境界(ひあいポエム4篇収録2012文字)
「家族」
描き出す 感情を
それでも人には伝わらなくて
寂しい思いをしている
見上げればビルの群れが立ち並び
空も見えない
客引きのオッサンが大声を張り上げる
じゃあ一杯飲もうかなという気にならない事も無い
でも家では家族が待ってる
娘は反抗期
妻は貴方稼ぎ悪いわねと言う
全く薄氷の上をスケーティングしているようで
生きた心地がしない
都会で生きて病院で死んで
何が残るのかな?
毎日毎日会社に行って妻が作ってくれるのは
愛妻弁当ではなく根菜弁当
ご飯とイレブンで買ったキンピラゴボウが入っている
後ひじき カロリー低くありませんかー
肉が食べたいんですけど
お腹は妊婦の様に膨らみ小便する時飛び散りはしないか
といつも心配 心気症という新気性
都会で生きて病院で死んで
何が残るのかな?
最初から零なら失う物は無いさ
ただ生きているというだけで心には手垢がついて
少しづつ老い死ぬのが怖くなる
生まれて来た事 それは何かの縁
神は乗り越えられない試練は与えないと言う
ならば1日500円の小遣いでやりくりしてる僕が
腹を空かせて午後のおやつに海苔弁とお茶を買ったら
100円しか残らないがこれも乗り越えられる試練なのだろうか
最近夢を見る 妻が抱いてと言ってまずビールで乾杯しましょ
生ビールよって それからダブルのベッドでメイキングラブ
はっと思うと夢で午前4時妻は弁当を作ってる
偉いなと思うけど満員電車に乗り込むとあのきんぴらごぼう
の匂いがあたりに充満するのか 鼻をつまんでる奴がいる
この電車には思いやりも優しさも無い
サラリーマンの悲哀と疲労がベトベトした吊革に
沁み込んでいる 辛いねぇ
「子供の育て方」
空間は歪み風の音は震える
とても寒い 心も体も
温かいコーヒーを一杯
読みかけの本を閉じた
子供は8つになり
物心付き始め学校ではジャガイモでも選別するように
洗浄されているのだろう
私は父としてあの子に何がしてやれるのか
将来を提示するほどの特技もないし
正解は答辞するものでは無し
掃除のやり方 料理の作り方 異性との付き合い方
まだまだ今後教えなければならない
私は言葉を持たない 会社でも黙って仕事を淡々とこなす事で
存在を証明してきた 正直つまらない人生だ
娘には夢を持たせたい 大きな大きな夢を
成功者になれとは言わないが何か夢中になれる
それはただ1つでもいい
男親であるという事 それは無責任なのだなと感じる事もある
パパ、パパと擦り寄ってくる娘を抱っこしてやる時 泣きたいくらい
人を育てる事の難しさに困難さを感じずにはいられない
厳格だの権威だの振りかざしても子供は大人の事情に敏感で
嘘を見抜く 1つたった1つでいい 腰を下ろし子供の目を見て
愛してる事を伝える事 そうすれば何時の間にか大きくなった子供は
親を超えていくだろう
これから色々な事が君に降りかかる
その時少しでもいい 私を頼ってくれないか
不良でも反抗的でもいい でも人にやさしく
傷つけない 心の奥底に慈悲をそっと抱いて
ニワトリが卵を温めるように そして飛べない無力さを
私にぶつけて欲しい 必ず答えてあげるから
空間は歪み風の音は震える
とても寒い 心も体も
でも孤独感も不安も全部しまい込んで笑う
読みかけの本をまた開く
子供の育て方
「はどうの64」
聖なる叫びを 例えしわがれていても
精一杯空に 響き渡るように
ご老人の喘鳴でもいい
僕らは何度負けても立ち上がる
果たして真実とは何か?
僕に言わせれば壊す事 人を殺める前に
自分を殺める事 どうせ1度限り
それさえも疑わしい程人は失言を暴言を放つ
たった1人
どこまでも1人
誰にも文句は言わせない
拒絶 拒絶の人々よ
貴方達は必ず罰を受けるでしょう
美しきは誰にでも股を開く娼婦
生業ならば馴染まない
醜きは保身 自らの命などクソ程の価値しかないくせに
お説教をたれ 自分自身の間違いにはとんと気付かず
そして死ぬのヤダーと言って死んでゆく
蝉を見ろ 蝉を見ろ 猫は化け猫 溝鼠でも喰らう
汚い大人と同じだね
心臓が動いてる限り行動を共にし
波動を感じ王者の道を進む
これぞ覇道 死ぬ事など恐れる事は無い
六道輪廻に外れ ケモノになっても
終りが無ければ意味が無い生は続く
だから仏陀だのキリスト等を拝むのは止めろと言ったんだ
「盲導犬ズン太」
綺麗な花の香り
グーっと背伸びしてみる
私は目が見えない
その分鼻や耳は良い
外に出るとき
少し怖い 盲導犬のズン太が
側にいてくれるけど
プーっとクラクションの音がした
私のせい?と被害妄想する信号交差点
ズン太は私の友達で私の恋人
ワンでおすわりトゥーでお手スリーで回る
そんなズン太が死んだ
私の家で
冷たくなった躯に信じられない思いの前に
涙が溢れてくる
私は目を見開いた 影の中に温もりを残した
暗闇は私の悲しみの赤い心臓を黒く染めていった
私は死ぬ事にしました
だって私のたった1匹の理解者だったのだもの
さようなら 天国で会えるかな
事件は盲の女性が車に轢かれたと小さな
ニュースになった
私を轢いた人ゴメンナサイ
他に方法は無かったの
私には病院のベッドが天国の雲の様に思えた
もし叶うなら貴方の瞳を見つめたかった ズン太




