雅の土曜日の勉強時間
ある土曜日、勉強に疲れた僕は、今までに集めた情報を整理することにした。
まずは『花園と種』という宝石画。
そして、詩。さらに暗号文。地図。
これらを組み合わせて、花のありかを見つけないと。怪盗団ドリームサーカスよりも先に。
しかし、眺めているだけでは、何も浮かばない。
「そういえば、晶はそのまま読めばいいんじゃないって言ってたっけ……。」
『美しい花の楽園に、かつて少年が花の種を垣間見た場所に。』
「そのまま読むと……」
美しい花の楽園は、絵画の花が描かれている部分。少年が花の種を垣間見た場所は、少年の足元。
しかし、少年の足元に何かあった覚えはない。
それと、暗号文。色に関する言葉が多い。この色が、一体何を表しているのか。
これも素直に読んでみよう
黄金色がパルテノン神殿。
紫色が頂上。
透明色(?)が本。
赤色が文。
薄桃色が十字。
水色がクロス。
「あれ?数が合わない……」
今出てきた色は6つ。なのに、暗号には3つって書いてある。
「あとは、地図か……」
しかし、特に不審な点はない。
「明後日にでも、晶に聞こうかな。」
晶の名前を口にして、ふと不思議に思ったことがあることを思い出した。
そういえば、転校してくる時期があきらかにおかしい。もう少し待って、高校から日本で通えばいいのに。
それに、転校初日、晶は頑なに誕生日を言おうとしなかった。
僕たちが夢の花を探し始めてから、怪盗団ドリームサーカスは予告状をだした。
『ったくあのヤロー、オレの存在全否定しやがって!』
存在全否定?いや、彼らが否定したのは、宝石の存在や怪盗を泥棒と言い、バカにしたことぐらいだろう。晶自身を否定したわけじゃない。
もし、晶が誕生日を言えない理由が、怪盗団ドリームサーカスの一員だからだとしたら?
もし、転校してきた時期が今である理由が、この学校に潜入するためだったとしたら?
もし、あの時怒った理由が、怪盗団ドリームサーカスをバカにされたからだったとしたら?
偶然がいくつも重なれば、それは偶然ではなく必然になる。
「……まさか、ね。」
これは、あとでいくらでも確認できる。だから今は、謎に集中しよう。
……っと、その前に、受験生の本業をやらなくちゃね。