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カタブツくん  作者: Takuki
1/2

少女は吸血鬼

6月中旬、とある校舎裏。そこは気になるあの子に愛の告白する場所だったり、はたまた、気になるアイツに集団リンチをしかけたりする場所だったり、まあいわゆる「学生だけの空間」だった

校舎裏で1組の男女がいた。色黒の男子と対照的に色白の女子がいた。女子のほうは、そわそわとした様子だったが、意を決したように、大きく息を吸って、言った。

「あなたの血を下さい!」

男子。形部(かたべ)は校舎裏でそんな告白をされた

「は?...今なんて?」

言われた方の形部が強張った表情で聞く。

「だからっ!君の血を下さい!」

告白した少女は何を焦っているのか、早口でそう答え、形部はさらに狼狽える。

「え、っと、君が言ってる"チ"って言うのは、血液の"血"?」

「そう、だから...ああ!もう我慢できない!いただきます!」

少女が襲いかかってきた!

「うわあ!」

形部は咄嗟に体をそらし避けた!

ガンッ!

「うがゅっ!」

彼女はそのまま勢いよく壁にぶつかり、よくわからない短い悲鳴をあげて、倒れた。

「だ、大丈夫?」

形部が心配そうに覗き込むと、少女は頭を抱えて痛みに悶絶していた。

「だ、だいじょばない...」

「へ?」

少女がなんと言ったか形部には聞きとれなかったが、とりあえず大丈夫ではない事は、その痛々しい姿から理解できた。

「と、とりあえず、先生を...」

そう言いかけて、形部は口をつぐむ。

(仮に先生を読んだとして、この状況をどう説明する?)

仮に、いくら教師が彼に友好的であったとしても、ありのまま、

「女の子が飛びかかって僕の血を吸おうとしました!」

と言って、信じてくれる教師はいないだろう。いたら、その教師のほうが問題だ。かと言って、嘘をつくにも、特殊すぎて嘘のネタがない。

いっその事、彼女がタックルの練習をしていた事にしようかと思っていた時、

「ふいー。今のは痛かった...」

形部が悩んでいると、少女が涼しい顔で、スッと立ち上がった。

「え?大丈夫なのか?」

「うん。もう治った。心配かけてご、め...。ああ!そうだった血!」

少女は思い出したように叫び、ガシッと形部の肩を掴む。

「え、ちょ」

「大丈夫。ちょっとチクッてするだけだから。...多分」

「それは大丈夫じゃないだろ!?」

手を振りほどこうとするが、彼女の細腕からは考えられないような力で押さえつけられる。

「先っぽだけ!先っぽだけだから!」

「く、クソッ!や、やめろ!っこの!」

(どうにかして離れなければ!)

そう思い、少女に思いっきり頭突きをくらわす。

ゴツンッ!

形部の頭突きはちょうど彼女の鼻の真ん中、いわゆる人中にクリーンヒットした。

「あぐゅ!」

少女は鼻を抑えながら、仰向けに倒れこみ、

ゴンッ

「うごっ!」

後頭部を強打して、気絶した。


*****


しばらくして、少女は目を覚まし、ケロっとした顔で立ち上がった。形部はとりあえず、彼女から事情を聞くことにした。

「なんで縛るの...」

「それならすぐには襲ってこれないだろう?」

今現在、少女は手を縛られて正座をし、形部がそれを腕を組んで見下ろすといった、さながら人質と犯人のような構図になっている。

「じゃあまず、君が誰なのか教えてくれ」

「はいはい、分かりましたよ...。私は大山 信子。あなたと同じ1年生。」

渋々ながら、大山が答える。

「わかった。僕は形部 月春、同じー」

「知ってる。調べたもの」

サラッと衝撃的なことを言われ、黙る形部をよそに、彼女は話し続ける。

「この際だから、もう全部話すわ。私、吸血鬼なの。ほら」

そう言って、指で自分の口を広げる。キレイに並んだ歯の中に2つの八重歯、と言うには不自然に長く、鋭い犬歯があった。

「...は?」

(キュウケツキ?吸血鬼ってよくファンタジーに出てくるあの吸血鬼?)

「あ、でも、勘違いしないで欲しいんだけど、私は'純粋な'吸血鬼じゃないわよ。クォーターなの。それで...って、聞いてる?」

「聞いてるよ...」

吸血鬼、それなら先ほどまで「血が欲しい」と言っていたことや、異常なまでの回復力にも納得がいく。

(あれ、納得していいのか?なんか違うんじゃないか?)

