。あと一人はどうした?」


 「さぁね、あんたが怖くて中で怯えてるんじゃないの?」


 ケントが魔人に挑発をする。


 「はっはは。我を挑発するか。まぁいい、お前らを殺したあと馬車にいるもう一人を殺すだけだ」


 するとケントはすぐに身体強化と「豪腕」を使って魔人の横腹を殴った。殴られた魔人は森の方に飛ばされた。


 「早く行け!!」


 俺が叫ぶと馬車は猛スピードでその場から消えた。後ろを見ると三人護衛が残っていた。


 「いい攻撃だったな。さすがに我でも応えたぞ」


 魔人は少し口から血が出ているが元気そうだった。


 「思ったよりやるな。さぁもっと楽しませてくれるんだろ」


 魔人がニヤリと笑う姿を見て俺たちはゾッとした。



 

今回初めて戦闘シーンを書きました。わかりづらいところがあったらすみません。

いつもありがとうございます。

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