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 言うまでもないことを敢えて言わせてもらうならば、こういうことだ。世の中そんなに都合良く物事が運ぶわけではない、と。この世に生を享けた以上、どうしても回避出来ない現状に直面することは多々あるわけで、そういう事態は得てしてなんの前触れもなく、唐突にやって来るものだ。まあ心構えが出来ていないからこそ準備不足となり回避不可能となるわけだから、実のところ前の文章には注目に値する意味など含まれていない。中身のない上っ面を、さも重要なことのように飾り立て装っているだけだ。

 こりゃ誰かの癖が伝染ったかな? 狼狽しきった彼の限界まで見開かれた眼を見ていたら、そんな他愛もないことが自然と思い浮かんだ。

 気晴らしに彼女と出かけた見慣れた街並。変わり映えのない大衆食堂の看板。子供たちの奇声。いつも通りの雑然とした路地。同じ空気感。そこに突然現れた異物。彼女さえいなければ、異物とならずに偶然の邂逅で終わっていたというのに。

 勿論彼女には内緒にしていた。彼にもだ。こんな形で遭遇するなんて夢にも思わなかったからだ。

 スーツ姿の彼は手を伸ばせば届きそうな間近に、呆然と立ち尽くしていた。もう逃げられない。この角度から、この距離から引き返すのは到底無理。逆に不自然。それよりもまずいのは、眼鏡越しの眼球が大袈裟なくらい泳ぎまくっていることだった。狼狽えすぎだよちょっとあんた。そんなんじゃ彼女にメチャクチャ怪しまれるって。

 ほら、彼女が眉を曇らせ始めた。彼女のほうは幾分余裕がある。隣にいるのがどこをどう見ても女性そのものだから、不倫相手と同行しているふうにはまず見られない。そう客観視出来ている。

 けれども彼は、彼女の横にいる己の不倫相手を見て完全に取り乱してしまった。二人が知り合いだったなんて、思いも寄らなかったのだろう。混乱が表情から滲み出ている。取り繕うなどおよそ不可能。芝居や演技といった分野からは最も縁遠い所にいる人種。それでいて演劇論を語らせたら一昼夜は続けそうなタイプ。

「どうしたの、あなた」

 怪訝そうに彼女は声を掛けた。濁った響きは感じ取れない。純粋な問い掛け。

「今仕事の時間じゃないの?」

「ん、あ、いや、今日は午後は外回りなんだ。もう終わったんで、メシ喰って帰ろうかと」

 すんなり答えられたのは、それが事実だからだろう。でも時間が空いていることを打ち明けてしまうのは、あまり賢い行いではない気がする。彼女はなんの疑いも持ってないんだし、下手したら誘われちゃうよこれ。

「ふーん」

「……」

 だ、だんまりはないんじゃないの? そろそろ隣の不倫相手に対してなんらかのリアクションを取ったほうがいいと思うけど。幾ら本当は顔見知りだからって、彼女はそのことを知らないんだしさ。

「あ、紹介するね。えっと……」

 結局彼がその件を質すことは遂になく、彼女に紹介される形でのご対面と相成った。彼は会話の流れに逆らうことなく、初めまして、と頭を下げてきた。初対面を装うことに腹を決めたらしい。まあ無難と言えば無難かも。彼は彼なりに、二股を掛けているのを彼女に悟られまいと必死なのだ。とはいえこんなにも必死だと、彼女のほうも二股を掛けていることには罷り間違っても思い至らないだろうけれど。

「すっごい美人でしょ? スタイルもいいし、あたしの自慢の友達なの」

 今気づいた。彼に対する彼女の声音が、普段と僅かに違う。甘えるような柔らかい雰囲気の後退した、もっと輪郭のはっきりした声に変わっている。第三者の出現で社交性を意識するようになった?しかし相手は交際中の彼氏だ。それに叔父との話し合いのときだってこんな口調じゃなかった。

