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亜人占領

新作「反逆の妖蟲王~乙女ゲームの世界かと思ったらギャルゲーの世界だった」投稿しました!








https://ncode.syosetu.com/n1001fw/

ロビンは町に転がる死体を『腐り鎌』で突き刺して、黒い土に変えていく。

それが終わると、領主の城に入っていった。

「館の中は死体ばかり……生存者はいないか」

城にいた騎士やメイドたちは、餓死する前に自殺を選んだのだろう。毒を飲んで死んだ者、仲間同士剣で付き合った者、あるいは高い塔の上から自殺したものなど、様々だった。

それに対して役人たちは、ほとんどの者が自室にこもって最後の時を迎えている。彼らは王都からの救援に一縷の望みを掛けたようで、今までに貯めた金を抱いて餓死している者も多く見られた。

「生き残った者は助けてやろう。生存者を探せ」

ロビンの命令で、城内がくまなく捜索される。まもなく地下牢の囚人が生きているという報告が入った。

ロビンと騎士たちが地下牢に行くと、一番奥の牢にやせ細った少年が入れられている。変わり果てたエルウィンだった。

「……ロビン……か?」

「ああ。久しぶりだな。エルウィン先輩」

ロビンが声をかけると、エルウィンは力なく笑った。

「なぜ……君は……王国を裏切ったんだ」

「先に裏切ったのはお前たちだ。俺は反乱も寝返りもするつもりはなかった。ちょっと亜人国と貿易をして、フード領を豊かにできればそれでよかったんだ。ありもしない反乱をでっちあげ、戦争を仕掛けてきたのはお前たちだ」

ロビンがきっぱりと告げると、エルウィンは力なくうな垂れた。

「父も……大将軍も……王子とピーチに乗せられて……滅んだ。せめて君に頼む……奴らを滅ぼしてくれ」

エルウィンはロビンに頼み込むと、そのまま息を引き取る。彼の周りには、呪いに冒されたネズミの死体が転がって折、彼自身も呪いに感染して死んでいた。

「わかった。先に地獄で待っていろ」

ロビンは配下に命令して、エルウィンの死体を焼き尽くす。こうしてバーミンガムの都市は、ロビンの手に落ちるのだった。


「これでバーミンガムの街に、皆を戻せますな。マリアンヌ様を領主として、ビクトリア家を再興させましょう」

ジョンは上機嫌で言うが、ロビンはゆっくりと首を振った。

「残念だが、皆を戻すつもりはない。ここの住人は新しい街を作るため、必死に働いている途中だからな。それにマリアンヌも戻すつもりはない。彼女はすでにフード公国の王妃で、ビクトリア家の者ではないのだからな」

ロビンに拒否されて、ジョンは嫌な顔をする。

「ならば、この都市をどうするつもりですか?」

「ちゃんと考えている。とりあえず、ジョン、お前がこの都市の城代になって、しっかりと守れ」

「城代とおっしゃられましても……」

ジョンは困惑してしまう。元の住人が戻ってこないのなら、バーミンガムの街はただの廃墟である。守る価値があるとは思えなかった。

「住民は、今回の戦乱で家や家族を無くした周辺の村の難民を受け入れろ。周辺の村へはまた新たに移住者を連れてくるから、彼らをしっかり守れ」

ロビンはジョンにバーミンガムを任せて、フード公国王都フンボルトに戻る。

そしてアリスに頼んで、亜人国に交渉に行くことにした。

「ここが亜人国首都、ユグドラシルか。面白い所だな」

巨大な穴の中心に一本の巨木が生えている。その周りの壁面に無数の洞窟が口を開いていた。

「ふふ。田舎でびっくりしたでしょう」

「いや、これはこれで面白い、観光名所になりそうだ」

そんな会話をしながら、ひときわ大きな洞窟に入る。出てきたトカゲ族のメイドに案内されて、竜王ティラノの執務室に入った。

「ティラノ陛下、ご拝謁感謝いたします」

ロビンは完全に臣下の礼を尽くして、洞窟の床に跪く。そんなロビンの態度に、ティラノは鷹揚にうなずいた。

「ビクトリア領都バーミンガムを落としたそうじゃの。武運重畳で結構なことじゃ」

「ありがとうございます。しかしながら、少々もてあましております」

ロビンは自分の考えを伝える。バーミンガム侵攻はフード公国の建国が進み、安定した後にするつもりだった。現在の建国中にバーミンガムまで手に入れて維持しようとすると、手が回らなくなる。

「それで、ワシに何を望む?」

「人員と兵をお借りしたく存じます」

「ほう……?」

ティラノは少し考える顔つきになる。

「移民はともかく兵まで貸せとな。亜人国にどんなメリットがあるのじゃ?」

「我がフード公国を隠れ蓑にして、亜人国の勢力を広げることができるかと。今の段階で亜人国が表立って人間国と敵対するわけには参りませんでしょう。平和条約を結んでいますから」

100年前、勇者パーティが亜人国と敵対したときに、当時の竜王に重傷を負わせ、多くの領土を奪い取った。それがビクトリア地方である。

勇者たちの力に恐怖を抱いた竜王は、人間国と和平条約を結んで命脈を保ったのだった。

「我がフード公国は、表面的には独立国。人間国とは何の条約も結んでいません。そんなわが国の領土に、亜人の方々が住んでも何の問題もないでしょう」

もちろんこれは詭弁であり、フード公国が亜人国の属国であることは人間国にもすぐにわかる。

それでも、平和条約を結んでいる以上、人間国は亜人国と表立って戦うことには抵抗があるのである。

その分フード公国が矢面にたつことになるのだが、その勢力が拡大すればするほど亜人の勢力が増していくのは好ましかった。

「よかろう。移民を募り、兵を貸そう。だがその代わり、その分だけ貢納を増やしてもらうぞ」

「感謝いたします。我が主君よ」

こうして、人間の領域だった地域にどんどん亜人たちが入り込んでくることになるのだった。

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[一言] こっちの更新も頑張ってください!
[良い点] 久々の更新♪ エタったかと思った
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