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消えた英雄と消えた過去  作者: 黒崎 夜羽
3/3

3,drop hero

ゆったり更新していきますw

最愛の人は、もう自分を覚えていない。

その事実だけが、まるで槍のように自分の心を貫いていた。

喪失感・虚無感・悲壮感

様々な感情が混ざり合い、自分の中で黒く醜い歪んだ感情へとなっているのがわかる。


(ああ、嫉妬・・・かな?それとも怨み・・・?どっちでもいいや)


縋っていた最愛の人は自分の事忘れて楽しそうにしている。

どんなに近くにいても君の心は近くにない。

どんなに愛しても愛されていない。

見返りを求めているわけがない、ただ愛してほしい。

愛している人に愛されていたい

一緒に楽しみたい

笑い、悲しみ

様々な感情を間近で共感したい

それだけなのに。

彼はもう居ない。

そう思ってしまうだけで心が砕けてしまった。


「私の居場所は・・・拠り所はもうないんだね・・・」


ここを出る。

そう伝えよう。

そう思い部屋を出て、2人を探すが・・・居ない。

部屋を探していると、

ふと、一枚のメモ用紙に気が付いた。

年季が入った木のテーブルの上に、そっと添えるように置かれていた。


『アリスさんへ

この手紙を読んでいるということは目が覚めたんだね。

僕たちはこの村から西のほうにある森で魔物の討伐に行ってきます。

帰ってくるまで待っていてください』


魔物の討伐・・・?

確かに私がこの村に入るときに通った道にたくさんいた・・・。

え、でも確かこのあたりの魔物かなり強い・・・

今のクロトじゃ・・・。

瞬間、背中に悪寒が走った。


クロトが・・・シヌ


「っ!」


考えるよりも先に体が既に動き始めていた。

私は家を飛び出し、最高速度で森へと侵入した。


感覚を研ぎ澄ませ、気配を探る。


視覚・・・見えない

嗅覚・・・血の匂い・・・魔物系ね、かなり遠い

聴覚・・・聞こえる・・・戦闘音・・・ここから1キロ2時方向!


私は再び全力で走り出した。





「ふむ・・・おかしいのう。こやつ・・・これほどの強さじゃないはずないんじゃが・・・」


元魔王、エリスはとても困惑していた。

確かに今対峙している5mくらいの大きさのトカゲ型魔物は

並みの冒険者や騎士では太刀打ちできないだろう。

アリサには黙っていたが、実はエリスも魔王時代・・・全盛期ほどの力はない。

それは、今背後の木に隠れている(隠れさせた)元英雄<クロト>が

その力をとある事情により封印したからだ。

膨大な力を封印するさい、大量の情報やエネルギーがクロトの中で渋滞を起こし

脳にダメージがいったのか、彼は記憶を失ってしまった。

いや、一時的に思い出せなくなっているのだ。

しかし、予想期間をはるかに超えても

彼は記憶を取り戻さなかった。

そのため、こうして戦ってる様を見せることによって記憶を思い出せるようにと最近続けていたのだが・・・。


「この魔物・・・あきらかに人工的・・・に強化されておるな・・・」


なぜか?

魔物とはいえ流石に三度も舌を斬られそのつど生えるなど・・・


「また生えおって・・・」


迷宮のような常に魔物に魔力供給されているところなら可能性はあるが・・・それでも稀だ。


「ふむ、やはりこれは・・・」


元魔王だけあって、すぐに確信ができた。


「こやつ・・・魔核を5個詰め込ん出おるのぅ」


1つの生命体に1つの魔核はどの生物でも同じ鉄則だ。

それをこいつは破っている。

そんなことしたら体がもたないだろう・・・。

それを無理やり・・・やはり人為的と考えるべきだ。


「ふむ・・・禁呪に手を染めたやつ・・・やはりいるのじゃな」


魔王のみが使える、魔王のみが使うことを許された禁術。

それを儂は何者かに奪われた。

だからこそ、私は一度自分を封印することにした。

それを私はクロトに頼んだ。

私の我侭につきあってくれたクロトはその膨大な情報量により・・・申し訳ないと思っている。

しかし、こうしないと・・・こうでもしないと、世界の法則が壊れてしまうからだ。


「お主にはここで消えてもらうぞ。

第三禁呪開放〈ヘルフレイム〉」


トカゲ型の魔物を上下で挟むように、魔法陣が現れ

そこから紫色の業火が吹き荒れ、魔物を飲み込んだ。

『GYAAAAAAAAA』


体全体の¥が震えるような雄たけびを上げながら、業火のなかで叫ぶ魔物。

しかし


「そうじゃったのう、魔核の相互補完による超再生。じゃがな・・・その地獄の業火はの

お主の生命力で燃えているんじゃ。お主が死なぬ限り燃え続けるぞい」


その証拠に再生している場所と燃えている場所がせめぎあっている。


「楽になるまで丸二日かのう。

まあ、恨むならお前をそのようにした奴を恨むんじゃな」


そうつげ立ち去ろうとする私にその魔物は


『ま・・・だだ』

「!?」


声を発したのだ。


「な・・・!」


魔物は太い前足を振り上げ


『お前たちは、私のマスターの餌食になってもらう!』

「なん・・・いや、お前たち・・・?

っ!まさか!」


クロトと私しかここには居ない。

つまり。


「お、おわ!?」


地面に強く叩きつけた前足により、地盤は崩れ

奈落へ落ち始めた。


ありがとうございました!

次話も楽しみにしていただけたら嬉しいです!


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