 否、これが彼と語らう際の自然体なのか。偶然知ることとなった新たな一面の発見は、新鮮な息吹を心中に呼び込んでくれた。

 ただね、生まれつき声のほうがちょっと……という彼女の暗いトーンの言葉に、彼は、あ、そうなんだ、でもまあ最近は世間の見方も改善しつつあるから、就職なんかも昔ほど難しくないんじゃないかな、とソースの不明瞭な返答を寄越した。

「彼女ね、タロット・カードを使う占い師さんなのよ。良く当たるって評判なんだから」

 多分に買い被りも含まれているが、正直悪い気はしない。彼はもごもごと口の中で何か呟いたが、ほとんど聞き取れなかった。へえ、の一言も口に出来ないなんて。こんなにもアクシデントに弱い人間だとは、ついぞ知らなかった。前々から滑稽なところがあるとは思っていたけれど、まさかこれほどとはね。すっかり調子が狂ってしまっている。彼には悪いが、傍目には相当面白いわ。

「もう仕事ないんなら、一緒にご飯食べようよ。あたしたちもまだだし」

 なんの気なしに提案する彼女。これが彼の物凄く深いところにまで切り込んでいるとも知らずに。

「あ、んー、えっと、そうだな、どうしようか……」

 笑い顔になってしまうのをじっと怺え、暫し俯く。いちいち狼狽しすぎだっての。声が出なくて本当に良かった。もしそうでなければ、はっきり聞こえる声量で笑っちゃってたはず。

 彼は思ったほど決断力がなかった。ずるずると引き摺られるように、彼女の側に付き従った。

「じゃあ、あそこの店にしようよ。入ったことないけど空いてそうだし」

 彼女がそう言って喫茶〈キャバレー・ヴォルテール〉の趣ある外観を指差したときも、彼はああ、とかここか、とか益体もない空返事ばかりで主体性の欠片もない様子だった。

「いらっしゃいませ」

 顎鬚がトレードマークのマスターの顔つきに、表立った変化は見られなかった。数日置きに来店する二人組と、今日は更に新顔のうら若い女性が一人、それ以上の思惑は感知出来ないポーカーフェイスだった。

 席決めの権限も、この場は彼女が握っていた。彼が常に座るテーブル席はこの日も空いていたが、そんなことを全く存じない彼女は別の四人掛けテーブルを選んだ。彼からの反論は、ない。

 並んで腰掛けた二人の向かいに座る。正面が彼女。メニューを広げてあれこれ言う彼女の脇から、彼も眼鏡の蔓を抓んでそっと覗き込んでいる。

「トマトジュースあるよ。あなた飲むでしょ」

「ん、お、おう……」

 いつもはメニューなんて見もしないのに。どうやら嘘を吐きついでに、初めて来た客に扮しようというつもりのようだ。頻繁にここに来ているのがバレると、斜交いにいる彼女の友達との媾曳きまでバレてしまうのではないか……そんな心理が働いたのかどうかは、その立ち居振る舞いからは窺い知れない。

 メニューが決まった頃合いを見計らって、これまた知った顔の若い男のスタッフが注文を取りに来た。別段変わった点はない。『今日はお一方増えてますね』などと余計なことを言おうものなら、彼がえらいことになってしまうのは火を見るより明らかだったけれど、結局それも杞憂に終わった。

 去っていくスタッフの跫音が小さくなる。彼はこっそり胸を撫で下ろした。

「あなたも占ってもらったら? あたし何度か占ってもらったんだけど、ホントにスゴい的中率なのよ」

「ふん、占いか」彼の口調が変わった。いや、元に戻ったというべきか。「西洋においても、紀元一年には既に鳥占いやシビュラの類など信じる者はいなかったそうだよ。天文学アストロノミーと相関関係にあったアス星術トロロジーみたいに、その後も長い間影響力を保持していた占術というのは極めて少数だ。ほとんどが下らない飯事の類だったろうからね。今でも血液型占いとかいうのが幅を利かせているが、ありゃあ酷いな。愚の骨頂というか人々の営為に対する冒涜に近い」