しかし、他に納得がいく理由があるわけでもない。形部は吸血鬼などと言うファンタジーの塊みたいなモノをすんなり受け入れた自分に驚きつつも、口を開く。

「つまり、君が吸血鬼だから、血が欲しかったと」

しかし、それでも疑問は残る。

「でも、なら僕じゃなくてもいいじゃないか」

「う...」

最もな質問に大山は困った顔をする。

「えぇーと、さっきも言ったけど、私はクォーターなの。だから、生涯、1度も血を飲まなくても生きていけるの」

「へ?じゃあなんで?」

思わぬ事実上により、彼の疑問はさらに深まる。

「そ、その...」

恥ずかしそうに彼女は告げる。まるで、好きになった理由を聞かれたウブなガールフレンドのようだ。

「あなたの血が凄く美味しそうに見えたから...」

「は?」

|(ドウユウコト?)

「いや!その吸血鬼の能力みたいなモノで、誰の血が美味しそうか不味いかなんとなく分かるんだけど、君はその中でもズバ抜けて美味しそうだったから、一口もらおうかなー、なんて」

形部の表情を見て、どう受け取ったのか、慌てて言うと何故か、へへへへ、と照れ笑いをする。はたから見ると、まるで、髪型を褒められら子供のようだ。が、

「なんだそりゃ」

形部は思わず、思ったことをそのまま口に出してしまった

「あ、信じてないの?本当なんだから、今だって我慢して...やっぱり我慢できない!」

大山は、がばっと立ち上がろうとした。

「おろ?」

しかし からだが しびれて うごけない!

彼女は中途半端な体勢で顔面から倒れこみ、今日何度目かの、短い悲鳴を上げる。


*****


「鼻がー!鼻がぁー!」

鼻を抑えながら、悶え苦しみひーひー言っている大山を見て、形部は深い溜息をつく。

「おい」

「ひゃい」

しゃがんで、鼻を抑える大山をじっと見る。

「な、なんでふか?」

「少しぐらいなら良いぞ」

きょとんとする大山。

「ああもう!少しぐらいなら、血を飲んでも良いって言ってるんだ!」

「本当!」

いままでの痛みを忘れたかの様に大山が目を輝かせる。

「まあ、肉を食えば血なんていくらでも出せるしな」

(まあ、悪いやつじゃなさそうだし、ただ単にバカなだけなんだな)

その目はまるで、壁に埋まって動けなくなったNPCを見るかのような目だった。

「ありがとう!じゃあ早速...」

と、そんなことはお構いなしに大山は首筋に噛みつこうとする。

「そこはダメだ」

「えー」

形部に手で顔を抑えられ、渋々離れる。

「じゃあ、指にします。出して」

「こうか?」

言われるまま、人差し指を出すと、それを大山はカプリと咥える。

(...あれ?痛くない?)

確かに噛まれた感触はあるのだが、痛みが全くないのだ。なんとも言えない奇妙な感覚だった。

(これも吸血鬼の能力?)

大山は歯を指から離し流れ出た血を吸い始めた。

(って!これは!今思ったけど、相当刺激の強い光景だぞ!)

確かにはたから見ても、思春期の男子には少し過激な光景見えた。

そう思った瞬間、形部は慌てて手を引っ込める。

「あれ?」

不思議なことに指は無傷のままである。しかし、ドクドクと血の流れる感覚は嘘ではない。

「う...」

声をしたほうを見ると、大山が肩をプルプルと震わせていた。

「お、大山さん?」

「うまい!」

カッと目を見開きそう叫ぶ。まるで、練って美味しいお菓子の魔女のようだ。

「はい?」

「これが血の味か!すげえ!今ならなんでも出来る気がする!」

そのまま、クルリと背を向けると、

「うおおおおおおおお!」

雄々しく叫びながら、走り去っていった。

「な、なんだったんだ...」


数時間後、教師に廊下を走っているところを怒られ、しょんぼりしながら帰ってきた。


しかし、形部の災難はまだ、続くのであった...

どうも、Takukiと言う者です。友人に影響されて自分も、ない知恵絞って書いてみました。

しかし、書いて、読んでみると、これがひどいひどいw

これからもっと精進していく予定です。

それでは最後まで読んで頂きありがとうございました。

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