エバーハート夫妻の最も幸福な日
女性がベッドに横たわり、静かな寝息を立てている。その安らかな表情は、尊い仕事を成し遂げた聖母をさえ思わせた。
脇には一人の男性がいて、彼女のお腹にやさしく手を当てている。布越しに伝わる手の感触からも、彼女のお腹の皮がだるんと余っていることは明らかだった。
二人は夫婦で、苗字をエバーハートと言う。結婚から数年。今日は、二人にとって特別な日である。
妻「……あなた……?」
夫「おはよう。よく眠っていたね」
妻「ええ……私、とても疲れて……それで、私達のエミリアーナは?」
夫「うん。問題ないよ。3月3日、19時23分。51センチ、3220グラム。直ぐにでもご対面さ」
妻「そう、それはよかった……ねえ、あなた。私おかしいのかしら。今更だけど、不安になってしまったの。私、エミリアーナをちゃんと……」
夫「何言ってるんだ。大丈夫。これまでだって力を合わせ来たじゃないか。君と僕なら、きっと上手くやれるさ」
夫が微笑み、妻を励ました時。二人がいる部屋に呼び出しの電子音が響いた。
夫「どうやら準備が整ったようだ。じゃあ、君はここでゆっくりしていて。僕が行って来るから」
妻「ふふっ、あなた一人で大丈夫かしら……?」
夫「おいおい、安心して頼ってくれよ。僕は、君の夫なんだからね……愛してる。これからもよろしく」
妻「ええ、私も。愛してるわ」
柔らかなキスの後、夫はゆっくりと部屋を出た。エミリアーナを迎えるために。
その表情は、彼が今この瞬間、世界一幸福な夫であることを明確に示していた。
配達員「特大ピッツァ・エミリアーナ、お届けに上がりました!」
夫「FOOOOOOOOOO!!レッツ・パーティ・トゥナイッ!!」
エバーハート夫妻は、50キログラムの大減量を成し遂げた。
今日は大事な大事な、ピッツァ解禁の日である。
◇◇◇◇
※Pizza Emiliana:トマトソース、モッツァレラ、ナス、ジャガイモとソーセージのピザ。
夫「イッツァピッツァエミリアーナ!!」
妻「Yeaaaaaaaaaah!!」