 一度としてタロット占いを依頼したことのない、いかにも彼らしい論調。

「ごめんなさい。この人ったら、たまーにこんな調子になっちゃうの。いつもは大人しいんだけど」

 良く知ってる。謝られるまでもない。占ってくれと頼まれたことはこれまで一度もなかったし。むしろこんな調子のときしか見ていないので、彼女の前ではたまにしかならないことに驚きを禁じえなかった。本性はこっちだろう。この猫被りめ。

 迷惑千万といった態度でそっぽを向いた彼の二の腕を突っつきながら、彼女は続けて、

「今度出るお笑いグランプリのことも、占ってもらったのよ」

「お……おいおい」

 眼は口ほどに物を言う。余計なことを、と彼の眼が訴えている。苦々しげに頭を振る彼を見るともなく見ていると、彼女は表情をぱっと明るくして彼の腕を軽く揺すった。

「そうだ! ねぇねぇ、この際だから、あたしたちのネタ見てもらおうよ」

「何ィ?」

 ネタ見せ? ここでか。

「ね、そうしよう? 誰かに見てもらったほうが絶対いいって」

「いや、だけどさ」

「このまま誰にも見せないで本番出るわけにいかないでしょ」

「う……うーむ」

 ただならぬ尻込みっぷりだ。椅子に座っているにも関わらず、腰が引けているのが判る。この光景だけでもかなり見物だ。少しだけ、ネタがどんなものなのか興味が湧いてきた。

「一通り見てもらって、どこが良くないのかちゃんと指摘してもらおっ、ね?」

「……しょうがないな」

 面白いように彼女に引っ張り回されている。場の趨勢は決した。早くも彼女は掌サイズの手帳を取り出し、予行演習に余念がない。一方の彼は悄然と項垂れてぶつぶつ独りごちている。

「じゃ、始めよっか」

 準備が整ったようだ。実際は立ってやるのだろうが、いつからいるのか二つ先のテーブルに屯する高校生らしき集団の眼が気になるので、二人とも着席したままだ。

「どーも、ディスコーダンスでーす」

「よろしくお願いしまーす」

 コンビ名の紹介からネタは始まった。なんか本格的だ。この名前は彼女の命名っぽいな。なんとなく。状況説明を兼ねたやり取りののち、彼女が運転手に、彼が乗客となって本編に突入。どうやら漫才コントのようだ。内容は定番中の定番〈タクシーの運転手と乗客〉。ベッタベタだ。大丈夫か?

 そんな心配をよそに、ネタは続いた。

「……どちらから?」

「ってここからに決まってんだろ、行き先訊けよ。『どちらまで?』だろ」

 おおっと。この乗客、意外と豪快に突っ込んだよ。彼のことだからもっと淡々としたやつを予想してたんだけど。彼女がボケて彼が突っ込むのか。まあ順当な配役だわな。

「渋谷までお願い」

「渋谷? 渋谷ってあの渋谷ですか?」

「え、渋谷って地名そんなに沢山ないでしょ」

「マジで? あの、駅とかコンビニで有名なあの?」

「そんなんで有名じゃないだろ。どこにでもあるよそんなの」

「じゃあ、一丁目だか二丁目だかで有名な?」

「丁目を観光スポットみたいに言うなよ」

 恥ずかしそうに周囲をチラチラ窺いながら、弱々しい声で突っ込みが飛ぶ。カンペは一切見ていない。にしても口調のギャップが凄すぎる。こんな彼は見たことがない。

「とにかく渋谷まで行ってよ。急いでるから速くね」

「畏まりました……うわー……参ったなぁ」

「何が?」

「忘れちゃったんですよ。あちゃーどうしよ」

「ええ? 道順忘れたの? ちょっとしっかりしてよ」

「いや漢字でどう書くのか忘れちゃって」

「関係ねえだろ」

 …………。

「ていうかまず社会人としてどうなんだよ」

「渋いに、なんて書くんだっけなぁ、あれ。あー夜だ。渋いに夜。しぶよる」

「違う夜じゃない。谷だよ谷、渋いに谷。しぶたに」

「えっ谷?」

「そう、しぶたにだよ、しぶたに」

「はは、お客さん、それシブヤって読むんですよ」

「お前が言うなっ」

「あのぉ、すいません」

 第三者の声。男性スタッフがトレイを手に立っている。注文の料理を届けに来たのだが、なんという間の悪さ。彼女はハンドルを握るジェスチャーをしていた腕を慌てて下ろした。誰もが決まりの悪い顔になる。乗客から喫茶店の客に逆戻りした彼の咳払いが虚しく響く中、凡ての品を配り終えたスタッフが、どうぞごゆっくり、と言い残して引き返した。

 間違いなく聞かれたはずだ。そしてカウンターのマスターやほかのスタッフに打ち明けることだろう。そうしない理由が思いつかない。彼の顔が耳まで真っ赤になったのも、謂れのないことではない。

「食べよう」

 フォークに伸ばした彼の手を、彼女が押し留める。

「待って。どうせなら最後まで見てもらおうよ。あと一分くらいで終わるし。切りが悪いでしょ」

「……むう」

 間抜けな中断にもめげず、二人はコントを再開した。ぐるると鳴ったのは、一体どちらの腹の虫だろう。

「……それにしても運転手さん若いね」

「お客さんこそお若いですよ。晩年の阪妻そっくりで」

「例えが古すぎるし晩年に似てちゃ駄目だろ。若い人全然通じないよ。でもほんと未成年に見えるよ」

「見た目は若くても、免許も持ってるしアルコールも飲める齢なんですからね、ウィーヒック」

「やめろおい捕まるだろが」

「昔は髭もびっしり蓄えてて」

「男かよ!」

 …………。

「着きましたよ」

「あ、そう。幾ら?」

「お支払いは円ですかドルですかユーロですかルピーですか?」

「円しか持ってないだろ常識的に考えて。それになんで最後だけインドなんだよ」

「お支払いは手渡しですか?」

「手渡し? ああ現金で払うよ。カードないし」

「それとも口移しですか?」

「そんな選択肢いらねーよ!」

 そんなこんなで終了。一応二分ジャストのネタらしいけれど、体感的な時間はもっとずっと長く感じられた。

「ねぇ、どうだった?」

 尋ねる彼女の双眸が爛々と輝いている。邪気のない純真な輝き。困った。

 台詞の誤謬や言い淀みはなかったみたいだし、喋りの基礎は問題ないと思う。あとはネタの内容や、間に関する部分か。

 ……そのコンテストのレベルが判らないので判断基準が非常に難しいのだが、やはり予選を勝ち抜けるほどのものかと問われたら『否』と答えるしかない。

 学芸会レベルの台本棒読みはともかくとして、気になったのは二人に全くといっていいほど動きがないことだ。運転手がハンドルを持つポーズ以外の身振りが、二分間を通じてただの一度もない。椅子に座っていて動作が封じられたとは考えにくい。演技指導がされていないのだろう。ネタの内容からして、動きが不必要なふうに創ってあるのだ。おかげで細部に血が通っていない、強張った印象を与えてしまう。

 自動的に吐き出される生命のない文章。文字だけが一人歩きした世界。これでもし駄洒落の応酬みたいな展開だったら眼も当てられなかったんだけど、そうしなかった点は高く評価していいと思う。

 まあ総括すると、言葉だけで笑わせたいという気概の垣間見える、理論家の彼らしい頭でっかちなネタだった。

 ラジオには向いているかもしれないけれど、舞台の上となると、これじゃあちょっとね……。

「結構イケるんじゃない、コレ。ねぇ?」

 表情を読み取った彼女が朗らかな声を上げた。営業用スマイルならお手の物だ。開業するに当たり、弥勒菩薩の〈古拙の微笑アルカイック・スマイル〉を参考に散々三面鏡で練習したからね。

「おお、そうだな」彼も会心の笑みを浮かべて顎をさすっている。満更でもない様子だ。「まあ初めてのネタにしては、うまくいったんじゃないのかな。個人的には間の取り方をもう少し工夫したいと思ったがね」

 ネタそのものについては改良の必要なし、とでも言いたげな風情だ。

「どこか直したほうがいいところとかなかった?」

 彼女に訊かれ、いやいやと手を振って応じる。筆記で言及したとしても、それを彼が唯々諾々と聞き入れるとは到底思えない。どれだけ本気で取り組んでいるのかは知る由もないけれど、ここは言わぬが花というやつだろう。

 ふふ、言わぬが花、か。はいもいいえも言えない人間が、何を考えてんだか。

 うん。全くだ。動きを捨てたせいで肝腎の言葉が死んでいるように聞こえるだなんて、烏滸がましいにもほどがある。そんな一丁前の口を叩ける身分でもないのに。何様のつもりだ。食事前だというのに、ほんの少し嘔気を催した。

「じゃ、食べよっか」

 ほくほく顔の彼女に促され、それぞれの食器に手を付ける。恋人たちの口数は減り、カクテルパーティー効果は鳴りを潜め、代わって高校生らの取り留めのない雑談が耳に衝くようになる。数人がいちどきに喋り散らすため内容は曖昧模糊としていたけれども、その話し方が乱雑を極めていることは自ずと判った。

 やばくね? 何がよ。おめー鼻毛出てんぞ。だりーな。マジかよ。うっせーよ。公文式かっつーの。そーいや今日数学ン時寝てたらさぁ、先公に見つかって本の角で頭叩かれた。バッカでぇ。ならもっとバカになってんぜ。おめーが言うな。イテッ! ははははは。取れた取れた、超大物。うわ、バカつけんじゃねーよ。ははは。あーだりぃ。やっべ充電切れそ。ここコンセントねーの? 店員さーん、電気ドロボーですよー! 犯罪だ犯罪。前科一ぱーん。三円ぐれーだろ? ンなもん大目に見ろよ。てかコードねーよ。ケツ痒ぃーな。フォーンだって。だっせー。フォンでいいってのな。何伸ばしちゃってんの。イヤフォーン。サンダルフォーン。テレフォーンセックス。ねーよ今時。だはははがはははははは。お前おもしれー。なぁコンビ組もうぜ。あ? お笑いコンビだよ、俺がツッコんでやる、なんでやねん! って。 出たーにわか関西弁。きめぇ。さぶいぼ立ったわ。関西行ったこともねーのによ。行ったことあるっつーの、中坊ン時修学旅行で。お前ンとこ九州だろ? 通り過ぎただけじゃん。行ったうちに入んねーよそれ。ツッコミがボケてんじゃねーよ。頭悪ー。はは、グランプリ出れんぜお前ら。グランプリ? ンだよそれ。知んねーの? うっそマジ? 情報弱者? テレビでやってんじゃん。高校生ダメじゃね? バッカ年齢制限ねーよ。コンビじゃなくてもいいんだろ? ピンじゃなきゃ何人でもオッケーよ確か。んじゃ全員で出よーぜ。おおいーねぇ。お前と一緒はヤだな。じゃあお前いなくていいよ。クビ。だはは、結成前にクビだって。お前ピン芸人な。ざけんな。コンビ名決めよーぜ。グループ名だろ。あー早く帰ってゲームやりてぇ。おめー協調性なさすぎ。お前もクビ! 集団リストラだ、ハハハ。世相反映させちゃって。え? セソー? お前ら二人でコンビ組めよ。アホ同士。アホって言うな。名前どうする? リストラ男爵。あっは、没落貴族かよ。安物のワインでカンパーイってな。クビアンドクビ。あははははは! 救いようがねぇ。ザ・鼻毛。お前は死ね! うっせーコノヤロー。いい加減にしなさい。どーも、ありがとうございましたー。

 爆笑の渦。思わず眼を細めてしまう。いいねぇ若いってのは。無謀で。

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